MM総研が四半期や1年間で集計し公開する国内PC出荷シェア。
2011年は出荷台数へマイナスに影響したと言われる出来事が多く、前半はインテルのチップセットリコールや東日本大震災、後半はタイ洪水の影響によるハードディスクの供給不足など。
昨年のPCメーカー別シェアと概要を見て参りましょう。
2011年国内PC出荷台数メーカー別占有率
2011年1~12月丸ごと1年間のグラフより。
2010年も有るけれど、マイコミ(現マイナビ)が数値入りで2年分公開。
source:2010年国内PC市場-マイコミジャーナル
メーカーシェア1位のNECレノボは、今回のMM総研レポートで25.7%と書かれており、2010年と比較するとプラス0.1%。分母が違うので単純に%の数値で比較はおかしいけれど、NECとレノボが合体した時期は7月なので約半年では占有率に影響は見られず。
他のメーカーは数値データが無く、判っても表記するなとMM総研に書かれている為、グラフの大きさよりメーカー別の2011年と前年比較を相対的に見ると。
- HPが上がり、DELLが下がった(4と5位が入れ替わり)
- Appleが上がり、Acerが下がった(7と8位が入れ替わり)
日本HPはAKBプロモーションが当たったというより、相変わらず法人向けが強いと見るが妥当かと。DELLも法人に強く約8割を占め、個人向けは2割程度と過去情報に有り。個人向けで言えば価格がやや上昇した時期が有ったり、Alienwareのような需要の低そうな物をハデに宣伝するなど良く分からない状態。カスタマイズを減らし特急便を拡大しているものの、納期短縮の効果は大した事が無さそう。
Appleは2011年の第4四半期(10~12月)、世界の出荷台数シェアでHPを抜き3ヶ月内ではトップになったとニュースが飛び交っておりました。Acerはネットブックが廃れて来ており、タブレットPC(ICONIA TAB)へ移って来ている感が有り。普通のノートは低価格でレノボと競合しており厳しい所。
個人的には、法人用PCが実質ノートのみな割に3位を維持している東芝が優秀と見ており、NECや富士通、HPやDELLと比較し個人需要の割合が高めとすると、dynabookは人気が有るのでしょう。
dynabookのデザインは私に言わせると普通かそれ以下。しかしNECや富士通ほどぼったくり価格で発売せず、DELLやHPより国内での知名度が高く人気が有ると見ております。
NECやソニーのように無駄な機能を満載して価格を上げ底にしない分、同じように型落ち処分になった際は比較的低価格になり良心的。
MM総研の2011年国内パソコン出荷概要より
出典リンクは先のグラフでMM総研の案内または指示通りに貼っているので省略。テキストを引用しつつ適当に突っ込んで参ります。
本当に震災やタイ洪水の影響なのか疑問
初っ端の見出しより。
出荷台数・金額とも減少、東日本大震災&タイ洪水の影響響く
2011年は前年と比較し減少とされておりますが、その影響が本当に震災やタイ洪水の影響かは疑問。
マイナビに載っている2010年のレポートでは、震災の影響により予想屋IDCが9.2%減少と言っておりましたが実績は3%減。
減少とは繰り返しになるけれど前年との比較で、昨年は過去17年の中では2番目の出荷数との事。
マイナス成長となったものの、総出荷台数は95年の統計開始以降、過去2番目の規模となった。
過去最高は2010年、次に2011年らしいので、パソコンの出荷数自体が急激に落ちたり盛大に下がったわけでは無く、2010年レポートの要点を抜き出すと
(2010年の実績は)出荷台数で前年比17%増の1,527.1万台
2011年を2年前の2009年と比較すると13.5%増。
2010年が良かった理由として、私の感想文ではVista(~2009年)対7(2009年10月下旬~)の年になったからとしており、Vista氷河期の2年前と比較すると2011年も悪くはなっておらず、本当に震災やタイ洪水の影響が出ているなら、もっと落ちてもおかしく無いでしょう。
私の予想も外れており、その内容は「震災で需要が一時的に落ちても恒久的な復興需要でかえって上がるのでは?」とか書いた記憶がございます。
2011年の日本のデタラメ政治や不景気報道祭りにも関わらず、前年比3%減は良かった方では無かろうかと。
個人需要はアップルが伸び続けているらしい
同じWindowsでも「その他」枠が小さ過ぎる事から、BTOパソコンや中小のショップはMM総研の集計に入っていないと見ておりますが、Appleは集計結果の中に有り。
個人市場は5年連続の成長で、アップルがベスト5に躍進
個人と法人が分かれていない為にグラフを見ただけでは不明なものの、5年も上がり続けているそうな。
しかし、グラフではAppleの面積が目に見えて広くなり続けてはおらず、PC全体の出荷台数が増えているのだからAppleも伸びて当然と言えましょう。
今回のリリースではっきりした事は、MM総研のデータには電話や板PCが入っておらず、純粋にMacシリーズのみ。他のデータは板PCも、ひどいものはスマートフォンまでパソコン扱いしている事が有るので御注意有れ。
2012年は本当に回復するのか、やはり疑問
前年比で2011年は3%減として進めると。
2012年は回復基調、Windows XPからのリプレースが本格化
その要因として主に2点挙がっており、マイクロソフトのWindows8とインテルのウルトラブック計画による高性能モバイル化。
Windows8はARM版のタブレットPC用が先に発売され、パソコン版も2012年内にリリースになるとの噂。インテルはPCメーカー各社のウルトラブックを合わせシェア4割を目標としており、今年が本格的に普及すると見ているのでしょう。
2012/02/16追記:Windows8はPC用が先でARM版は後になったご様子。
MicrosoftがARM版Windowsの詳細を公開~Office15が標準バンドル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/20120210_511221.html
しかし今年こそタイ洪水の影響によるHDD不足が心配され、MM総研では3月頃までと書かれておりますが、Seagateは今年1.5億台が不足する予想を発表しております。
そしてWindows8が出る事で安易にPC出荷が伸びると考えるのは予想や調査会社の言い分。パソコンをやや激しく使う側から見ると、こける可能性の方が高いと見ており、Windows7より良いとは思えず。
PCメーカーが7を並行して売り続ける事になれば経年で各OS、各エディションのサポート期限が迫り、DSP版換算で数千円高額なProfessionalエディションが標準化して行くと、Windows8の次のバージョンにまで影響するでしょう。
7Pro~のサポートは2020年まで続き、延長は出来ても短縮は企業を巻き込む為に困難とするなら、Vista時代から続くXP延命の二の舞。
ウルトラブックの需要はマニアより一般向け、低価格目当てより予算に余裕が有る属性になる為、そのような人達はタブレットPCやスマートフォンでも足りるのでは無かろうか。
SSDの容量が上がり価格が下がればウルトラブックは成功に近付くと妄想しておりますが、相変わらずその気配さえ無し。
2010年は過去最高、2011年はその次。2年間で出荷台数がやたら伸び、震災によるPC需要への影響が少なかったとするなら、今年は更に減少するのでは。
2011年の第1四半期マイナス、第2四半期プラスについて
レポート本文より直接1つ。
2011年は東日本大震災のあった2011年1~3月期はマイナス成長となったが、4~6月以降は再びプラス成長となった。
震災は3月11日なので1~3月中の影響は約21日間、3ヶ月(90日)の内23.3%。それより2月1日頃から回収や販売停止が始まったインテルのチップセットリコールの方が影響大と推測出来ましょう。
デスクトップは苦し紛れで、BTOパソコンの場合はSATA3を封印して販売するメーカーも有ったけれど、ノートは販売出来なくなる物やしないメーカーが多く見られ、MM総研のグラフ内で言えば出荷台数の減少に直撃しているかと。
4~6月は特にNECの新製品が急激に値下がりしており、国内PCメーカーの夏モデル前の処分が早まったと思われる動きも有り。3月まで新製品を買えず売れず、販売(出荷)時期の先送りがプラス成長に関わっていると言えましょう。
2011年国内PC出荷台数メーカー別シェア(まとめ)
無料で発表されるデータは色々な意味で有難いけれど、データはもとより記者の感想文と思われる箇所は鵜呑みせず、パソコン市場の事に比較的詳しい人間が反論してみるとデータの見方が広がりましょう。
私がパソコン市場に詳しいという意味では無く、素人ながらもこういう見方も出来るのでは?としてみただけで意味が変わったり、更に読み手がそれらに反論や補足するともっと広くなるかと。
将来の予測や推測は難しく、過去の実績をもとにすると説得力が上がるけれど、それが全て正しい(当たる)とは限らず、根拠になっているとも限らない為、やはり自分の判断が重要。
タブレットPCやスマートフォン普及で、ARMの低性能CPUに若干の危機を感じているインテル苦肉の策っぽいウルトラブックより、Windows8がどうなるかで今年以降のPC市場に影響大。
上で書いた事も私が今酒を飲みつつ適当に書いているだけなので、MM総研と比較し信頼性は微塵レベルでお読み有れ。
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