BTOでキューブと言えばクレバリー、時々サイコム。
一般的なBTOメーカーでは、ベアボーンという特殊さと需要の少なさから敬遠されており、ケースを自社製造しているメーカーでは更に遠のく小型な箱型PC。どうしてもキューブが良いというユーザも居られる事は確か。そこで高性能PCをクレバリーがX58で発売。
私がキューブを取り上げる理由はもちろん華麗にネタ切れ。
G-Maximum Cube GMA7(標準構成:127,800円)
どこが安いのかと言えば「性能の割に」が付き、CPUにCore i7 980搭載。ベアボーンはシャトル製のX58チップセットでマザーボードと電源がケース丸ごとセット。
ビデオカードがNVIDIA(GeForce GTX 550 Ti)とAMD(Radeon HD 6770)の2種類有り、いずれも価格は同じ。主な仕様。
- OS:Windows7 Professional 64bit版
- CPU:Core i7-980 [3.33GHz/TB:3.60GHz/12MB/HexaCore/HT]
- メモリ:6GB(2GBx3) [DDR3/PC10600/CL9]
- HDD:1TB [SerialATAIII(6GB/s)]
- グラボ:GeForce GTX550 Ti 1GB(またはRadeon HD 6770 1GB)
- DVD:スーパーマルチ
- ケース/マザー:Shuttle SX58H7 Pro
- 電源:500W [80PLUS BRONZE]
- その他:カードリーダー、ギガビットLAN、キーボード、マウス
OSは標準でProfessionalが選択されており、HomePremiumが良いなら落とせるカスタマイズ。3千円の差なのでクレバリーのお勧め、または在庫が余っているか。個人的にはサポート期間を考えるとPro~の機能は要らなくともPro~がよろしいかと。
CPUは理由が有り後回し。
メモリ2GBx3のトリプルチャネルはX58の仕様。HDD1TBは、それ以下の容量のHDDにすると割高に見える為と見ます。グラボはこの構成ではアンバランスで性能やや低めのGTX550Ti、またはラデHD6770。
ベアボーンは自作キットとしても単品販売されているシャトルジャパン製品で、キューブのベアでは有名所で価格コムを見ても人気有り。電源は80Plusブロンズで82%以上の効率。LANは性能低めなベアに有りがちな100BASE止まりでは無くギガLAN搭載。
自作と比較。しつこいけれどCPUは後で。
- OS:15,000円・・Windows7 Pro~ DSP版
- メモリ:4,500円・・DDR3 SDRAM(2GBx3)
- HDD:4500円・・1TB(SATA3)
- グラボ:13,000円・・GTX550 Ti または HD6770
- DVD:2,000円・・スーパーマルチ
- ケース/マザー:32,500・・Shuttle SX58H7 Pro
- 電源:※ベア込・・500W [80PLUS BRONZE]
- その他:計3,000円・・カードリーダー、キーボード、マウス
価格は価格コムより、メーカー不問で性能を合わせた最安。あまりにも不自然な最安は除外しております。自作で安く付けるならこのくらいという事で。
OSはDSP版という事で抱き合わせパーツの除外を考え、ツクモやパソコン工房、ソフマップなどからおおよそで出したOS単品の価格。
ここまでの総額は約74,500円。グラボが玄人志向などで良いなら更に数千円下がるものの勘弁しましょう。
これにCPU、Core i7 980X EEを追加すると最安が約87千円なので、総額は何と161,500円。自作(単品購入)するとクレバリーより3万円以上高くなる、わけは無くCPUが違います。
Core i7「980X EE」と「980(無印)」の価格と性能の違い
上の流れは私が実際に5秒くらい騙された計算で、980の無印が出るという噂は春頃から流れており、それが発売になったという事。
source:価格.com - Core i7 980X Extreme Edition BOX、Core i7 980 BOXの比較
左の黒いロゴが980X ExtremeEdition、右は普通のCore i7で980(無印)となっております。価格差が約4万円近く有り、それがクレバリーのからくりというか、勝手に勘違い可能な仕様。どこにも980X EEとは書かれていない。
というわけで、クレバリーのキューブを自作(単品)最安で揃えようとすると合計約123千円となり差額は約5千円。クレバリーは送料が1500円付くものの、単品の安いパーツは個別に送料が乗る為、近い価格になるでしょう。
クレバリーは組み立て代行、相性問題の無い事を確認済、有無償問わずPC本体丸ごと修理可能という価値が有り、自分で修理しない(出来ない)ならBTOパソコンが良いとして。
インテルARKに無印980が載っておらず、性能の違いは海外などから集めた情報より比較するとほぼ無し。
同じところ。
- 6コア/HT、3.33GHz/TB最大3.60GHz、12MBキャッシュ、TDP130W
違いは2箇所。
- 980X EE・・QPI 6.4GT/s、倍率ロックフリー
- 980無印・・QPI 4.8GT/s、倍率ロック
倍率ロックとはオーバークロック(OC)時の倍率変更可否で、OCしないなら不要。BTOパソコンだからと言ってOC出来ないわけではございませんが、やると(バレると)故障時に修理不能や保証内でも有料になるものです。
というわけで、QPI(CPUやチップなどとのデータ転送速度、昔でいうFSBの箇所)の差に4万円近い価値が有ると思うなら980X EEかと思いますが、OCしないならクレバリーの構成で良く、980X EEを積む意味がほぼ無いという事になりましょう。
クレバリーのキューブPCの良い所と悪い所
バランスを取る為に各5つ。先に良いと思う点。
冷却用CPUグリスのこだわり
クレバリーは今年からコスモ石油のルブリカンツなる高性能グリスを採用したとプレスリリースを出しており、カスタマイズでは標準。銀グリスの方が上という良く解らない見せ方ですが、インテル純正より遥かに質が良く、グリスへのこだわりは他のメーカーには無い特長。
パーツを外せる、性能を落とせる
上の画像の通り、性能を片っぱしから落とせる事もクレバリーの長所。他のBTOメーカーでは性能を上げるカスタマイズは多く有れど、下げるは売る側として旨みが少なくアップセルが主流。更にクレバリーは差額も良心的。自作ユーザを意識しているのでしょう。サイコムのように動けない構成にもならず、光学ドライブなどは外せる点も良好。
SATAケーブルの束ね方を解っている
私が個人的に好きな所がこれ。
SATAケーブルは曲げに弱く、私が使っているような数百円の安物やマザーボードの付属などは断線が心配。実際とは異なる、と書かれてはいるものの、この巻き方は判っていてやっている事。実際とは異なるかも知れず、シャトル(ベア製造元)提供かも知れない。
ケース内部の状態を写真で複数公開
他の大手BTOメーカーではまず無い程の量。
選択している画像からは、CPUのヒートパイプが背面に伸びており、ケース背面に有る9cmファンがCPUファンになる事が判ります。その他、メモリやグラボがぎっしり詰まっている写真も有り、エアフローを気にするならキューブは有り得ないケースと判ります。
FF14が激安、何と1500円で追加可能
ソースネクスト並の価格でFF14が購入出来るようです。
オチが有った方が良いかと思い一応。
逆によろしく無い所を5つ。
クレバリーの延長保証額は劣化する
クレバリーの延長保証は10万円以下ならサイコムの次に安いパソコン工房系と同様、最低5250円で基本5%の掛金でプラス2年の合計3年。しかしクレバリーは2年目以降は補償額が60%、3年目は40%までの適用。1年目は標準(0円)なので故障箇所や状態により高く付くでしょう。
それ以前にこのPCは延長保証が無い
3年保証の選択肢がございません。
メーカー側の気持ちとしては解りますが、キューブのようなやばいPCこそ延長保証は欲しい所。今気付きましたが左のアイコンは狙っているのか長さが不自然で、この絵を見るとプラス3年に見えるものの実際はプラス2年。
キューブは掃除、改造、増設が困難
良い所で書いた通り、画像を見ると一目瞭然かは知りませんが、分解しづらくファンの掃除は難易度高め。マザーボードと電源はベアボーン用に初めから組み合わされている為、気軽に電源やマザー交換は困難。特にCPU交換(グリス塗り直し含む)は地獄を見るでしょう。
電源容量が限られグラボは上限有り
キューブPCに高性能なビデオカードが載らない理由は3つ有り、サイズ主に長さの問題、電源容量が足りなくなる、構造による冷却(吸排気)性の悪さ。このキューブは電源ユニットが500Wで変換効率80%を保証。CPUがTDP130W、グラボ以外をてきとうに70Wとすると安全には残200W。GTX550TiでさえTDP113W。本当はまだ行けるとは思いますが、200Wを超えるグラボは冷却の意味でも無理でしょう。電源は経年で劣化して参ります。
このPCを何に使うのか良く解らない
高性能な最大6コア、12スレッドのCPU。メモリ6GBは結構ですが、これで何をするつもりか不明。3Dゲームならグラボの性能が低めなのでケースを捨てて普通のマイクロやミドルタワー型にすれば良く。高性能+キューブ=個人的な見た目のこだわり。爆音インテリアになるでしょう。
クレバリーのi7 980(無印)搭載で安めなキューブまとめ
利点を5つ書いた為、やや強引に難点5つも挙げたものの、長期保証は不要でどうしても箱型な高性能PCが欲しいというなら問題無し。先に書いた通りクレバリーの価格は良心的で、キューブで自作する趣味が無ければ任せた方が楽。
私がキューブを嫌う最大の難点はメンテナンス性以外に修理費用。メンテ(掃除や増設)は慣れなので、自分用PCになってしまえば何度か練習し問題無しと言えるやも知れませんが、BTOにしろ自作にしろ良く考えてみましょう。
これはベアボーン。マザーボードが故障したらどうするのか。
自作ならジャンクで同型番でも探すでしょうか。中古の方が安心かも知れません。新品は3万円以上しております。
クレバリーが何故3年保証を避けているかが保守パーツの在庫金額と推測出来、1年経過後にマザボードや電源ユニットが故障した際、クレバリーはシャトルから単品を購入し在庫していると思えるでしょうか。キューブの需要は少なく、X58セットベアの在庫過多は余れば自動的に不良在庫となり陳腐化し利益を消します。
仮にベアボーンを在庫するなら、シャトルの終息(生産終了)までに入手する必要が有り、いくら仕入れとは言え2万円を切るとは考え難く。1年過ぎ、マザーまたは電源が故障すると、私がメーカーなら修理費はいずれも3万円以上。在庫や工賃を考えると4万円でも安いと考え、それをユーザがかぶるわけです。
キューブPCは余程の趣味や道楽で無ければ購入する物では無く、実用品として考えたり、間違っても業務用で使うべきでは無いでしょう。細目に掃除をし、マザーや電源が故障しない強運の持ち主なら有りかとは思います。
以上、アンチキューブのネタ切れ補完。しかしクレバリーは良心的ですね、という宣伝のようなそうでも無いような、やっつけ記事にて失礼。
>私がキューブを取り上げる理由はもちろん華麗にネタ切れ
華麗じゃない。それ華麗じゃないよ。 だがそれがいい。
>グラボはこの構成ではアンバランスで性能やや低めのGTX550Ti
なんと! 構成がアンバランスとかヒツジ先輩の言葉とは思えませんなw
>インテルARKに無印980が載っておらず
X58系はあんまり真面目に追いかけてないので適当ですけどw
Intel必殺の「価格を下げさせはせんぞ。下げさせはせんぞ商法」的に考えて
980XEは終息させてもう売らない → 990XEを後継にして置き換え
無印970終息させてもう売らない → 無印980を後継にして置き換え
そしてお値段はそのまま据え置きってことなんでしょうな。
SSDのX25(G2)→320(G3)シリーズへ移行の時も同じコトしてましたし。
>コスモ石油のルブリカンツなる高性能グリスを採用したとプレスリリース
ここのグリスて高評価なんですかね?大変申し訳ないが耳にしたことがないw
あれかな。どっちかっていうとコンシューマ向けはやってなかっただけかな?
>実際とは異なるかも知れず、シャトル(ベア製造元)提供かも知れない
それじゃ暮はやってないじゃんw だめじゃんw
>エアフローを気にするならキューブは有り得ないケースと判ります
ちょw、ここまだ良いところ上げるところですからw
>オチが有った方が良いかと思い一応
FF14自体がksであるとかいう件についてはいまさらなので触れませんが、とりあえず550Tiや6770だとけっこう厳しいのじゃないかと思われw
>しかしクレバリーは2年目以降は補償額が60%、3年目は40%
ヤマダ電機というかtsukumoと同じ系ですな。
これはPCに限らない話ですが新価保証できない損保は意味ないですよね。
>3年保証の選択肢がございません
フイタ。ねーのかよw せっかく1つ上で珍しく真面目にコメしたのにw
>特にCPU交換(グリス塗り直し含む)は地獄を見るでしょう
むしろ外した時点で詰むんじゃないかって思うのね。
外したはいいがコレもとに戻せないんだが…的なw
>電源容量が足りなくなる、構造による冷却(吸排気)性の悪さ
消費電力当りの性能に優れ、これによって発熱も抑えられていること…
どう考えてもHD6770のほう一択です。本当にありがとうございました。
NVIDIA好きの私涙目w
>爆音インテリアになるでしょう
そっか! 確かに高性能クーラーとか付く物理的余裕は無いですね。
リテールが全力とか胸が熱くなるな。
>これはベアボーン。マザーボードが故障したらどうするのか。
5択
①窓から全力で投げ捨てる。
②情け容赦なく投げ捨てる。
③一心不乱に投げ捨てる。
④電光石火で投げ捨てる。
⑤嵐のように投げ捨てる。
よろしい。ならば投げ捨てよう。
これはユニークなキューブですね。
やはりPS3やXBOXの横に置きたいゲーム機用でしょう。見栄えとかの問題で。
HTPCにしたいんならSandy世代のCPUにするでしょうし、一般用途にしては値段もスペックもやや乖離してますね。
箱見る限りMini-ITXマザーかと思いきや独自規格。
ベアボーンじゃなくて全部載せてシャトルブランドのゲーム機作ればいいのにと思いました。
ヒツジ先輩、こんにちは。
僕は設置場所の問題からキューブ型好きで、仕事場ではキューブを使ってます。
やはり高性能のCPUがグラボを乗っけると発熱の問題が気になります。
そこで、低発熱にするにはどこまですべきかとかご意見を伺いたいんですが。
個人的にはキューブで探していた時にサイコムさんもクレバリーさんも候補でしたが、あとはストームさんとVスペック(ハーキュリーズ、エーチャージ)が残って、結局昨年Vスペックさんで購入しております。
本当にキューブで組めるのか、ブログのネタ的に面白そうなのはフレッシュフィールドさんですが…
エアフローやメンテナンス性を考えなければ、形としてはキューブ好きなんですよね。小さな箱の中に高性能ってイメージも含めてキューブはSF的というか未来的というか先進的な感じがして好印象を抱きます。
クレバリーの場合、Shuttle製に限って言えば、性能としては「Standard Cube SH67-ECO」で十分なんですが、フロントベゼルのデザインとしては「Standard Cube SX58」や「G-Maximum Cube GMA7」の方が好みなので、そこら辺が残念です。好印象なだけで買いませんが。
当方場所が無いためスリムケースかキューブしか選択肢にないので、シャトルのキューブにはお世話になっております。最近のシャトルのキューブはベアボーンですが市販のMini-ITXに換装出来るタイプもあります。(SG41シリーズ)
上記モデルは不可のようですが。
キューブはさておき。
俎板の機種が何であれ、クレバリーなる組立代行屋のスタンスが良くわかりました。読み応えあったす。今後も俎上のブツを通して本質を読みとらせる記事に期待申し上げます、マジで。
>何故3年保証を避けているかが保守パーツの在庫金額と推測出来
なる、勉強になりました。
>コスモ石油のグリス
実は「ルプリカンツ」は製品名ではなく会社名なのですよ。会社の正式名称は「コスモ石油ルプリカンツ株式会社」で、潤滑油の開発・製造・販売・保守まで一手に担う会社だそうです。当たり前ですが、コスモ石油グループの一会社。クレバリーが扱うコスモサーマルグリスについてはこちら
http://www.cosmo-lube.co.jp/campaign/campaign.html
扱うサーマルグリスは5種類のようですが、クレバリーが採用するSF401は
密度:ナンバー2、 ちょう度(軟らかさ):ナンバー2、 熱伝導率:ナンバー2
体積抵抗率(絶縁性能):ナンバー5、 絶縁破壊の強さ(どれだけの電圧に耐えられるか):ナンバー1
という感じっぽいですから、CPUグリスとしては良いものなのでは。専門家ではないため詳しくは上記のURLでお願いしますが
前々から思っていたのですが、キューブって立方体(正六面体。正方形×6)の意味ですけれど、キューブ型ケースって立方体ではなく直方体(直六面体。長方形×6)ですよね
そして驚くこと。いま確認すると、GeForceがグラフィックカードの選択肢から消えていたという(HD6670、6750、6770の3択)
以前「初めてのBTOで、ケースとマザーとCPUのみをサイコムにて購入し半自作した」と書いた者です。
自分はSH67H3で組んだのですが、
キューブはキューブのデメリットを踏まえて構成しないと
黒ひげ危機一髪PCになりかねないと思いました。
キューブは省スペース。
最小構成、省電力、ファンレス(静音)で組むのが
キューブの目的に即しているかと。
というか自分はそう組みました。
カスタマイズ性だって(シャトルのベアボーンだけかもしれませんが)言うほど悪くなく、
本体やベイが軽いため、華奢な人間にとってはむしろカスタマイズしやすいとも言えます。
というか自分にとってはそうでした。
動作後の増設に関してならば、確かに難アリまくりでしょうけど、
そもそもこの拡張性でナニを「増」設するのかと。