DELLより新製品、私に言わせるとでかいノートが発売。
しかし構成を見ると、パーツはモバイル用では無くほぼデスクトップ仕様。最近のノートは高性能なのでグラフィック性能さえこだわらなければモバイル仕様でも充分と思えるけれど、安くする目的でのデスクトップ用パーツ構成と推測。
価格の比較や落とし穴をPC初心者向けに解説。
デル「Inspiron One 2330」は約9.5万と11万円の2種類
ニュースリリースは安定して読み易いPC Watchより。
【PC Watch】 デル、Core i7-3770S搭載の23型一体型PC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120810_552787.html
発売は8月9日。価格が2種類有るのはTVチューナーの有無で、9.5万円の構成に1.5万円乗せると三波対応のチューナーが搭載になるという違いのみ。
必要と思うなら最初から付けておいた方が無難。後付けするとUSB接続の外付になり、チューナーやBCASスロットなどが横にぶら下がってしまう為。テレビ視聴や録画を使わないなら1.5万円は高い。
目に付いた特徴を引かせてもらうと
電源ケーブルのみで利用できる「ワンコードデザイン」を採用
これの意味は電源ケーブル以外が全て無線になっており、何がコードレスか具体的に挙げると、キーボード、マウス、LAN。
主な仕様を一覧。
- OS:Windows7 Home Premium 64ビット
- CPU:Core i7-3770S(3.10-3.90GHz、4コア/HT対応、8MB、TDP65W)
- マザー:インテル B75 Express チップセット搭載
- グラフィック:インテル HD グラフィックス4000
- メモリ:8GB(4GBx2、DDR3 SO-DIMM、PC3-12800)
- HDD:1TB(SATA、7200回転)
- 光学:ブルーレイコンボドライブ(ブルーレイ書込不可)
- 有線:ギガLAN、USB3.0x4、USB2.0x2 など
- 無線:IEEE802.11b/g/n、Bluetooth4.0
- モニタ:23型ノングレア液晶(解像度:1920x1080)
- 電源:200W ACアダプタ
- その他:マカフィー セキュリティセンター(15ヶ月ライセンス付) など
CPUは省電力版のCore i7が使われているものの高クロック、但しTDPは65Wと高め。省電力では無いi7-3770は77Wなので大差無いけれど、電源が200Wなので少しでも落としたかったのでしょう。
一体型に拡張性は関係無く、改造するわけが無いと思うのでB75はPC本体内部の省スペースにも役立っているでしょう。その割にHDDは7200回転なので3.5インチ(大きい方)が載っているという矛盾。地デジ録画前提で安い大容量が必要だったのでしょうか。
ブルーレイは再生専用。カスタマイズで読み書きドライブにアップグレード出来るかと思いきや無し。基本的に録画はHDDへ溜めておき、見たら消すという事ですな。
LANは有線と無線共に現行で最も速い1000BASEとn付で文句無し。Bluetoothも現在最新の4.0が標準搭載のご様子。
このモデルの利点は液晶に敢えてノングレア(非光沢)を採用しており、見た目より反射や眼精疲労防止を重視したと思われ個人的に評価。また、マカフィーは試用版では無く2年強使えるライセンス付なので、初めてPCを購入する人には利点。
この価格で23型モニタ付かつ全体的に高性能なものの、書込無しのブルーレイと容量大きめなHDD1本という辺りが腑に落ちない。
液晶のベゼル(枠部分)がやたらでかく黒いので、Acerのようなダサさが有ると感じるけれど、そこにこだわるならMacをどうぞという事で気にせず。
最近はNECなどの一体型PCが減っているので、どうしてもでかい画面の省スペースが良いなら有りかも知れませんな。私は要らないし他人にも勧めないけれど。
PC初心者がDELL非難し暴れる原因は説明の誇張?
今回の一体型インスパイロンのページを見ていて気付いた事がいくつか。
DELLに限らないけれど、ドスパラなどPC初心者が購入し易い知名度の高いメーカーはクレーマーが大量発生するものでは有りますが、説明が大げさ過ぎる辺りが原因の一つでは無かろうかと。
Inspiron~2330のページより上から参ります。
卓越したグラフィックス機能
グラフィックは増設では無くCPUに内蔵のインテルHD~4000。性能が低いとは言わないけれど、一部の機能を除き増設ビデオカードのランクで言えば中程度。
それを卓越(群を抜き優れている)とは言わず、DELL海外サイトの翻訳をミスっているのでしょうか。または海外なら通用する誇張表現が日本では合っていないとか。
自宅にいながら映画館にいるような臨場感/抜群の臨場感
23型モニタと小型の内蔵スピーカーで擬似映画館はまず不可能。比較にならないほど臨場感は劣るかと。
実物を見聴きしていないので想像になるけれど、私が所有しているテレビ(32型レグザ)でさえLogicoolの激安スピーカー程度の音。パソコン用の23型モニタでそれ以上良い音が出るとは思えず。
いくら内部の性能や機能が良くとも出力するスピーカーが駄目なら音質が良くなるわけが無い為、期待させてはいけない所でしょう。
驚きのパフォーマンスをお楽しみください
Core i7 3770S搭載でメモリは余裕の8GBでPC3-12800。確かに高性能では有るけれど、これらの性能で驚ける用途は限られており、一体型PCを選んでしまう属性の人にはまず楽しめないかと。
地デジやブルーレイはCPUやメモリをもっと落としても余裕で使える上、他の用途は煽るばかりで具体的には提案無し。私ならCPUをCore i3、メモリ4GBにされても判らない自信有り。
上質なデザイン
気のせい。
オールインワンだから可能性は無限大
やたらとオールインワンだからと理由のように付けておりますが、オールインワンとは一体型、ひとまとまりになっているという意味で、用途や可能性とは無関係。
Windows7が入った普通のパソコンにモニタが付いているだけなのでノートと同程度、セパレート(分離)タイプのデスクトップほど可能性は広がらないかと。
修理はノートより面倒なので、修理費用が高くなる可能性という意味なら確かに無限大かも知れない。
マウスコンピューターのセパレートタイプと価格を比較
マウスコンピューターの普通のデスクトップと比較してみましょうか。 DELLの一体型はモニタ付なので23型の相場で15千円を引くと、本体部分は約8万円。
下の表、右3列が比較対象。
右3機種の違いはグラボ(ビデオカード)だけで、DELLの一体型PCは元からグラボが無いので左に有る約6万円の物と同程度という事に。
ブルーレイでは無いのでコンボドライブにカスタマイズすると3150円盛られ約6.3万円。読み書きドライブはプラス5250円なので2千円差ならこちらでしょう。
マウスは送料が高めプラス3150円、ここまでの合計は約6.6万円となり、セパレートでも良ければDELLより約1.4万円安くなる計算。
また、DELLの一体型(約9.5万円)との差額は約2.9万円なので23型でも結構良いモニタが購入出来るはず。臨場感目当てならスピーカーやDACを追加したり、モニタサイズを大きくすると良さそう。
セパレートなら背面が隠れる為、Bluetoothとか無線LANはAmazonとかで売っているUSB接続の1~2千円くらいの物でよろしいかと。
2~3年前のDELLなら今回の一体型PCは7~8万円くらいで売っていたと思われ、なぜこんなに高くなってしまったのか解らない。
デルが一体型PC「Inspiron One 2330」を発売(まとめ)
Inspiron~2330には目立つ特長がもう1つ有りUSB3.0x4本という多さ。
2012年8月現在なら普通のデスクトップでも良くて2本、高級マザーボードになると4本も有るけれど、一体型という省スペースPCな割に優秀。
しかしこれも矛盾しており、USB3.0が多くとも有線で接続すればするほど配線が電源ケーブルのみという利点が薄れ、転送速度目当ての外付けが必要なら初めからセパレートで良いでしょう。ストレージ(HDDやSSDなど)ならUSB3.0より高速なSATA2~3で増設可能。
一体型はPC本体が見えないので見た目や省スペースを謳われ釣られてしまうのかも知れないけれど難点が多め。
- 拡張性はノート並に低い
- パーツ交換は分解になる可能性有り
- 故障時の修理費用が高い(一体型>ノート>>>セパレート)
もう一つ気になる事は、ノートのようにエアフローを極限まで無視した構造でデスクトップ用の高性能CPUや高回転なHDDを入れている事で、内部が高熱になりマザーなどの故障率が上がらないか。根拠や検証は無いので私の単なる勘になるけれど、モニタの裏側が結構熱くなりそうと推測。
保証を延ばし3年にした方が良いと思うけれどプラス1万円。ちなみに延長保証はマウスも高い方なものの7350円。それ以前に一体型は強くお勧めしないので、どうしてもで無ければやめておきましょう。
デスクトップとノートの悪い所を集めたような形が一体型。
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