JEITAより2011年度、2012年3月までのPC出荷台数が公開。
昨年10月に起きたタイ洪水による影響で浸水し、HDDメーカーのWestern Digitalなどハードディスクに関連する企業が操業を停止。PC生産数減少やHDD入手難の噂が有ったけれど、過去と現状を見て参りましょう。
結論から行くと記事タイトルの通り。
出荷台数は2011年10月から6ヶ月(下半期)で前年比107%
PC Watchが手短にまとめているのでこちらから。
【PC Watch】 JEITA、2011年度の国内PC出荷は2年連続で1,000万台超
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120425_529114.html
2年連続とは、一昨年に過去最高で1千万台を超えており、今回の2011年度もそれを維持。更に1年間では前年比8%増と有り、2007年以降の最高値。
出荷金額は毎年落ちているようで、パソコン本体の単価が下がり続けているという事でしょう。今年度からはナショナルブランドの価格設定が妙なので、競争激化でもっと落ちるかも知れませんな。買う側には良い事。
元のデータはJEITAの公式ページにて公開中。
2011年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績 JEITA / 統計データ
http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/2011/
一覧表のキャプチャでは芸が無いのでグラフ化。
赤い縦の線はタイで洪水が有った時期(10月)。緑の横は中央値(882千台)。
日本での影響は10月下旬から突然HDDが値上がりを始めており、それがPCメーカーにも影響した原因で11月の台数がワースト3かと言えばそうでも無し。
前年と比較すると2010年も11月は少なめ。
10月は大幅に出荷台数が下がっているものの、11月以降は1月がわずかに前年比マイナスになっているのみで他の月はプラス。
昨年は1月上旬に新CPUがリリースされたものの、2月にインテル6シリーズのチップセットがリコール。
4月上旬頃まで一部メーカーを除きSandy Bridgeが実質出せなくなっていた為、大きめに今年の方が上回っているのでしょう。
10月は実際に下がっており、洪水が下半期の出荷台数に100%影響していない、とは言い切れないけれど、上の比較を見る限りでは3月まで影響が有ったとは言えず。
確か出荷台数が大幅に落ちると予想する記事が有ったと探すと
タイ洪水でHDD不足、パソコン出荷に大打撃か 米IDC|newsclip.be
http://www.newsclip.be/news/20111114_032744.html
どう見てもIDCです。本当に有難うございました。
世界のパソコン出荷台数が当初の予想を今年第4四半期に10%弱、2012年第1四半期に20%以上、下回る可能性があると指摘
日本以外では下がっているのかも知れないけれど、第4四半期(2011年10~12月)に10%、今年第1四半期(1~3月)20%は盛り過ぎでしょう。IDCは何かと的中率が低過ぎる、または裏目に出る。
記事は更に続いており、HDDに関しても書かれております。
回復は2012年第1四半期に始まり、
第2四半期中にほぼ正常化し、
価格も6月までには落ち着く見通し
第2四半期とは今年4~6月の事。
価格は6月までには落ち着くと有るけれど既に5月。どう落ち着いて来たのか市販HDDの単品価格を見て行きましょうか。
HDD単品価格は3.5、2.5インチ共に徐々に値下がり中
価格コムのHDDカテゴリより、価格とグラフは4月30日時点。
3.5インチ「WD20EARX」の価格推移
まずは主に自作PCユーザや増設用として販売される3.5インチの定番、Western Digitalの2TB(WD20EARX)から。
source:価格.com - WESTERN DIGITAL WD20EARX [2TB SATA600] 価格推移グラフ
発売は2011年5月。突然値上がりしている時期は10月17日からで、2週で最高値となっております。
最高値を発売時と比較すると約2.4倍。他の2TBは、日立(HGST)製品が2万円を超えるなど、驚きを通り越して爆笑するレベル。
2011年末には値下がりが落ち着き、3月までは大して変わらず。3月に入り徐々に値下がりしている御様子。
10月上旬の最安値と比較すると、4月末現在の価格は約1.7倍。値下がりしたとは言え、発売時の価格よりまだ1.4倍くらい高額。
3.5インチ「WD5000AAKX」の価格推移
もう一つ3.5インチ。同じくWestern Digitalでも500GBと容量低め。
500GBはBTOメーカーがBTOデスクトップの標準構成にする事が多く、以前借りたパソコン工房のデスクトップでもこれが入っておりました。
source:価格.com - WESTERN DIGITAL WD5000AAKX [500GB SATA600 7200] 価格推移グラフ
10月3日の週で急落している原因は不明。ツクモ辺りが特価セールでもしていたのかも知れない。
細かく数値を出すと疲れるのでグラフを見た感じで行くと、1月に最安3千円の物が2週間で3倍の9千円へ値上がり。
現在は6千円強なので、まだ最安時の2倍以上の価格。自作PCで安くCドライブにするなら4千円は手頃という程度。増設用としては容量単価が高く需要は低いでしょうな。
最安価格の推移は、2012年の4ヶ月ではほぼ変わらず。
2.5インチ「MK3276GSX」の価格推移
単品販売は主にノートのHDD換装用。または小型なUSB接続用ケースに入れると思われ需要が低く、あまりあてにならないグラフ。
メーカーPCはノートが多い為、このような感じかもという程度にて。
source:価格.com - 東芝 MK3276GSX [320GB 9.5mm] 価格推移グラフ
最安当時は3300円、最高は8千円、現在5千円くらい。最低と最高時を比較すると2.4倍へ値上がり、最安時と現在を比較すると1.4倍程度。
IDCの予想では後2ヶ月で3~5割引になるのかも知れないけれど、日本の事では無く世界のどこかの事や平均を言っているのかも知れませんな。
そんなわけは無いと思うけれど。
地デジPCは伸びず、3D対応PCは需要ほぼ無し(おまけ)
HDDが昨年10月の最安まで値下がる時期はまだ先。パソコン出荷台数には影響無いと見え、出荷金額の値下がりから単価も上がっていないという事。
まとめは以上。JEITAに面白い数値が上がっていたのでおまけで2つ。
私が勝手に赤で囲んだ箇所を御覧有れ。
上の3D対応パソコンは月あたりの出荷台数が2~8千台で、平均は精度が落ちるけれど4,750台くらい。
1年間で割合を出すと、3D対応PCは全体の5%。対応ハードウェアが売れなければコンテンツが増えないという停滞状態と思われ、今後のシェア拡大は遅いと言えましょう。
また、DELLやHPの他にドスパラやマウスなど3D対応に力を入れていないメーカーは数値に入っていない為、実際のシェアは確実に5%未満。
もう一つの地デジ対応PCは四半期毎の推移で見ると、第4四半期の落ち込みが目立っております。既に地デジTVは普及率9割を超え、パソコンでやる需要が有るのか今後が気になる所。
3D、地デジ、いずれにしてもそれらの機能が必要で搭載PCを買うより、良く解らず店員に勧められて購入したノートや一体型PCに付いていた割合が高いと思うので、地デジは良いとしても3Dコンテンツは厳しめ。
使わない機能が載っていると、(在庫処分を除き)その分が無駄に高額で、故障箇所も増えるもの。
どうしても3Dや地デジTVをパソコンでやるなら良いけれど、コンテンツ不足で迷っているなら次回のPC買い替え時に再検討という考えもございましょう。
HDDはまだ高いけれど、余った予算でバックアップ用HDDの購入を推奨。4月末から発売のPCでCPUがIvy Bridge(正確には+インテル7シリーズ)ならUSB3.0が標準なのでお勧め。
パソコンの購入は、店員のノルマや売りたい機種では無く、自分の用途に合う性能と機能を厳選し予算を絞りましょう。
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