マウスがダブル水冷モデルを更新。
何がダブルかは、CPUとビデオカードをいずれも簡易水冷にしており、しかもラジエーターが1つで済むというオリジナルの設計。グラボはもちろんGTX 1080、ついでに1070の機種もございます。
適当に見て参りましょう。
ビデオカードも簡易水冷化したゲーミングPC
プレスリリースをPC Watchより。
マウス、水冷のGTX 1070/1080とCPU搭載ゲーミングPC - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1018148.html
リンクタイトル「水冷の」は1070/1080/CPUの3つに掛かっております。
CPUとビデオカードの水冷ラジエータを統合し、冷却性能と省スペース化を両立。ゲーミングにおいて安定した性能を発揮するという。
画像の方が分かりやすい。
グラボとCPUのチューブが連結されており、背面のラジエーター+冷却ファン1つのみで冷やすという。
リアファンが12cmとするとケースが小さく見えてしまい、奥行き543mm x 高さ450mmが矛盾していると思う為、おそらく14cmファン搭載なのでしょう。ケースの幅は19cm。
しかしCPUとグラボを同じラジエーターで冷やせるものなのか。いずれかが高温になれば温水が巡る事になり、文字通りの悪循環にならないのだろうか。
ダブル水冷化したグラボの特徴と価格差
その心配は無さそうなインタビュー記事がこちら。1年くらい前の話。
コネクタを繋ぐCPU・GPUダブル水冷ゲーミングPC-GAME Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/709556.html
この画像を見ても水流の方向が分からないけれど、グラボを通過した温水がCPUへ行く、またはその逆が起こっているように見える。
しかし、
実際にテストしてみると、「GeForce GTX 980」と「Core i7-4790K」だと、1つのラジエーターだけで耐えられることがわかりました。
TDPを各公式で見て来た。
- GTX 980:165W・・・GTX 1080:180W
- i7-4790K:88W・・・i7-6700K:91W
性能差は大きくともTDPの差は大した事が無く、本当に行けるか実験して出しているのだろうから大丈夫なのでしょう。
記事を読むと、このジョイント式のチューブはマウスが3年かけて作ったオリジナルらしく、1千回も着脱可能だとか。但しそれは物理的に壊れないという意味と思われ、抜けば少しは水漏れするだろうからユーザ側でメンテするものでは無し。
この部分も興味深い。
そもそもCPUとGPUを個別に水冷した時には、必要以上に温度が低いんです。温度が10度高くてもファンノイズは変わらないし、オーバースペックだと感じていました。
確かに。CPUもグラボにしても簡易水冷は優秀過ぎるというレビューを頻繁に見かける、そこで「1個でいいんじゃね?」と試してみたらその通りだったという。
私含め、簡易水冷に詳しく無い人には役立つ勉強部分。
水冷は高負荷になっても、ラジエーターにファンを当てることしかできません。ファンの回転数を上げれば冷えるというものでもないので、ラジエーターを大きくして空気の接触面を増やす方が大事
空冷のイメージでは温度が上がればヒートシンクをより効率的に冷却しようとファンの回転数を上げるものだけれども、水冷の場合はラジエーターなので事情が違うという。
ポンプもあまり早く回しても、冷えていない水を流すだけになり、温度が上がってしまいます。
個人的に目からうろこ。そりゃそうだと思った。
ここからは価格について。
水冷化していないモデルと比べて、2万円違います。
空冷の同じ仕様をマウス内で探すとそのまんまで2万円水冷の方が高価。マウスは全体的に安いので、ゲーム用PCで気合の入っているドスパラとも比較してみましょうか。
GTX 1070搭載の空冷がこちら。
マウスのGTX 1070搭載ダブル水冷は179,800円、ドスパラは元の価格が約17万円となっているので1万円マウスが高く、値引き後との差は2.4万円くらい高い。主な違いはドスパラはSSD容量がマウスの約2倍。
ドスパラのGTX 1080。
マウスは204,800円なので値引き前後関係無くダブル水冷の方が安い。
違いはドスパラ側はメモリが32GBまで盛られており、HDDが2TBでは無く3TBになっているところ。中々無駄な盛り方と思うので、こちらは文句無しにマウスの方が良いと言えそう。
マウスは知らないけれど、ドスパラのグラボはPalit~製品のはずなので、GTX 1070と1080では他メーカーとの価格差が出ているのかと。
ではグラボ単品ではどのくらい違うのか。自作用パーツの簡易水冷なGTX 1080はGIGABYTEが出しております。
source:価格.com - GIGABYTE GV-N1080XTREME W-8GD [PCIExp 8GB]
2016年9月現在の空冷GTX 1080の相場は8万円台なので2.0~2.6万円ほど高価。OCの価値はわずかとするならば、マウスのダブル水冷+2万円はアリでしょう。
マウスのダブル水冷はコンセプトモデル(参考品、今後の方向性を見せる)になっているけれど充分普通に売れると思われ、空冷の一覧へダブらせて突っ込んで売れども良さそうな気がする。
ダブル水冷なのでCPU1万円+グラボ1万円と思えば別に高くはございません。問題は保証期間終了後にグラボ故障すると修理交換代いくらなのか。
自作PCでもグラボ改造で水冷化は一応可能(おまけ)
最初から水冷化されたグラボの場合、水冷クーラーとグラボが一体化されている物が多く機種が少ないので性能が限定されてしまう。
しかし現在はこのような物もございます。
source:Amazon.co.jp | NZXT 水冷クーラー用GPU冷却ユニット ホワイト KRAKEN G10-WH
白以外に黒と赤も有り。
画像の一式セットで約5千円という物では無く、水冷キット部分のみでクーラーは別売り。空冷のヒートシンクとファンなどを取り外して換装するという中~上級者向きな代物。
グラボを改造する形となりCPUの空冷から水冷化より難易度は高いと思われ、これもリファレンスのみ対応という機種がやや限定されており何にでも付くわけではござらない。
1070/1080改造用もあるにはあるけれどやや高い。
NVIDIA GeForce GTX 1080 / 1070に対応する、ハイブリッド水冷クーラー「HYBRID Water Cooler for GTX 1080 and 1070」(型番:400-HY-5188-B1)を発表した。直販サイトでは既に販売が開始され、価格は119.99ドル。
米Amazonの実売を見て来ると約150ドル、海外購入のハードルも高い。
マウスの話を信じるならば高性能グラボの水冷化は大有り。しかしそこまでして温度を70度から40度くらいまで下げたいか、下げる価値があると思うかは人それぞれでしょうな。
ところで簡易水冷、せっかくチューブが有りラジエーターとファンの場所を好きな所へ設置出来るのだから、マウスの着脱式のようにし延長コードとか対応し、扇風機の前に吊り下げるとかエアコンの吹き出し口に吊るとか出来て欲しいと思った。
いつも思うんですけど、ケース内の空気を使ってラジエターから放熱ってどうなんでしょう。
ケース内の空気って事は、電源・HDD・チップセット・MEM等からの廃熱で昇温してる訳ですよ。
リアではなくフロントにラジエターを設置し、直線的なエアフローを作って排気するようなケースは出ないんでしょうかね。
よ~しサイコムのマしちゃうぞ
簡易水冷から静音シリーズへ
早く!早く!早くやっときゃーよかったげな
>CPUとビデオカードの水冷ラジエータを統合
ケースの構造的に、フロントの吸気ファンから入った風はまっすぐグラボに当たり、上下へ別れる流れですから、排気ファン位置に取り付けられたラジエータを冷やすのに支障は無さそうですね。
底面の中央にもファンを取り付けられそうですから、冷却が足らなければ風を撒き散らすタイプの吸気ファンを付けると、マザボを冷やしつつ上段のラジエータファンまで冷たい風を運べるやも。
>グラボを通過した温水がCPUへ行く、またはその逆が起こっている
簡易水冷はヘッドとポンプが一体化していますから、ヘッドから熱い水が出て、ラジエータで冷やされた水がヘッドへ帰ってくるはず。と考えれば、
CPU→グラボ→ラジエータ→CPU→グラボ→ラジエータ
の流れになるはず。
>ラジエーターを大きくして空気の接触面を増やす方が大事
私も大して詳しくはありませんけれど、ヒートシンクが放熱に対して、ラジエータは熱伝導ですから、ファンでは冷えんよな、とは思います。ファンの役目はラジエータの冷却ではなく、周辺の空気をかき回して、空気への伝導効率を上げるため、なはず。
接触面積を増やす他、熱伝導率の高い素材、例えば銅を使う手もありますね。マウスが採用しているラジエータの素材は不明ですが、コストとか重量とか考えると、恐らくアルミ合金。銅の半分にも届かないはず。
※銅にすれば2倍のスピードで冷える訳では無し。