日を追う毎に話題にならないネットブック、別名ミニノート。
小型で軽量なモバイル端末として売れまくった激安なノートの代用。私も約2万円で叩き売られていたネットブックを1台持っており、セカンドや予備PCとして購入するユーザが多いという調査結果に則っております。
もう終わるだろうと思う理由を5つ考えたので暇ならどうぞ。
ネットブックとはどういう物か、私が所有している一例。
フロンティアのネットブックFRUXの評価とレビューと分解
https://bto-pc.jp/select/frontier-frux.html
一見すると普通のノートに見えるけれど、キーの大きさから判るかも知れない、画面サイズが10.1インチと小型。単純に21インチ液晶の1/4以下の大きさで解像度も低く1024x600という板PC並。
性能も低いとは言え、軽めな用途なら充分使える仕様。予備PCとしては充分。しかし終わりが見えて来たと思う理由を5つ。
小型で低価格なネットブックが終わる5つの理由
1.DELLがラインを停止するレベル
TechCrunchの海外記事より。翻訳されているのでご安心有れ。
Dellがネットブックの生産を停止–これからは超薄型ノートの時代か
http://jp.techcrunch.com/archives/20111215bye-bye-netbooks-dell-kills-the-mini-10-as-it-shifts-(略)
噂とされてはいるものの、内容は具体的。
(低価格ノートの)製品ラインはたしかに終了し、今後のIntelの新機種によって復活することもない。
日本では現在もネットブックのような物を販売してはいるけれど、単に画面が小さいのみで価格は5万円になっていたり、イーモバイルと抱き合わせの約1万円など、本気で売っているようには見えず。
日本のDELLは国内でパソコンを製造しているわけでは無く、日本の場合は中国福建省の工場からの輸入。
DELLから低価格を取ってしまうと何も残らない気がするので、全ての低価格ノートが消えるとは思えないものの、ネットブックに関しては製造しないという噂。
DELLに限らず国内でも最近はネットブックを宣伝しているBTOメーカーは皆無。有名メーカーならソニーがVAIOでやっている程度。
なぜこうなってしまうのか、推測では有りますが理由は次の項目。
2.普通のノートが低価格過ぎる
ネットブックが流行し売れ始めた時期は、私の記憶が確かなら2009年前半頃から、約2年半くらい前の話。
当時はCeleron搭載で低性能な低価格ノートが6万円前後でネットブックは激安PC。しかし、時間の経過であらゆるパーツが値下がりし、現在はAcerやLenovoが低価格ノート市場を席巻。
source:価格.com - ノートパソコン 人気売れ筋ランキング
価格コムのランキング上位5件の中でネットブックと言えそうな物は1位のAcerのみ。2、3、5位はモニタサイズが15.6型、4位はCore i5搭載。
約27千円で1位の小型PCにするか、約3万円に上がるけれど2位の普通のノートにするか、個人の価値観や用途などに違いは有るけれど、普通のノートよりかなり安かったネットブック という感覚が無くなっているわけです。
そもそもネットブックとは何なのかは次へ。
3.元はマイクロソフトのXP潰し
良い言い方をすると、古いXPから新しいWindows7へ移行させる為の大戦略。
ネットブックとは何を指していたのか、既に定義がグダグダなので過去の情報も載っているWikipedia(ネットブック)を参考に、米IDCによると
- 500ドル未満
- 7-10インチ程度のディスプレイ
- サードパーティ製アプリケーションの動作が可能な機能が限定されないOS
- キーボード搭載
- ブロードバンドインターネット接続に対応
しかし海外、しかも市場調査会社がおそらくこんな感じとして出した情報。日本で馴染み有る定義はマイクロソフトの方。
12.1型画面以下で1GHzを越えないシングルコアCPU、主記憶は1GBまで、補助記憶は160GB-HDD、又は32GB-SSD
主記憶はメモリの事。これはマイクロソフトがWindows XPのHome~やWindows7のStarterエディションを安くOEM提供する条件。
Win7を売る為にXPを蹴落とそうとしたものの、当時はXPがまだ使える(ネットブック用以外は終了していた)という宣伝でネットブックが大ブレイクし、ユーザ視点ではWindows7は様子見の状態。
マイクロソフトとしては、XPは性能が低く小さい画面とキーボードで操作してくれ、普通の高性能PCならWindows7が良いでしょう、というネットブック潰しとも取れるやり方。しかしXPの勢いが止まらずAcerやASUSが出荷台数を大きく伸ばしておりました。
既にXPは完全に販売が終わっており、売られていても在庫をプレミア価格で売っている一部の小さなショップのみ。マイクロソフト的にもネットブックは既に終わり。
次は何かと言えば、やはり板PCや携帯電話でしょうか。
4.スマートフォンやタブレットPCへ?
電話や板PC(以下、お触り端末)がパソコンの代用になるかは、パソコンで無ければ出来ない、または非効率になる事はお触り端末では代用出来るとは言えず、元からパソコンやWindowsで無くとも動作する用途なら代用可能。
共通点は主にWebブラウザ。ブラウザで出来る事ならお触り端末でも可能。AndroidやiOSはWindowsには無い特長が様々有り、Webブラウザ以外で比較する事が元からおかしい。
ネットブックがタブレットPCに置き換わるという記事を過去に見た気がするけれど、ネットブックを持っている人間は主にセカンドや予備PC、または勘違いしてメインPCとして購入してしまった人達。
パソコンとして使うならキーボードの付いたWindows PCで良く、無理にネットブックより高額な板PCなどを使う理由はございません。
2番で書いた普通のノートが安過ぎネットブックが廃れる理由にはなると思われるものの、板PCは違うと思う。
しかし何割かはお触り端末への乗り換えでネットブックやノート、場合によりデスクトップさえ要らなくなるかと。その中でもネットブックが最も立場が弱い。
5.製品の利益や保守費用の限界
最後は個人的に思う、単純なコストの問題。
大型ノートにしても小型なネットブックでも、最低必要になる製造費用には下限が有り、それを切ると作らない方が良い(利益が出ない)という境界線。
分かり難いので仮想で例を書くと、ノート型PC1台を作るにはCPUやメモリ以外に本体部分(ベアボーン)が必ず1台必要になり、小さいからとは言え15.6インチと10.1インチの液晶パネル原価に2倍もの差は無し。低価格な機種ならCPUやメモリも同様、HDDやSSDはほぼ違いが無いでしょう。
更に台数単位では関わる人間の数や作業の時間も変わらず、梱包の箱も大差無いとするなら1コンテナ手配する為の費用は性能に関わらずほぼ一定。
販売台数に比例し修理台数も増えるとするなら、2.5万円のネットブック100台売るより5万円のノートを50台売った方がメーカー側の故障数(率では無い)試算による引当金は半減に近くになりましょう。ノートのCPUは滅多に故障しない為、CPU性能は高くとも問題無し。
ネットブックの需要や特長が太くならねば量産できなくなるわけです。多くは中国や台湾での製造。輸送費用が結構でかいでしょう。
ネットブックには無理が有った普及の条件(まとめ)
ネットブックの特徴を書き出すと。
- △ 性能が低め、画面やキーボードが小さめ
- ○ 重量が軽めで設置に場所を取らない
- ◎ 昔は普通のWindowsPCと比較し激安だった
- × モバイル端末としてバッテリ駆動が中途半端
最大の利点な◎がノートの低価格化で消え、○に関する移動や設置スペースに関しては需要が低め、とするなら残るは低性能で操作しずらく、そしてバッテリ駆動が中途半端という難点。
バッテリ駆動を長くしようとすると2種類の方法が有り、お触り端末のように性能を極端に落とすか、大容量(大型)バッテリを搭載するか。WindowsPCなので性能は落とせず、小型なので物理的にバッテリは限定。
ネットブックが存在し続けるには、
- 超小型で超低額な長時間バッテリが開発される
- メーカー側が赤字覚悟で製造し続ける
- 小型PCの新しい用途が何か出る
タブレットPCなどを見ると私のようなパソコン派には「パソコンでいいじゃないか」。お触り端末派はパソコンを見て「スマートフォンで事足りている」。
どちらにも求められず、どちらも中途半端なネットブック。PCやお触り端末の低価格化におされて消滅すると予想。
ちなみに私がネットブックを何に使っているかは主に二種類。
- Windows7環境でブログのネタ用に何かテストしたい用
- 知人のパソコンが故障した際、貸して差し上げる用
毎日6時間以上酷使されるメインPCの稼働率25%以上とするなら、ネットブックは0.1%くらい。年に数回しか電源を入れる機会が無く、無くても困らないレベル。
Windowsアップデートが長すぎて困る事は良く有る。
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