PCメーカー全体なのでノートPCの話で。
日本HPならば東京生産、VAIOは安曇野フィニッシュ、富士通はシマネ出雲モデル、NECが米沢品質などと国内生産を謳っているもののどこまで日本で製造しているのかはメーカーにより割と違う。
情報が古い箇所もあるのでおおよそで。
メーカーにより違うパソコンの製造と生産工程の内訳
国内でPC販売しているメーカーならば、製造と生産の違いは主に3種類。
ベアボーンを仕入れて組立(BTO、旧ソニー、VAIOほぼ、おそらくNECも)
ベアボーンとはこちら。
ベアボーンキット(Barebone kit)とは、パソコンの組み立てキットの一種。HDDやメモリなど一部の部品を取り付けることで完成する。ベアボーンとも呼ばれる。
source:ベアボーンキット - Wikipedia
ノートPCの場合は基本HDDなし、ソケット方式ならばCPUとかメモリが外された状態の半完成品の事で、CPUなどを抜きにした状態で大量に中国などから仕入れる方法。
利点はCPU、メモリ、HDDを換装可能なのでカスタマイズ可能かつ修理交換も簡単。ベアボーン部分の仕様は全く同じなので大量生産によりコスパ良好。
難点はHDDなど外せるパーツ以外、例として液晶パネルやマザーボードが故障した際、分解不可の契約ならベアボーン交換になり超高額化。パーツ交換可能だとしても作業が複雑な上にパーツ単品は割高なのでやはり修理代が高額化。
具体例としては11年も前の製品だけれども、このような感じ。ノート底面。
メモリのソケット2つとHDDが入っておりません。
なぜ11年も前の製品を例にするかは、現在はノートのベアとか流行らない。なぜ流行らなくなったかは、数が売れない=高額化=誰も買わない、の流れで廃れて行ったのでしょう。
昔は完成品のノートが高額、または性能が低かったので自作する人も居たところ、今は数万円出せばそこそこ高性能なので手間な割に安くはならず、だいたいCPU単体での新品販売が無い。
PCメーカーはCPU、HDD、メモリなどをインテルの代理店とかWestern Digitalから直接大人買いし、ベアボーンは世界規模で有名なCLEVO、Quanta、ECSというメーカーからコンテナに詰めて海上輸送。
私の知る限りでは昔ソニーのVAIOがQuantaのベア、今はパソコン工房のノートはCLEVOばかり。ソニーはケース部分の設計をカスタムするので高い、パソコン工房などはカタログから発注するので安い感じ。
現VAIO社はZ以外は中国。
安曇野工場を見学。中国生産のノートPCもストレージやOSは日本で導入(中略)最も製造難度の高いVAIO Zのマザーボードは,安曇野工場で製造しているという。
現在のNECはLenovoが中国でベア作っているのだと思う。
他の工場見学記事でもマザーボードから製造している様子は無し。昔は知らない。Assembledの意味は組立であり、メイドインでも製造でも無し。
「Assembled in Japan」が刻印されたステッカーが貼られ、外箱にも「米沢生産」のロゴが貼られる。
また、以前はサイコムがMSIのノートPC、今は小型PCを販売している、これらもベアボーンの可能性がございます。しかしMSIは完成品を持っているので、ベアでは無い可能性も。
基板から製造して組立て(富士通、パナソニック)
富士通とパナソニックはPC変態には有名な話だと思う。
さすがにスマホやタブレットは海外だろうと思っており驚いたので2つに。上が島根富士通のパソコン、下は液晶モニタも兵庫で基板から製造しているそうな。
パナソニックは神戸でやはり基板から。
source:比嘉愛未さんの神戸工場見学 | パソコン(個人向け) | Panasonic
富士通がなぜ国内で製造しているかは知らないけれど、島根な理由は人件費と土地建物が安いからでしょうな。
パナソニックのレッツは価格高くても買う人は買うだろうとして、人件費とか無視なのか。レッツの場合は、中身の空間を詰める設計以外、筐体部分の強度を上げなければレッツと言えないので全部国内生産になるのでしょう。
海外で製造して日本へ出荷(DELL、Apple、東芝)
DELLの日本への販売は中国の福建省に拠点あり。
世界中全てのDELL製品がここで製造されているわけでは無く、ヨーロッパならばアイルランドのように複数の工場が存在する模様。
DELLは今でも以前本で読んだ通りならば、他のPCメーカーとは少々違う製造工程となっております。分かり難いけれど図があったので拝借。
source:Dell - デルコンピュータ日本サイト オンライン・プレスルーム
DELLが顧客から発注を受けると、工場へ製造を連絡。そこへBTOや国内大手のようにCPUなどの在庫があるわけでは無く、インテルの代理店などがDELLの工場を中心に建てられており、受注があった分だけを仕入れるという方法。
なぜそうするかは先に受注分の決済があり、在庫と支払いを後回しにする事で在庫金額やフリーキャッシュフローを有利にする為。最近は家電量販店で在庫販売しているので例外はありそうなものの、中国で製造し組立後に出荷が基本。
Appleは公開しないので真偽不明な部分もあるけれど、時々流れる情報によると中国のFoxconnで基板を製造し、国内のシャープから液晶パネルを買うなど聞いております。
私がMac mini購入した際は中国から1日で空輸されて来た。
そして東芝。
私は今まで勘違いしておりました。VAIOと富士通との三社で行く件は破談になったところまでは合っているけれど、中国の工場は撤退していないらしい。
報道にあるような杭州工場を売却し、生産から全面撤退する方向で調整している事実は一切ない
というわけで、東芝も中国で製造して国内へ。
予想:日本HPは海外拠点で製造し国内で組立?
おそらくだけれども、中国などで製造した物を国内、東京の昭島工場へ運び組立てしているのだと思われる、その記事がこちら。
生産ラインの工程は、次のようになる。
アッセンブリー(組立)> プリテスト(初期動作試験)>(略)
それがどうしたという話でもある。
パソコンの場合は中身の部品はどこもそう変わらない
昔、電気屋の友人から洗濯機は日立が良いと聞いた事があり、選び方解らないのでそうしている理由は、洗濯槽を回すモーターに違いがあるらしく、扇風機のような回転する機器も日立がおすすめとの事。
ではパソコンはどうなのかと言えば、確かに基板から製造している富士通と、台湾から仕入れているメーカーでは何か違いがあるのかも知れないものの、搭載しているコンデンサなどのパーツがどうなのかまではまちまち。
例として私のデスクトップPCの基板。
source:ASRock > Z97 Extreme6
参考:ニチコン株式会社 | ホーム
おそらく中身見えないノートPCでここまで気を遣うとは思えずコスト優先ならば、いくら国産していようとも上の台湾製マザーボードほどの耐久性は無いかも知れない、あるかも知れないけれど。
日本製の電源はクソ高いので採用しているPCは滅多に無く、バッテリにソニーとか書かれていてもメイドインは普通チャイナ。
CPUは2種類のメーカー、メモリも今やチップは主に3~4種類、ハードディスクも3種類のメーカーしか選択肢は無く、私に言わせるとSeagateならハズレ、WDは普通、東芝はうるさい、どれが採用されているかはノートを購入してみるまで不明。
中国人が組立てたノートPCと私が組立てた自作PC、どちらの品質が高いかは愚問であり誰が構成しようと関係無し。ニチコンならマザーボードの寿命長いかといえば他の箇所が故障するやも知れず。
大手メーカーのPCが高額な原因は高級時計と同じで宣伝広告費が高いから、Apple製品が高価な理由は原価率が低いから、BTOパソコンが安く見えるのは宣伝や人件費などが大手より安く利益率の設定が低いから。
昔ほど安い=品質が悪い、というクソ記事は見なくなったものの、今でも時々Yahoo知恵袋などで暴れるクレーマーがいるものの華麗なるスルーにて。
以上。安曇野や米沢や東京生産はメーカーの自己満足と思いましょう。私ら買う側や使う側にはどこで誰がパーツ組もうと無関係な感じ。
>ノートのベア
買おうと思ったこともありませんでした。デスクトップ向けのベアボーンキットも、人気がありませんでしたね。いつ頃に最盛期をむかえていたのか分からないまま、廃れていった印象が強いです。
>安曇野工場
あづみのって何処にあったっけ、と思ったら長野県ですか。そういえばわさび農場へ行ったことがありました。わさびジュースがすこぶるマズかった記憶が。
ASCII.jp:新「VAIO Z」「VAIO S11」も追加! 安曇野市ふるさと納税
http://ascii.jp/elem/000/001/143/1143777/
>DELL
注文してから手元に届きくまで、時間がかかることで有名。少しでも検索して製造工程を調べれば、それが当たり前なことはすぐに分かることでも有名。
>どこで誰がパーツ組もうと無関係な感じ。
修理にはそれなりの経験と技術が生きる場面もありますが、組み立ては10年だろうと20年だろうと、経験を積んでもそれが品質に影響することは無いですね。修理のプロフェッショナルは居ても、組み立てのプロフェッショナルは自称を除いて居ないでしょうから、素人で無ければ良かろうな印象。