年に数回ネタにしているクリエイター向けPC。
私がクリエイターというわけでは無く、オフラインで周囲にクリエイターが結構居る為やっております。選び方が判らない、金なら有る、リンゴが好きならMacで良いと思うけれど、Windows PCなら選択肢は自作かBTOパソコン。
今回の新製品は約70万円から、適当に見て参りましょう。
SSD 120GB+800GB搭載のクリエイター向けPC
マウスコンピュータのプレスリリースより画像を拝借。
いつもながらの高性能CPU、大容量メモリ、ビデオカードはQuadro搭載のデスクトップなものの、今回やたら価格が跳ね上がっている原因は、Quadro以外にはSSDに有り。
最下位モデル(約70万円)より、主な仕様を引かせて貰うと。
- OS:Windows 7 Professional 64ビット
- CPU:Core i7-3930K(3.2-3.8GHz、6コア/HT対応、12MB)
- メモリ:32GB(4GBx8、PC3-12800)
- マザー:インテル X79 Expressチップセット搭載
- SSD1:240GB(120GBx2 RAID-0、インテル SSD 520 シリーズ)
- SSD2:800GB(インテル SSD 910 シリーズ)
- グラボ:Quadro 4000(ビデオメモリ 2GB)
- DVD:スーパーマルチドライブ
- 電源:700W(80PLUS GOLD)
上の画像、右のように普通のSSDとは違い、PCI-Express(パソコン背面辺りの拡張スロット)へ挿す仕様となっており、インテルとしてはデータセンター用にリリースしたもの。
市販品が見当たらず、価格情報はこちらのニュースを参考に。
【PC Watch】 インテル、PCIe x8接続で最大リード2GB/secのSSD
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120413_526213.html
800GBは約32万円。単に容量がでかいだけでは無く、タイトルの通り最大読込速度は2GB/秒、記事本文には書込1GB/秒と記載有り、ケタ違いな性能。
もちろん最大なのでそこまで出るとは思えないけれど、性能以外の特長は耐久性で、一般的なSSDの約30倍と書かれております。これも可能性なので、故障する時は壊れるけれど。
SSD1としているRAID(レイド)0とはストライピングという方式で、2台のストレージを1台に見せかけて高速化する技術。ドラゴンボールでいうとフュージョンのような。意味不明失礼。
というわけで、CPUが約4万円強、グラボが8万円くらい、SSDが3台で34万円程度。なぜ70万円もするかは、大量生産出来ず価格が乗っているのでしょう。
量産系BTOメーカーのPCが安い理由に反しているわけですな。これなら自作PCの方が数十万安くなるけれど、インテル910が手に入らないというか普通要らないと思う。
何でもQuadroや高速大容量SSDが必要でも無い
似たようなタイミングでドスパラからもイラストレーター向けの新製品。
【PC Watch】 ドスパラ、イラストレーター向けのノートPC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20121130_576447.html
ポイントは、マウスコンピューターの新製品はクリエイター向け。ドスパラのこのノートはイラストレーター向けという違い。
マウスの高級PCはクリエイター向けとして何でも出来るレベルになっており、主にOpen GLが必要な3D処理を使う人用。ドスパラのノートは、イラストという紙(平面、2D)デザイン用。
ドスパラのノートの仕様も主なものだけ一覧。
- OS:Windows7 Professional
- CPU:Core i7-3630QM(2.4GHz、ビデオ機能内蔵)
- メモリ:16GB
- マザー:Intel HM76 Expressチップセット
- GPU:GeForce GT 640M(1GB、Optimus対応)
- SSD:Intel SSD 335シリーズ240GB
- DVD:スーパーマルチドライブ
- 特典:ちほさん描きおろしの壁紙プリインストール
高性能では有るものの、最上位に近いとは言えない構成。
ノートなのでCPU性能には限度が有り、メモリもスロットの少なさから控えめ、とりあえずで付けたようなビデオカード、最近安くなり私も購入したレベルの無難なSSD。
絵を描く程度というと誤解されそうだけれども、2次元創作ならこの程度でも充分でしょう。おそらく同じ事をマウスの高級PCでやっても体感で差がほとんど無いと思われる性能。
では、クリエイター向け、イラスト用PCはどのように選ぶか。私はクリエイターでもイラストレーターでも無いけれど、彼らに聞かれる事が有るので答える内容をメモ的に。
CPUは予算次第で可能な限り高性能へ
CPU性能はどの程度高ければ良いかは予算次第としか言えず。
金が有り余っているなら、デスクトップPCなら10万円前後。しかしコストパフォーマンスを考えると最上位から3ランクくらい下がよろしいかと。
私のように文字を打ち、時々画像をリサイズして保存するだけならCeleron(比較的低性能)でも良いけれど、紙デザインなら解像度が自然と巨大化するなど考えられる為、あまりにもなめた安物はやめておいた方がよろしいかと。
CPU性能の見る箇所は~GHzの部分で3.0以上が無難。コア数は利用するアプリケーションがどこまでマルチコアやマルチスレッドで動いてくれるか次第。
メモリは8GBまでは安いので盛って良い
メモリの低価格化は止まらず、2012年12月現在では1枚8GBまでは載せて良いくらいまで値下がりしており、特に4GBが最も割安。
メモリスロットの数は限られている為、スロットが4つなら32GB(8GBx4)か16GB(4GBx4)かで考えると良いでしょう。
これは自作PCならの話なので、BTOパソコンなら最低4GB、将来性を考え8GBは有った方がよろしいというか、クリエイターなどデザイン系PCならそのくらい標準で載っているはず。
32GBまでならコストパフォーマンスに大差無いので盛りましょう。
Quadroどころかビデオカードは必要か
マウスは3D処理目的としてQuadro、ドスパラのノートはVRAMの為か良く解からないけれどGeForceが搭載。
インテルCPUがCore iシリーズになった時から、グラフィック機能はCPUに内蔵されており、高性能CPUなら下手すると低性能なGeForceより内蔵GPUの性能の方が上かも知れず。
用途によるものの、インテルは動画のエンコード処理速度を自慢していたので、高性能CPUならグラフィックボードやカードは不要かも知れない。
また、いつも書くけれどQuadroは3D処理をしないなら不要。
ストレージはバックアップを基本として
マウスのSSDは容量のみならず速度に特化されており、起動ドライブはRAID0、大容量SSDは高性能かつ高耐久を謳うもの。
しかし、パソコンを使う以上バックアップは基本で、いくら高級で高額だろうと故障するときはするのがパソコンという物。
70万円とか凄まじいPCを買う金が有るなら、10万円くらい足して1TB以上のRAID1仕様なNAS(ネットワークドライブ)などで自動バックアップがよろしいかと。
金をかける所はPC本体以外に無いか
更には、バックアップ以外にパソコン以外の箇所。
私がクリエイター系の人へ常々言う事は、モニタはナナオ(EIZO)の10万円超えクラスを持っているのか。紙デザインならもっと良いでかいプリンタは要らないのか。
PCの高速化で処理速度を上げ作業効率を高めるのは良いけれど、肝心の操作する側、人間の性能や耐久性はどうなのかと。
私は現在、安物ながらEIZOのモニタでこれを書いておりますが、光沢液晶の安物モニタとは比較にならないほど快適。キーボードは羽毛のようで疲れ難くかつ高速化、マウスはトラックボールに変えて更に疲れづらい環境へ。
大容量SSD搭載クリエイター向けPC(まとめ)
マウスコンピューターの今回の新製品は、最低でも70万円、最上位モデルは約85万円というぶっ飛んだ価格で出しており本当に販売しているけれど、これはコンセプトモデル(参考品)のようなパソコンなので普通は要らないでしょう。
どこに需要が有るか妄想すると、今後数年間は安定して収益が見込める個人や企業。70万円のパソコンなら4年の減価償却(定額法)で経費処理は1台あたり16万円/年くらい。
それなら16万円のPCを毎年買い換える、32万円で2年毎に、またはグラボがQuadroならそれだけ抜いて使い回した方が経費削減として現実的。
マウスは本気で売っているけれど、金を持っている企業や個人クリエイター掛かればラッキー程度と思われる為、30万円を超えるQuadro搭載PCには御注意有れ。
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