久々にクリエイターPCご相談。
要点は「AdobeのPhotoshopとIllustratorを同時起動してもストレス無く動くスペックについて」とのことでお便りを着弾。10年前にそういう相談をされたけれど、今は時代が違うので改めて。
ちなみに私は非デザイン系ながらフォトショのCS5使用中。
フォトショとイラレを同時起動可能なスペック2020
フォトショとはPhotoshop(フォトショップ)、イラレはIllustrator(イラストレーター)の略で、多くのデザイン系企業や職人が愛用している画像編集ソフト。
設計ならCAD、会計なら弥生、ゲーマーならばSteamというくらい市場占有率が高いやつらしく、冒頭で書いた通り私もフォトショのバージョン5なる超旧製品を使用中。当時、定価で買うと10万円とかするマジキチ設定。
今はフォトショに限らずAdobe製品は新バージョンになると簡単に編集できる機能が増えるらしく、現在はCC(クリエイティブ・クラウド)という月額(サブスクリプション)が最新。
Adobe Creative Cloud
https://www.adobe.com/jp/creativecloud.html
今回の相談者殿(以後、T氏)は画像の左上と右下のフォトショとイラレ使いになるため、現在は職業訓練にてWebデザインコースを受講中。
実は私のパソコンにはフォトショ以外にイラレの他、ファイアーワークス、Flash作成できるやつも入っているのだけれども、フォトショ以外の使い方が全然わからないので起動しておりません。
フォトショ+イラレが基本なのかクリエイターからの相談が時々あるので、イラレで何をどう操作しているのかくらいは存じております。しつこいけれど自分はベクターデザイン(線を描いて塗りつぶす)とか操作全然わからん。
2020年現在のクリエイター用PCは昔と違う
冒頭で書いた10年前の専門学校卒女子PCは写真の加工以外にロゴ制作(イラレが必要、ベクターデザインとかいうやつ)らしいのでOpen GLも考慮した上、予算200万円なので予算問題は皆無。
結果として16万円+Adobe CS5(アカデミック版で約10万円、ほぼ全部入り)になったはず。
ところが今と昔では要求される価格以外にスペックが全然違うと今知った。
フォトショとイラレの必要システム構成
こちら、を見てもごちゃごちゃしている上に専門用語まみれで普通の人が見ても混乱できてしまえそう。意味わからない部分は飛ばしてどうぞ。
この2つを融合した必要システム構成とやらがこうなる。Macは無視する。
- CPU:マルチコアの2GHz以上・・・Core i3以上、3GHz以上
- OS:Windows 10 64bit・・・自宅用ならHomeが割安
- RAM:フォトショ2GB~、イラレ8GB以~・・・8~16GB
- グラボ:フォトショOpenGL2、イラレOpenGL4.x・・・※VRAMへ
- VRAM:フォトショ2GB~、イラレ4GB~・・・GTX 1660~級
PC詳しくない人にはこれでも何のことやらと思うので太字を補足。
- CPU:最近のインテルCPUはCore i3でさえ4コアとか当たり前なのでこのくらいが最低限としつつ重要なのはクロック周波数のGHzの方で3GHz以上がおすすめ。マルチコアの使い所はデカいファイルを処理しつつ並行して別のソフトで何かする用と思われ、スーパーな職人でもなければそんなことしないとも思う。
- RAM:メインメモリとも言われる基本的なメモリ容量のことで、グラフィック用途なら最低でも8GB、巷では16GBが良いとか言われております。ちなみに私は8GB超えても8GBとの違いが全然わからない派。
- VRAM:「グラボ」と称したグラフィックスカードに搭載されているVRAM(ビデオメモリ)の容量でRAMとは別モノ。グラボ無しの場合はRAMから割当されるので1GBもくれないのでグラボは搭載するべきかと。
最近のGeForceはOpenGLへ普通に対応していた
OpenGLと言えばQuadro、GeForceはDirectX用、と思っていたけれど、今調べてみるとかなり昔からGeForceもOpenGL4.xに対応しており、マニアックな話ながら競合のRadeonが対応したので対抗したのかと憶測しております。
具体的には、GeForce GTX 1650でさえOpenGL4.5とかナニソレ状態。
対応API DirectX 12/OpenGL 4.5/Vulkan
source:GTX1650 GPU販売開始 | Ark
上で「GTX 1660級~」と書いたけれど、GTX 1650のVRAMは4GBなのでイラレでも全然行ける仕様となっており、Quadro信者が顔を赤くしたり青くしたりしそう。
CPUのコアと周波数についてもう少し詳しく
Adobeが漠然と「マルチコア」と書いている理由はシングルコアでAdobe製品を同時進行させるのは厳しいぞと言っている感じで、今どきシングルコアのCPUなど無いので同時に起動するソフトの数=<コア数でよろしいかと。
具体的には、フォトショで大量のバッチ処理をしたり、Premiereで動画を変換しつつ待ち時間にイラレを使うならばシングル(1)コアでは無理があるぞのような感じかと。
周波数のGHzは単純に処理速度なので高い方がより上等。
VRAMの重要性とOpenGL対応の意味
例として、私のメインPCはグラボ搭載していないので強引に3DゲームをするとRAM(メインメモリ)から数百MBが割り当てられるところ、もしグラボのVRAM(ビデオ(専用)メモリ)があったなら、それが4GBならフルで使える。
- OpenGL・・・イラレ用
- DirectX・・・ゲーム用
昔のOpenGLスルーなほぼゲーム用(GeForceシリーズ)ではイラレの特殊な編集時に無意味なところ、最近のGeForecがOpenGL対応しているのならばVRAMがそのまんま使えるはず。
イラレのどこにOpenGLとやらが使われるかは、3Dでベクター(線を描いて)企業ロゴやキャラクタなどを創造する時。別の例としては3D CADで立体的に設計図を描く時などの特殊な用途用。
なのでその線を描く操作を知らない私のような素人には無用なのがOpenGL。
私の主観をぶち込んだ具体的な構成例
無難に参りましょう。
- OS:Windows 10 64bit
- CPU:Core i5かi7の9千~1万番台以上
- RAM:8GB以上
- グラボ:GeForce GTX 1660以上
量産系BTOならば予算12万円前後になるはず。
これでも難しいとか混乱するようならば、グラボがGTX 16xxのBTOパソコンをカスタマイズせず買えばそれで合っているはず。量産系BTOメーカーはグラボに合わせてバランス取るため、ぶっちゃけグラボだけで選んでもよろしいかと。
保証はしないけれど。
おまけ:グラボ無しでもフォトショ+イラレは動く
私が今これを書いているパソコン。
- CPU:Xeon E3-1226 v3(3.3-3.7GHz、4コア)※2.0GHzへ変更
- RAM:8GB(4GBx2、PC3-10600、T3U1333Q/UMAX Castor)
- VGA:※増設無し(Intel HD Graphics P4600 ※CPUに内蔵)
- SSD:480GB(SATA3、crucial CT480BX2 00SSD1)
まずCPUがマルチ(4)コアなのでセーフとして、夏場なのでクロック周波数を2GHzに変更している、なぜかはPC変態+空冷クーラー改造しているため。これを3.3-3.7GHzへ戻してもフォトショなどの動作はそう変わらない。起動が0.5秒くらい違う程度。
致命的なところがメモリ8GB+グラボ無しでVRAMに割り当てられる容量は1GB未満、おそらく256-512MB(VRAM:0.25-0.5GB)とかのはず、ながらフォトショ開いてイラレ開いても普通に動ける。
SSDは必須で、今どきのCPUやRAMなどは用途を超えておりながら、ここがHDD(ハードディスクドライブ)だと全体的に何でも遅くなってしまう。特にフォトショとイラレならばSSD重要。
なぜ普通に使えるかはフォトショとイラレなどAdobe製品を同時に処理していないためで、どちらか1つしか編集していない状態だからこそ支障が出ていないのだと推測しております。
これ書くと混乱すると思ったけれど、グラボ後付できる知識や知人があるならば、似た構成でグラボ無しにすると10万円行かない。
ちなみにCPUのXeonはCore i5か、今ならi3に置き換えて良い性能。
本職として成り立てるのかも考えるべきでは?
余計な世話かつストレートに言い過ぎながら、たかが職訓で3~6ヶ月(?)ほどAdobeソフトのマニュアル的な学習をした程度でデザイン系の仕事を目指すのは無理があるはず。
別のことに置き換えると、料理したことのない初心者が包丁やミキサーなどの扱いを覚え、道具から入る的に自分専用の包丁とかオーブンレンジを用意するべきなのか疑問を感じるに似た感じ。
金にならないけれど自宅で毎日操作を練習しつつ、その技術が本職で採用され職人として働けるようになるかは別で、才能ある人や自力でセンスを磨ける人は一握り。
私の周囲は割とガチなクリエーターがいるので彼らを見ていると、操作はできて当たり前、私が1時間要する作業を10分でやってしまうとか、下書き無しで某ネズミやアヒルやクマを書いてしまう人も。
人物を切り取り背景を消せるなどの操作は最新のAdobeのフォトショなら自動でできるらしいし、お試しとか月額いくらか支払えばウェブサービスでもそういうやつがある。確かGIGAZINEで紹介されていたサイトがこちら。
Remove Background from Image – remove.bg
https://www.remove.bg/
試しに右の「Upload Image」の枠へ履歴書に貼るような写真をアップロードしてみるとわかる、背景は数秒かつ自動でキレイに切り抜いてくれる。もちろんこういうサイト以外にも職人仕事の代替サービスはございます。
わかりにくいかも知れない例で置き換えると、私は元々経理系ながら履歴書に「日商簿記2級」とかの資格は無視。それは学校の教科書の知識でしかなく、現場の即戦力として使えた試しがない。
おそらくだけれども、職業訓練校側としては今さら簿記とかExcel何級だけとか取れども就職率良くないので苦し紛れにAdobeの中でも入りやすく需要もありそうなフォトショ+イラレなどを教えている形だけの訓練なのではなかろうか。
道具から入る人を否定はしない。
しかし私は毎日数千文字、趣味でブログを書くと決めたので当時1.5万円もするキーボードをキヨミズダイブしたつもりで購入し、今は2倍の価格(3万)の道具(キーボード)を使用せざるをえないほどたかがキーボードに仕方なく金かけております。
Tさんが今やるべきことは、職訓在籍中ならば学生扱いになるはず=Adobeの各種ライセンスがアカデミック特権な激安になるはず、なのでパソコンはとりあえずグラボなしの何でも良いのでは。
採用する側の意見としては、「職訓でフォトショとイラレ使えるようになりました」と言われても「地雷かな?」と。
趣味ならば上で書いたCore iシリーズとグラボの組み合わせにすれば良いとしても、仕事がもらえるかは全然別の話になると思う。
>フォトショとイラレ
フォトショップやそれ系統の画像加工ソフトはよく使いますが、イラストレータに代表される画像描画ソフトはほぼ使いませんね。かろうじてMSペイントで雑な絵を描くくらい。
イメージからするとレイヤーを何重にも重ねる作業が当たり前なので、イラストレータの方が実用上の必要スペックは高い気がします。
>実は私のパソコンにはフォトショ以外にイラレの他、
私のPCには有料ソフトがコーレルの「PaintShop Pro」、フリーソフトではフェンリルの「PictBear(開発終了ソフト)」、Paint.NET Teamの「Paint.NET」くらいしか常用していませんね。最も使用頻度が高いソフトはPictBearです。機能がそこそこ豊富ながらもっとも分かりやすいインターフェースのため、なんとなくこうしたら良い気がする、でそこそこ複雑な処理が可能な点が強み。
窓の杜|「PictBear」多機能ながら動作の軽いプラグイン対応のペイントソフト
https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/pictbear/
>RAM:フォトショ2GB~、イラレ8GB以~・・・8~16GB
イラストレーターは「16GB以上を推奨」ですから、私なら「8GB×2+4GB×2」か「8GB×4 or 16GB×2」で24~32GBにしたいです。予算が潤沢なようなら推奨環境を必要環境と見なし、それより少し上~けっこう上を目指すと安心なので。
>グラボ無しでもフォトショ+イラレは動く
グラボが必要な場面としては、動画とかイラストとかに特化したモニタを購入した際の10bit出力ですかね。通常は8bitの1,677万色出力のところ、10bitの10億6433万色で出力できる、というもの。たしかGeForceのRTXシリーズからは10bit入力(出力するのはモニタ)に対応したはず。AMDは知りません。
EIZO株式会社|NVIDIA GeForceシリーズとAdobe Photoshopデスクトップ版 (Ver.18以降) を使用した10-bit表示方法とColorEdgeの互換性情報
https://www.eizo.co.jp/support/compati/gpu/photoshop_nvidia_geforce/index.html
>フォトショとイラレの必要システム構成
すでにサポートを終了した7は未だに対応しているのに、サポートが続いている8は対応していないんですねw
>たかが職訓で3~6ヶ月(?)ほどAdobeソフトのマニュアル的な学習をした程度でデザイン系の仕事を目指すのは無理があるはず
>その技術が本職で採用され職人として働けるようになるかは別で、才能ある人や自力でセンスを磨ける人は一握り
>採用する側の意見としては、「職訓でフォトショとイラレ使えるようになりました」と言われても「地雷かな?」と。
プログラミングにも言えますね