マイクロソフトのSurface Proが日本でも発売、予定日は不明。
Surface(読み方:サーフェス)はマイクロソフトが設計しPCメーカーを通さず販売するハードウェア。Surface RTは3月に発売済、Proは現在ティザー(チラ見せ)広告のみなものの、出るようなのでネタとして1本。
なぜ苦戦するか、Windows 8だからという理由以外に5つ。
マイクロソフト「Surface Pro」のティザー広告開始
元ネタはこちら。
ティザー広告~Surface Proがいよいよ国内発売か? - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130527_601001.html
5月27日、渋谷のQFRONT前と横へWindows RTの時と同じようなティザー広告が貼られたようで、Surface Proの発売告知だろうとの事。
今更、RTを隠す意味は無く、Windows Pen単品の宣伝なわけは無いと思われ、ペンの形がSurface Proに付属する物と似ているというか同じ。
source:Microsoft Grows Surface Family
公式の直販を見て来ると、既に売る気状態へと更新されておりました。
source:あなたにお勧めの Surface- SKU の選択
RTとProの違いは、
- Surface RT・・CPUにARMプロセッサ(NVIDIAのTegra3)を搭載しており、従来のWindowsアプリケーションは使えない
- Surface Pro・・CPUにインテル入ってる、Windows 8(Pro)がそのまんま入っているのでWindows用ソフトが普通に使える
Surface RT発売後の売れ行きは期待外れと言われていたけれど、普通のWindows(8)なら売れるのか。
そうは思わない理由をオリジナルで5つ。
Sruface Proが日本発売で苦戦する5つの理由
1.円安傾向なので日本で売るには厳しい
円安傾向は昨年11月頃から続いており、1ドル80円前後が2013年5月現在は約100円となっており輸入は不利な状況。
source:アメリカ ドル / 日本 円【USDJPY】:外国為替 - Yahoo!ファイナンス
米マイクロソフトが日本マイクロソフトへ送り、直販や国内の家電店へ卸すなら、購入では無い上にパソコンは関税課税対象では無いけれど、消費税など別の経費も掛かる為に円高当時よりは不利と言えましょう。
過去の例で考えると、1ドル80円でも海外で100ドルのPC関連ハードウェアが日本で販売される際は8万円相当では無く、いくらか盛られ10万円を超える事が多め。
Windows RT発売当時は2013年3月で1ドル94円くらいなものの、発売前の2月には国内在庫の準備をしていたと推測すると90円台前半。
RTの下位モデルは米国価格499ドルが日本では49,800円での販売へ。Proは899ドルからなので、89,800円になりそうなものの、今後も継続し販売するなら9万円を切るのは厳しい。値上げは難しいと思う為。
マイクロソフトは昨年からテンパっている為、勝負に出るなら語呂合わせで88,800円か。普通に売れると思っているなら98,800円がいい所かと。
上位モデルは999ドルなので10万円を切るのは難しく、10万円を超えると引いてしまう人が増えるでしょう。
そしてRT同様、キーボードは別売りなので10万超えは必至。
2.既存PCメーカーも結構頑張っている
Windows 8仕様のタブレットはマイクロソフトの専売では無く、当然ながら他社も似た物を販売中。
source:価格.com - タブレットPC(端末)・PDA スペック検索・性能比較
上は、価格コムの「タブレットPC・PDA端末」より、条件を「Windows 8」のみで検索した価格の安い順より2ページ目。
1ページ目はCPUがAtomのみなので、こちらの方が価格や性能として比較するにはよろしいかと。
この中で比較的人気や満足度が高い物は最上段のAcer製品で、現在の最安は8.6万円。しかもキーボードが付いている為、Surface Proと比較されるとタブレット側の価値としては8万円を余裕で切れるという事に。
- メーカーにこだわらず価格と性能重視ならAcerなど
- 国内メーカーが良いなら低性能でも富士通など
Surface Proが9万円を切れず発売するなら純正キーボードを付けると下位モデルでも10万円を切れるかどうか。
Surface Proは価格や性能では他社に勝っているとは言えず、Surfaceを選ぶ理由として考えられる特長を予想すると
- マイクロソフト純正ハードウェアだから
- あのデザインが(で)良いと思う
- 多くの家電量販店で現物を触り選ぶ事が出来る
3は富士通や東芝製品も同じ条件なのでSurface Proのみの利点とは言えず、結局はターゲットがガジェットマニアや新しい物好き、マイクロソフト信者などとピンポイントになり、大量の販売は期待出来ないと思う。
3.安易にSrufaceの種類は増やせない
特にBTOパソコンで良く見られる販促手段は、標準構成を増やしモデル数(機種)を多く見せる事。
カスタマイズせず性能と価格がひと目で判り、予算に応じた物を選び易い以外、売り場を賑やかにさせる為。大手メーカーでもNECが似たような販売方法をやっており、オフィスの有り無しで機種を分けたり。
また、ノートなら10.1,14,15.6,17インチと画面サイズや解像度を変える事で、より多くの需要を満たす為に販売されております。
しかしマイクロソフトにそれが出来ない理由は、自社OSを購入しシェア拡大してくれるPCメーカーと競合するわけには行かない為。
私の考えでは無く、マイクロソフトの中の人がこう申しておりました。
日本では250機種以上のWindows 8搭載PCが製品化されており、今回発表したSurface RTは、SKUでもわずか4機種。
たくさんあるPCの中の1つにすぎない。パートナーとのエコシステムはこれからも変わることはない。Windows 8を一緒に盛り上げたいという意味の製品である
source:【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】
PC Watchのタイトルでは、Surface RTはペースカー(牽引用)かレースカー(競合用)かとなっており、この話はあくまでSurface RTの事。
Surface RT発売後、Windows RT仕様のタブレットまたはノートは私の知る限りではNECの一機種のみ。
しかし、Surface Proでは全Windows 8入りPCと競合する為、下手に画面サイズなどを変えて出す事は出来ないでしょう。やればやるほどエコシステム(協業、共存共栄)にヒビが入る為。
Surfaceシリーズ(種類、SKU)を増やせないとするなら、Windows 8およびタッチ操作やタブレット型PCの普及が増やし難く、ハードウェアでも利益を出す方向も難しい。
4.Surface RTの弱点がバレ益々売れない
Surface RTとProは見た目が似ており、スタート画面は同じデザインなので一見すると何がどう違うのか判らない人が多いでしょう。
Surface RTの利点は比較的安価、最大の難点はWindowsとは名前だけでWindowsアプリケーションは使えない事。
Windows RTは、iOSでもAndroidでも(従来の)Windowsでも無し。日本向けSurface RTはMSオフィスが標準で入っているのでまぎらわしいけれど、8のスタート画面側のアプリ用として作られており、使い道が判らない。
アプリの数はiOSやAndroidには遠く及ばず、Windows 8ではスタート画面そのものが多くの人に嫌われておりカスタマイズ(改造)して避ける人も。
私のようにSurface RTとProの違いを何となくでも判っている人なら、Proは他社のタブレット兼ノート型のWindows(8)PCと同じようなものと理解出来るけれど、店頭でこれらを見た一般PCユーザが不安になる可能性。
現状維持ならSurface RTとProは店頭販売とマイクロソフトの直販のみ。 他のノートやタブレットと比較する前に、普通の人ならRTとProの違いを聞きたくなるでしょう。
RTはWindows亜種で8の評判の悪い所だけを明確化した、かろうじてMSオフィスが入っているだけの約5万円からのタブレット。
5万円でRTを選ぶならiPadやAndroid端末という選択肢も有り、Windows 8が良いなら富士通など国内メーカーの方が安心という人が多いと予想。
5.高性能ゆえのあやまちなパソレット
似た物同士で比較されるとSurface RTの用途的な立場が薄れ、他社製品と比較されるとSurface Proの難点もバレてしまう。
iPadなどのタブレットPCはARMプロセッサという性能は低いけれどタブレットやスマホ、ゲーム機用としては充分と言える物が搭載されているけれど、Surface Proには本物のWindows用としてインテルのCore i5プロセッサが搭載されております。
これがどういう事かは分解写真を見ると分り易いかも知れない。
RTから。
source:分解、「Surface with Windows RT」--マイクロソフト独自タブレットの内側 - CNET Japan
下がSurface Pro。
source:分解、「Surface Pro」--写真で見るマイクロソフト製タブレットの内部 - CNET Japan
下の写真、右下をご覧あれ。Proはでかいヒートシンクとファン2個を搭載。
いくら省電力とは言えモバイル用のCore i5が載っており発熱はARMプロセッサとは比較にならないと思われ、タブレットなのにファンが付いているというギャグのような設計。
実際の動作を見た事は無く支障は無いよう作られているとは思うけれど、ファンが有るという事は動作音や発熱以外にホコリを吸い込むタブレットPCという事。
分解修理する前提では作られておらず、最近のノートPCのように気軽に掃除出来る構造では無く、店頭などで現物を触ると重さや厚さが目立ち、自宅で深夜など静かな環境で使うと動作音が気になるかも知れない。
CPUにSurface Proと同じCore i5を搭載している「Acer ICONIA W700D」の価格コムのレビューより引かせてもらいます。
■バッテリ
ファンが常に回りっぱなしなので、WEBの閲覧はあっというまになくなります。
そして海外の情報。
Microsoft の Surface Pro タブレットは、バッテリー持続時間が Surface RT の半分で、Office は非搭載 - インターネットコム
http://japan.internet.com/webtech/20121203/3.html
Acerは公称9時間、マイクロソフトは実動4.5時間。
計測方法が違うので単純に比較は出来ないけれど、Core i5を活かせる程の何かをしたいなら4時間さえ厳しそうな気配。
タッチパネル搭載PCとしての値崩れに期待?(まとめ)
今年3月頃の報道より。
昨年秋に発売された「Surface RT」の累計販売台数は100万台強、また今年はじめに発売になった「Surface Pro」も40万台程度で、とくに「RT」についてはマイクロソフトが昨年第4四半期に見込んでいた200万台を大きく下回ったという。
米国でのRT発売は10月26日、Proは2月9日。
RTが4ヶ月強で100万台、Proは1ヶ月少々で40万台とするとProがやたら売れているように見えるけれど、発売直後の祭り騒ぎ状態で瞬発的に売れたとするなら、Proの売れ行きは時間の経過と比例し落ちて行くはず。
現状、価格コムなどを見る限りでは日本でもWindows RTは売れているようには見えず、Proもそう大して売れないかと。
となると、(海外で)3ヶ月で200万台も売ろうとしていたRTの在庫はダブつき、Proでも同じ事が起こっており、発売国を増やしている可能性。
普通に考えるとProも世界同時発売で良いと思うけれど、なぜ欧州や中国、そして日本では遅れて出すのか。
予想した生産数を満たさず、急遽Windows RT用のキーボードや言語を追加しているという考え方もございましょう。
では値下がりするかと言えば望みは薄く、極端な例として半値とかにしてしまうとPCメーカーが不機嫌になる原因。大人の事情で値下げが難しい。
RTはまだ良いとしても、Proの方はWindows 8入りのパソコン用。
CPU性能やメモリ容量などはタブレット用のARMプロセッサどころでは無く随時進化して行くもの。
延々と現行のSuraface Proを売り続けるわけには行かないものの、売れないからと値下げも出来ない。
Surface Proは日本でも苦戦するはず。
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