予価10万円を余裕で切らず、これは駄目だと思ったウルトラブック。
実際に発売されると実売での本体価格は10万円を切っており、ねんがんの三桁容量SSDが標準搭載。国内発売予定に有ったUltraBookの中でも、東芝、ASUS、Acerは既に販売中。自称PC初心者の人や興味の無い人用に、私が無駄に解説し突っ込むパターン。
ASUSがやり過ぎなのか、Acerが気の毒になる3機種。
価格は全て2011年11月29日現在の価格コム最安。
この手の見た目重視なノートを選ぶユーザは性能を詳しく見ないと予想し、仕様や解説を分り易いと私が思い込めるよう書いて参ります。
仕様の書き出しでいつもと違う箇所は、チップセットとグラフィックを省略。ノートではチップセットよりUSB3.0などのI/F(インターフェイス、端子の種類)が重要として。
グラフィックはいずれもCPUに内蔵されておりスルー。コア数やキャッシュ容量も知りたいならセルフでおググり戴く方向にて。
Webカメラなど細かい所も書かないので、本気で購入を検討するならメーカーの仕様書を隅々まで見ましょう。ここでは冷やかしレベルの話になる為。
東芝「dynabook R631/28D」約10万6千円
11月11日の発売から約19日経過し、売れ筋9位にランクイン。先日まで10位以下に居りましたが上がった御様子。いきなり10万円を切っておりませんが後述。
source:価格.com - 東芝 dynabook R631 R631/28D PR63128DMFS
主な性能を一覧。
- OS: Windows7 Home Premium 64 ビット
- CPU:Core i5-2467M(1.60GHz/最大2.30GHz)
- メモリ:4GB(2GB+2GB)※交換不可
- ストレージ:SSD 128GB
- 光学ドライブ:無し
- 有線:ギガビットLAN対応、USB2.0x2/3.0x1
- 無線:IEEE802.11b/g/n、インテルWiDi対応
- モニタ:13.3型ワイド(解像度:1366x768)
- バッテリ駆動:約9.0時間 ※JEITA測定
- 重量:約1.12kg
- その他:Microsoft Office Home and Business 2010
一見するとバランスの取れた良い構成。
一発目なので自称PC初心者用の解説を含め詳し目に上から。自称初心者では無いなら、最後のまとめまで飛ばしてどうぞ。
- OS:Windows Home~は普通のエディション、今や64bit版が標準になっており、古いソフトウェアや周辺機器(プリンタなど)を仕事で使っておりPCが故障し買い替える、などの理由以外では気にする必要は無いかと。32bitが良いならやめましょう。
- CPU:ノートでは中程度より上、上の下と言った方が良さそうな高性能CPU。4桁の数値など似ていてもデスクトップとは性能が全く違うので比較しないよう御注意有れ。省電力の為かクロック周波数(処理速度の目安)は低めの1.6GHzは、最大2.30GHzとはCPUの使い方に余裕が有る場合に自動で処理速度が上がる機能の時。
- メモリ:私が気に入らない落とし穴はメモリ。2GBx2GBで交換(増設)が不可になっており、将来性に不安を感じる以外、メモリ2GBx1はオンボード(メイン基板直付)になっているようでで、オンボード側のメモリが不具合を出すと基板交換で修理費用がぼったくり価格になる罠。
- ストレージ:ウルトラブックの目的は価格以外に速度。CPUやメモリは現状の使い方として何でも高性能なので、次はSSDが重要。HDDより高速で発熱はほぼ無し。故障する可能性や壊れ方は歴史が浅い為に未だ不明。HDDよりは良いでしょう。
- 光学ドライブ:薄さ優先の為に無し。必要ならUSBなどで外付。
- 有線:ギガビットLAN(1000BASE~)は現在のパソコンでの最高速度。インターネットでは意味が無いけれど今後は高速化されるやも知れず、家庭内LANなら有効になる事も。USB3.0x1はこの価格なら付いていて当然と思っております。
- 無線:IEEE802.11は無線LANの規格で、このノートは広く採用されているb/g/n(b系n)なので親機が安く高速。インテルWiDiは使う人が滅多に居ないと思われ、テレビなどの別モニタに無線で映像を飛ばしてみたいなら程度。
- モニタ:13.3型ワイドは昔のノート(4:3)と比較し縦が狭く横が大きめ。このサイズでフルHD(1920x1080)は個人的に無理が有ると思っており、HD(1366x768)が最適かつ限度かと。
- バッテリ駆動:9時間と書かれておりますが、東芝に限らず日本国内のPCメーカーは右にならえでインチキ臭いJEITA測定なので、無線LANを使いながらYouTubeでも見ようものなら大幅に減るでしょう。
- 重量:この性能にしてはかなり軽い方。
以上、メモリ以外は個人的に文句無しのバランスが良い構成。
ウルトラブックでは無いノートなら10万6千円も出せば更に大画面かつ高機能&高性能にはなるものの、それを言うと話が続かないので今回は脱線しない。
MSオフィスが不要なら無駄な21千円分の上げ底
マイクロソフトの言い値では有りますが、BTOパソコンのカスタマイズでさえMSオフィスHome&Business2010は2~2.1万円となっており、その価値が有るとするなら本体価格は8.5~8.6万円。
やや高性能めで見た目も良いdynabookが8.6万円で入手出来、オフィスまで付いてくる、と考えるならお勧めの一つ。これに限らず、私は有名メーカーのノートではdynabookが良いと思っており、デザインまでこだわってくれるなら文句はございません。
しかしMSオフィスを現状全く使っていない、または今後確実に使わないなら約2万円を捨てるようなものになり、オフィス無しのウルトラブックなダイナブックは出ておらず、金が有り余っている以外なら待つか他のメーカーにしましょう。
個人的には2千円の価値しか無いメモリ不良で本体交換に近い修理代が怖い為、冗談でも購入は出来ない設計。
ASUS「ZENBOOK UX21E-KX128」約7万7千円
11月3日発売、約27日が経過。売れ筋ランキングは14位と低め。
source:価格.com - ASUS ZENBOOK UX21E UX21E-KX128
ダイナブックと同じ形式で仕様を一覧。
- OS: Windows7 Home Premium 64 ビット
- CPU:Core i7-2677M(1.80GHz/最大2.90GHz)
- メモリ:4GB ※詳細不明
- ストレージ:SSD 128GB
- 光学ドライブ:無し
- 有線:LAN無し、USB2.0x1/3.0x1
- 無線:IEEE802.11b/g/n、Bluetooth V4.0
- モニタ:11.6型ワイド(解像度:1366x768)
- バッテリ駆動:約5.5時間 ※測定法不明
- 重量:約1.1kg
- その他:特に無し
東芝のウルトラブックと比較すると
- CPUはASUSの方が高性能
- 有線LAN端子無し、小型画面で解像度高め、20g軽い
- バッテリ駆動がメーカー公称(自称)5.5時間
高性能かつ高解像度なモバイルノートとして完成されている御様子。
PC WatchかASCIIか忘れたけれど、ニュースサイトのレビューではメモリ交換不可と書かれていたと記憶しており、オンボードでは無いとしても分解が必要=本体交換程度の作業費用になる可能性有り。
ネットワーク関連は現在最新のBluetooth4.0に対応し、有線LANは諦めて無線でやれという事らしく、ノート本体の移動を前提にしているのでしょう。ちなみにBluetoothはUSBに送受信機を挿せば良いので、3.0までの参考価格としては1~2千円程度で外付可。無線LANも同様。
発売前の予想価格では99,800円くらいとされていたものの、1ヶ月経たず約25%の値下がり。ナショナルブランドでは無いノートにしては珍しい急落。
薄いだけ有り圧縮されており軽い。ここまでの2機種を見ると、やや高級な使い捨てノートの印象が出て参りました。
SSD64GB搭載機種と価格差が狭いという罠
ZENBOOKで注意する事は、SSDが64GBの機種も有る事。
source:価格.com - ASUS ZENBOOK UX21E UX21E-KX064
現時点では、128GBと64GBの価格差が約4千円。
OS(Windows7)以外にインストールする複数のソフトウェアで初っ端から容量を食われる為、データ保存用の空き容量は単純に2倍(または1/2)では無く、それ以上(以下)として考えましょう。
例として、OSが10GBで必ず入れるソフトウェア群20GBなら計30GB。
- 128GB・・残98GB
- 64GB・・ 残34GB
この例では3倍近い差となり、モバイル端末としてならHDDの外付は無粋とし、4千円の差で64GBが128GBになるなら後者一択。SSD単品の価格で考えても128GBが割安、逆に言うと64GBは割高。
この状態で経過すると、64GBモデルが売れず値下がりが早いやも知れぬ為、64GBで実用可能と思うなら、値崩れや処分を狙う手も有りかと。
Acer「Aspire S3-951-F34C」約6万円(但しHDD)
11月10日発売、19日経過。売れ筋ランキングは大幅に落ちて39位。この辺りになると売れ筋や人気は精度が低いと思われ参考にはならず。
source:価格.com - Acer Aspire S3 S3-951-F34C
ダイナブックやゼンブックと同じ形式で一覧。
- OS: Windows7 Home Premium 64 ビット
- CPU:Core i3-2367M(1.40GHz)
- メモリ:4GB (最大4GB) ※詳細不明
- ストレージ:HDD 320GB
- 光学ドライブ:無し
- 有線:LAN無し、USB2.0x1/3.0無し
- 無線:IEEE802.11b/g/n、Bluetooth V4.0
- モニタ:13.3型ワイド(解像度:1366x768)
- バッテリ駆動:最長6時間 ※測定法不明
- 重量:約1.35kg
- その他:特に無し
一言で済む、やっちまったな構成。
現在の価格はASUSより多少安い程度。その割にCPU性能は落ち、USB3.0は無く、重量はdynabookより重め。
最も痛い所がSSDでは無くHDDな事で薄いだけが取り柄に。間違い無く値下がるので、本気でこれを選ぶなら待ちましょう。薄くなくて良いなら同じAcerでも似たような構成で4万円前後の物がございます。
見所としては、PC関連のニュースサイトがレビューと称してどうにか良い所を挙げようとしている事が面白い程度。
SSD128GBでは無くHDD320GBでこの価格
容量差のみで比較すると、SSD 128GBの2.5倍も有り、ASUSの64GBモデルでやった計算のようにOSやインストールする物で埋めて行くと差はやや広がるものの、利点は容量だけ。
単品販売の価格差を価値とするなら、約128GBのSSDは安くとも12千円でそれ以上が普通。320GBのHDDは現在高騰しているけれど、先月の相場で言うと6千円行かない程度。
HDDとSSDをベンチマークで比較すれど、シーケンシャル(連続読み書き)では数値上で2倍も差は出ないかも知れないけれど、ランダム(細切れ読み書き)では数値以上に体感差有り。
Acerの第一弾は失敗しているので、どうしてもAcerが好きとか見た目が最も良いと思わなければ見なかった事にして次回作に期待しましょう。または値下がり待ち。
BTOでデスクトップか、見た目の良ウルトラブックか
双方は対になるような利点や難点が有り、HDD標準としたBTOデスクトップの利点とウルトラブックの難点(カッコ内)として挙げると。
- 安く高性能で大画面と高解像度(高い割に性能は低めで小画面)
- ケース内部を掃除し易い(特にウルトラブックは分解しない前提)
- 修理費用が比較的安い(高い、特にメモリがやばい)
- カスタマイズでパーツの変更が出来る(出来ない)
- 延長保証が有料で選択可(ショップの延長保証は有るかも)
逆に、ウルトラブックの利点とBTOデスクトップ(HDD)の難点とすると。
- 見た目が良く小型で移動し易い(ダサいデカい重い配線多い)
- 回転物がCPUクーラーのみで理想的(飛んで行きそうなくらい満載)
- ケーブルを1本も接続せず動作可能(人造人間が起動しそうな程)
- 省電力で長時間バッテリ駆動可(40型テレビ並の消費電力)
- SSDなのでWindows起動や復帰が早い(HDDなら遅い)
やや言い過ぎでは有りますが、上記の計10項目で重視する物をチェックして行くと、私の場合はデスクトップ側。一般的な人はウルトラブック側になるのでしょう。
BTOパソコン.jpなので主観でウルトラブックの利点を消して行くと。
- 移動する用途など滅多に無いのだから固定設置しておけ
- 高性能CPUで小型薄型ファンなら高回転でうるさそう
- 固定設置なら有線でも気にならず何かと安定
- 日本なら家庭用の100Vで問題無し
- SSDへ換装可
以上、(実売)10万円を切る高性能ノートとして上手く行きそうに思えたものの、メモリ増設不可、それ以上にメモリのオンボードや分解前提が問題。
薄さの代償として光学ドライブ無しは良いとしても、分解不可のような設計は万一の故障と修理を考慮すると、経年に比例し使い捨て率が高まりましょう。
インテルやPCメーカーがやっているのだから使い捨てて貰った方が良いとか勘ぐると、買う側としては冗談では無い思う高級ノート。
薄さというデザインを殺してその問題を解決すると、単なるSSD搭載ノートになってしまい、インテルが金で支援する価値が無くなるのでしょう。
CPU性能を落として完全なノンスピンドル(回転物無し)にすると理想的かと思うものの、インテルがやるには無理が有るでしょうな。
AMDのターンはまだでしょうか。
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