無停電装置ではなく無停電電源装置。
2011年の計画停電が影響し売れているらしく流行に乗ってみますが、それは本文の話で私は個人でUPSを持とうとは思わず。今書いて気になったので調べるとUPS(Uninterruptible Power Supply、無停電電源※訳:エキサイト先生)とも言います。
1台有ればデスクトップでも長時間使えると思っているなら大間違い。
Googleで無停電電源装置の検索候補がこのように出て気になった次第。
家庭用や計画停電は良いとしても、長時間や3時間で検索されている御様子。
2011年4月現在で計画停電は原則やらないと言っており、発表までの名残かと思われますが、UPSはもって数十分、高性能PCなら数分で終了するものです。
今回初めて調べた人は、停電中でも使えると思われているのでしょうか。UPSは突発的な停電に対してパソコン(主にサーバー)を正常に終了、または発電機などへ切り替えるまでを維持するもので、普段通りにパソコンを動作させ続ける装置ではございません。
分り易く例えると、初号機が内部電源により活動限界まで短時間のみ戦えます、という。暴走すると電源どころでは無いと思うので程々に。
理解したなら前のページに戻りましょう。
これを機に、簡単に無停電電源装置を知るならもう少しお付き合い有れ。私も大して詳しくは無く調べつつ参ります。
オススメの無停電電源装置は価格.comで調べる
価格.com=自作マニアの巣窟 と勝手に解釈すると、PC変態的な買い物は売れ筋ランキングを参考。リダイレクトを見るとなぜ価格.comが売れ筋ランクを出せるのか判りますが気にせず。
上位5つより。
source:価格.com - 無停電電源装置(UPS) 売れ筋ランキング
あまりにも安く何か間違えているかと思いましたが、これでも値上がりしているようです。私の記憶が確かなら、4~5年前までまともなUPSを買おうと思えば実売3万円以上が普通。
3位のオムロンの価格推移。左端は発売当時、右は現在。
話を戻し、ランキングに書かれている項目。
形状がコンパクトは省スペースという意味なので良いとして、その後に有る運転方式は2種類書かれております。
ネットワールドという企業のUPSソリューションというページに3種類で説明されており、簡単にまとめると。
- 常時インバータ(オンライン)方式
常時バッテリに通電しておりタイムラグ無し(切替時間0) - ラインインタラクティブ方式
通常時もインバータを通しており切替が速い(時間5ミリ秒以内) - 常時商用(オフライン)方式
通常の電気供給が切れるとバッテリに切替(時間8ミリ秒以内)
図を見た方が分り易いかも知れず、詳しくはリンク先にて。
ミリ秒は1000分の1秒。接続する機器やパソコン(電源など)の種類により違うとは思いますが、オムロンが常時商用で出しているくらいなので、パソコン用としては最も安そうな常時商用でも行けるのでしょう。
続いて入力電圧は日本なので100V前後、出力はVA(ボルトアンペア)で書かれており何ワットかは電源ユニットの力率によります。
ここで80PLUSの基準が生き、日本HPの解説(PDF注意)によると80PLUS認証の電源ユニットは0.9以上。80PLUS電源なら1200VAでは1080Wくらい、500VAでは450W程度までは行ける事になります。
但し、全ての電源装置が80PLUSでは無い事以外に、電源装置という物は経年劣化して行くものなので、長く使っているなら効率以外に力率も怪しいと考えるべきでしょうな。
そして、使っているPCの電源ユニットの仕様が500Wだから500W必要かと言えばそうでは無く、電源ユニットのワット数はそこまで上がれど動くという意味なので、500W電源なら通常は200~400W程度と思われます。実際はワットチェッカーやテスターで測らなければ不明。
最後は期待寿命ですが、JEITA測定並に信用しない方が良いでしょう。理論上、計算では、などの意味として。
もう一つ書かれていない仕様に波形が有り、正弦波か矩形波タイプの2種類。パソコン用として販売されており普通は正弦波として価格.comでは表記が無いのでしょう。
正弦波と矩形波の違いはアンペール社のページにて。PFC回路についてはDOS/Vパワーレポートの解説が素晴らしい仕上がり。電源装置の内部を写真入りで説明されております。
以上より、ランキング5位の内でどれがお勧めかは、高性能PCを使用しており予算が大きめに取れるなら1位のサイバー何とか製。ブランドで行くなら3位のオムロン。使い捨てるつもりなら4位の安物。しかし4~5位は評価が低めですな。
私はどれも要りません。
UPSは高額な停電保険、長く使うなら維持費が高い
個人で無停電電源装置を勧めない理由をいくつか。
ここからは体験談で、数年前に友人が面白がって企業から引き上げて来たリース落ちのオムロンUPSの話。ちなみにこれと思われます。画像から判断しており型番まで合っているかは不明。
source:無停電電源装置(UPS)BX25XT|製品情報|OMRON
矩形波仕様で出力は250VA/168Wと小さめ。故に当時は激安な2万円程度。
普通のデスクトップは使えても数十分程度
上のオムロン製品にも書かれていますが、バックアップ時間は3.5~90分。1時間半も使えるのかと思うやも知れませんが、最長の目安な意味でパソコンを接続すると数分で切れます。
価格.comで1位の高級品、Backup CR 1200の仕様ページより。
期待動作時間一覧表
モデル
50W
100W
200W
300W
400W
500W
600W
700W
CP1200SW JP
120分
60分
30分
20分
10分
6分
4分
2.5分
性能の低いCeleron搭載PCなどでは100~200Wとしても30~60分くらい。これはかなり長めに書かれていると思われ、 ユタカ電機の製品ページでは普通に短時間。
更にオムロンのBY35Sは3.5分以上としか書かれておらず、しかし用途としてはオムロンのような表記で正しいわけです。カタログ内には最長の表記も有ります。
上の表や図の通りとは限らず、更にバッテリは時間と比例し劣化して行く為、最高でもこのくらいもつかも知れない程度。書かれている通りですが、期待や目安でしか無く。
ブザーというより警報並のアラーム
機種によると思いますが、UPSはサーバーダウンなどを回避する為の装置で、UPSが稼働すると同時に音を出してくれる物が有ります。私が生で見た旧式オムロンUPSは非常ベルよりやや小さいくらい。
製品の仕様を見ると「ブザー機能」などと書かれていましたが、切る事が出来るかが問題。ブザーなどという生優しい音では無く、木造や薄いボードなら2~3部屋は軽く聞こえる程の騒音が鳴り響きます。
家庭用ならアラームの仕様がどうなっているか必ず確認を。
バッテリーは表記の寿命までもたない
期待寿命などと曖昧な表現が有りましたが、このくらい持てばいいなという程度のてきとうな数値で、普通に使っているならまずもたない。
また、その寿命はどこまでの事を言っているのか。バッテリの充電率が100%か、辛うじて数秒使える程度でも寿命としているか不明。7年も100%で使えるバッテリが有るわけが無く、劣化の程度が判りません。
交換用バッテリーも驚くほど高額
価格コム3位、オムロンのBY35Sを例にすると、バッテリの寿命は4~5年と表記されているものの保証は1年。(本体は3年)
カタログに書かれているバッテリ単品の価格は約1万円と有り、本体程の値引き率では売られていないでしょう。
約2万円のUPSでも1年後にバッテリは保証が切れて交換には1万円。送料も掛かれば更に高額。交換として引き取り廃棄費用も掛かるやも知れません。UPS本体もそうですがバッテリは重量が結構有ります。
ちなみに旧式のBX25XTは、毎年メンテナンス(おそらくバッテリ交換の事)されていたものの、引き上げた直後から使えず本当に機能していたのか疑問。コンセントからUPSのプラグを抜くと普通に画面からWindowsが消えて爆笑しました。
廃棄は有料で高額、場合により送料も必要
最終的に(BX25XTを)どうするか悩み、ヤフオクにジャンクで出そうと試みるも詐欺に近いと判断し断念。捨てようとしたもののバッテリを家庭ごみとして捨てるわけに行かず。オムロンに電話で問い合わせると、引き取りに7千円プラス送料こちら持ちと返答。当時の話で今は知りません。
更に追い討ちとして、引き上げたUPSは同型の2台。もう1台は未使用品では有ったものの使えず。プラグを抜いて一瞬「ピ!!」と鳴り、普通に電源が落ちてくれました。
合計14千円+送料を出すには惜しい為、未だに倉庫の奥で眠っているはずです。用途としては漬物石代わりとか。一時期ドアストッパーに使っていたようですが、重さは良いとしても大きく邪魔になったのか、いつの間にか撤去したようです。
無停電電源装置(UPS)の価格と選び方まとめ
UPSは緊急用のシャットダウン準備時間や電源切替の猶予として使う用途。経年に比例し費用も掛かり、定期的に動作確認しなければ安心して使い続けられないでしょう。
企業ならサーバーとセットでオプション月額プラス3~5千円など有り得ますが、個人で持つには費用の面でもったいない。通常は動作確認でバッテリを交換するものでは無く、定期的が前提。
- 本体が高額な割に電気の供給は短時間
- 交換用バッテリが高額
- 使わなくてもバッテリは劣化する
- 捨てる時も費用が高い
- 不法投棄は罰則重くがしゃれにならない
罰則が軽いなら良いというものでも有りませんが。2万円で購入した本体でも3年後の維持費は4~5万円になり、バッテリが交換では無く売り切りとした場合の廃棄に1万円かかるとするなら5~6万円。
以上を解っていて購入されているのだろうと思いますが、秋葉原で馬鹿売れしているとニュースが流れまくっているので、良く判らず便乗してみないよう御注意有れ。
ノートなら補助電源として良いかも知れませんが、それならオプションで純正バッテリを購入した方が安いでしょう。
>2万円で購入した本体でも3年後の維持費は4~5万円になり
そもそもずっと何年も使う気で買って無いと思いますよ。
だってそれなら震災の前からもう既に導入してるはずですしw
とりあず計画停電になりそうなこの夏を乗り切ろうってことではないの?
主にUPS入れてないような小規模なオフィスとかが買ってると聞きました。
個人ユーザーも買いに走ってるのは確かでしょうが、UPSで停電中も使える気でいるのはそんなにいないと思うんですけどw
だって、世に言う情弱さんはUPS自体買おうとしないでしょうし、ライトユーザーはほぼ確実にノートPCでしょ。
いや、ノートPCなのにUPS買おうとしてるのなら盛大に吹くけどw
つまり今UPSを買う、ないし買おうとしてるのは個人ならそれなりの(据え置き型の)PCユーザーか、業務用に使ってる小規模オフィスなわけで、単純にいきなり電源ブッチでPCが壊れるのが嫌で買ってるだけじゃないかなと思うんです。
え、なに? それがそうでもない? マジでかw
> 単純にいきなり電源ブッチでPCが壊れるのが嫌で買ってる
同意ですねぇ。
多くは、計画停電でも間に合わず大規模停電でデータが吹っ飛ぶ可能性に備えてるんだと思います。
Twitterで、計画停電を理由にディーラーさんがUPS売りつけに来たんで追い返したとか呟いてる人がいたんで、調べた人が多くて、それでグーグル先生の候補で3時間とかって候補が出てくるんじゃないでしょうかね?
でも、まぁ、そうでも無いのかもとちょっと心配になるのは事実。
>パソコン用として販売されており普通は正弦波
逆ですな。パソコン用の安価なものは矩形波。たとえば手術室用とかは正弦波になってます。データセンタて使う大出力なUPSではコンピュータ用といえども正弦波の製品があります。つまり非常用エンジン発電機は正弦波出力なので、それに引き継ぐ用途のUPSは正弦波出力のほうが都合がいいわけです、高価だけども。
UPSの機能をどのように理解されているのかでしょうけど…
うちの会社でも3台のサーバーにそれぞれUPSが付いていますが、管理職の方々は「停電してもしばらくは動くもの」とまるで自家発電装置と同様に思っていますから、
>1台有ればデスクトップでも長時間使えると思っているなら大間違い
を突き進んでいることになります。
計画停電や突発的な停電がある
↓
停電しても使える装置があるらしい、UPSと言うらしい
↓
1つ買っておけば停電時もPC使えるな(キリッ
なケースもあるような気がします。気にしても仕方ありませんがw
>UPSは高額な停電保険、長く使うなら維持費が高い
これに尽きますね。
私も去年導入してみようと思い色々調べたのですが、とにかく高い。購入費だけでなくランニングコストも。
雷などによる突然の停電に対応するため導入しようかと考えたのですが、
本体価格+バッテリー寿命+バッテリー交換費
と
PC各パーツ代+電源ぶっちでPCが壊れる可能性
を天秤にかけた場合後者のほうがいいと判断しました。
しかも周辺機器すべてを賄おうとすると複数台必要になりますし。
しかし自家発電と勘違いしてる人の多いこと。計画停電はUPSメーカー的にはおいしい状況だったのかもしれませんなぁ。
会社と自宅でUPSを使ってますが、今回の震災のような状況だと気休めでした。
◆本震での状況
・会社の場合
地震の最中に停電、すぐにUPS稼動。
ただし、従業員はすべて建屋外に避難し、小一時間ほど中に入れず。
その後、屋内に戻るも、建屋の状況が不明のため、サーバ室には入れず、電池切れで勝手にダウン。
電力が復旧したのは4日後で、幸い、サーバやLAN機器などは問題なく復旧。
・自宅の場合
NASのみ電源オンの状況だったが、暗くなってからの帰宅だったので危険で近づけず。
結局、UPS周辺に電源を入れられたのは余震の前。
◆余震での状況
・会社の場合
地震の最中にまた停電、すぐにUPS稼動。
ただし、深夜のため、作業できずそのまま電池切れでダウン。
電力が復旧したのは翌日だったような。
なぜか、このときもサーバやLAN機器は問題なく復旧。
なんだ、UPS必要ないじゃんよと。
・自宅の場合
ちょうどパソコンを使っていたところだったので、停電後、液晶モニタの明かりを頼りにマジメにシャットダウン。
サブパソコンの方はモニタをUPSにつないでいなかったので、つなぎ直すのも面倒なのでそのまま電源オフ。
◆UPSの効果はあったか?
本来は停電を感知してソフトが動いて自動シャットダウンというのがUPSメーカーの想定だと思うんですが、実際にはUPSに接続している機器は一つではないので、結局すべて人が立ち会わないと落とせないという状況でした。
ただ、自宅でまさに作業中のパソコンについてはちゃんとシャットダウンできたので、ちょうどUPSの電池の寿命がきているので、新調しておこうかなとは思ってます。
UPSは雷サージタップ的な役割も担いますから、雷が酷い地域の方も導入しては如何でしょう。コンセントからのノイズ混入を防げるため、PC版ピュアオーディオ探求者の方々にも、UPSは必須のようですよ。私はもちろん要りませんが
確かにUPSはかなり安くなりましたね。500W製品が1万円程度で買えるとは奇跡の如く。パソコンを正常に終了するだけならPC本体+ディスプレイのみのみなわけで、出力1200Wなどという物騒な大容量品は必要ありませんけれど、一般の方は何に備えてそんな大容量品を購入するのでしょうかね