見えて来た、ユニットコムの販売戦略。
とか大げさな事では無いけれど、株式会社ユニットコム内3メーカー(パソコン工房、フェイス、ツートップ)が今年から特色を出して来ております。グッドウィルはパソコン工房の名前変えただけのようなブランドなので省略。
適当に見て参りましょう。
結果として宣伝になるけれど、これを買えとかお勧めなどと言っているわけではございません。
また、パソコン工房などに依頼されたわけでも私が関係者とかでも無く、消費者視点で勝手に評価したり叩いたりするいつものやつ。
フェイスが本気を出しているので、フェイス中心に参ります。
フェイスが立て続けにゲーム用PCを新発売
ここからは4月上旬より中旬の10日間くらいで流れて来たニュースリリースより。まずはフェイスが4本も投下しております。
以前のフェイスのリリース記事は、パソコン工房のおまけのような感じの小出し感が有ったけれど、ユニットコムとして機能し始めたのか。
一つ目はこちら。
フェイス、IPS/フルHD液晶3枚をセットにしたゲーミングタワー-PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130409_595064.html
型番は「PASSANT Ex PROSPEC GAMER ALPHA」、価格は約40万円。
モニタが1枚10万円とかするわけでは無く、PC本体が高級パーツで固められております。PC初心者は手を出さない方が良いと思う、主な構成がこちら。
- Core i7-3930K(3.2GHz)
- GeForce GTX 680×2枚(SLI)
- Intel X79 Expressチップセット
- メモリ16GB
- SSD 256GB×2(RAID 0 Plextor PX-256M5S)
- HDD 1TB
- DVDスーパーマルチドライブ
- 1,200W電源(ENERMAX EPM1200EWT)
- Windows 7 Professional(64bit)
K付(オーバークロックの自由度が高い)高性能CPU、市販最安6万円くらいする高性能グラボ、メモリは16GBも載っており、起動ドライブは中容量SSDをRAIDで更に高速化。主にCPUとグラボの為と思われる大容量電源で、Windowsは実用や汎用性の高い7のPro~仕様。
意図して掲載していると思われる箇所は、SSDがプレクスター、電源がエナーマックスという辺りで、組立代行系を選ぶパーツにこだわるゲーマーもターゲットにしているのでしょう。いずれも比較的評判が良いパーツメーカー。
私が初心者向けでは無いという理由が赤文字部分で、SLIはゲームが対応していなければ高額なだけで無意味になったり、処理が遅くなる事も有り、RAID0(ストライピング)は高速化は出来る上に1ドライブの容量が2倍になるけれど、故障時の復旧が難しく、RAIDの勉強をしなければデータが吹き飛ぶ危険有り。
モニタはIPS(視野角広い高性能液晶)なものの、LG製品で1.8万円くらいの安物が3枚。PC本体が約35万円は高い。量産系BTOパソコンでも、PC本体が17万円を超えた辺りから自作より高くなる例として。
しかし自作の方が安いものの、1つ6万円のグラボやCPUをぶっ壊さず組み立てたり、故障時に換装する自信が無いとか、RAID0をメーカー任せでやりたいなら有りかも知れない。
カスタマイズでCPUを最高クラスまで上げたり、グラボをTitan(1枚13万円くらいの超高性能品)にも出来るらしいので、3画面でゲームする為に金を積める人専用でしょうな。
次もゲーム用デスクトップ。
フェイス、GeForce GTX 650 Ti BOOST搭載ゲーミングPC - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130410_595268.html
3月下旬発売の GTX 650 Ti BOOST を搭載し、価格は10万円前後で3機種。
650 Ti BOOSTは、現在パーツ単品最安2万円前後のグラボなので、本気で3Dゲームをやるならこのくらいの予算は必要でしょう。
名前の通りかどうかは知らないけれど、BOOSTという文字が付いているように自動オーバークロック(クロックアップ、処理速度向上)機能付。
予算12万円くらいでゲームPCが欲しいというPCユーザを狙っているのでしょう。モニタなどは別売りで、3画面PCでも書いたけれど写真のLG液晶は1.8万円くらいの物と推測。
次も同じくゲーム用PC、但しノート。
フェイス、GeForce GTX 680Mを搭載したゲーミングノートPC-ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1304/16/news052.html
これもデスクトップPCと同じく10万円くらいかと思いきや、24~35万円と売る気が有るのか不思議な価格設定。
上手いと思った所は以下。
- 1920×1080ドット表示対応の17.3型ワイド液晶ディスプレイ
- GeForce GTX 680M/4Gバイトを標準装備
- OSはWindows 7 Home Premium/Professionalを導入
ゲーム用高級ノートとしてフルHD。その高解像度とバランスを取る為か、液晶のサイズが先かは知らないけれどノートで17.3型は超大画面。このようなデカいノートPCを選ぶ人は、なぜデスクトップPCを選ばないのか私には理解不能な大きさ。
グラボの価格は判らないけれど、性能はPassMarkを見ると、Radeon HD 7870とGeForce GTX 660(いずれもデスクトップPC用の高性能グラボ)に挟まれていた為、相当な高級品。ノートにしては凄まじい性能。今は。
次、フェイスのラストは、クリエイター向けデスクトップPC。
Faith、“Quadro K”シリーズ搭載クリエイター向けデスクトップ-ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1304/11/news072.html
先ほどから見た目がダサいと思っていたけれど、これは究極では無かろうかと。私の感覚がおかしいのか、なぜ普通の黒ケースにしなかったのか。
価格は約10万から30万円で5機種。載っているグラボのみ書き出し。
- 10万・・Quadro K600
- 11万・・Quadro K600
- 20万・・Quadro K2000
- 24万・・Quadro K2000×2
- 30万・・Quadro K4000
Quadro(クオドロ)2枚とか初めて見たので調べると、GeForceのように普通にSLIになるそうな。但し、NVIDIAがPCメーカーへライセンス販売しているらしく、通常の自作PC用マザーボードでは出来ないとか。
最安を見て来ると、現在は600Kが約2万、2000Kは約5.5万、4000Kは11万円となっておりました。コスパが良いのは2000K、プロなら4000K、入門用は600Kのような感じかと。
Open GLで3D処理しないなら意味の無いグラボ(パソコン)なので、普通の人は見なかった事にしましょう。
ツートップは高性能や高機能PCを続々発売
ツートップも今年は多めにプレスリリースがばら撒かれております。
ツートップ、メジャーブランドパーツで構成したミドルタワー18機種|マイナビ
http://news.mynavi.jp/news/2013/04/09/190/index.html
メジャーブランドの名の通り、マザーボードがASUS(M5A99FX PRO R2.0)と書かれていたり。
カスタマイズ画面を見て来ると、昔のツートップやフェイスのように一部のパーツにはメーカーや型番が記載されておりました。ツートップは普段見ていなかったので良く分からないけれど。
ツートップ、ミニタワーPC3製品にSSD搭載モデルを追加 - ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1304/15/news062.html
HDDでは無くSSDという意味と思ったけれど、SSDは追加となっており、ミニタワーでSSD 120GB + HDD 500GB標準という構成。
SSDを盛りつつ上がった価格をCPUにAMDを採用し価格を抑えているのでしょう。量産系BTOパソコンはAMD CPUが少ないので、これも自作系PCユーザ狙いなのかも知れない。
ツートップより、「kabuパソ」 の先行予約開始|株式会社ユニットコム
http://www.news2u.net/releases/109705
以前もネタにしたけれど、上手いと思ったのでもう一度。
この提案の上手いところはPC本体のグラボ2枚挿し標準も有るけれど、モニタ6枚を標準構成でセットにしつつ、モニタアームまで入って約26万円という辺り。設置や24時間サポートも上手い。
写真のようにここまでやる人なら、デスクやイスだけでも10万円は軽く超えると思うので、勝ちまくっているなら自作している時間が無駄と思われカートへ入れても良いと思う。
パソコン工房は従来通りの一般向けPC発売
パソコン工房(とグッドウィル)もニュースリリースが有ったのでおまけ的に。
ユニットコム、パソコン工房/グッドウィル/ツートップ向けタワーPC - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130409_595096.html
タイトルは省略しておりません。~ツートップ向けとは何だと思えば、ユニットコムが3ブランド用(向け)にリリースしたという意味のようで、ニュースリリースとしてこのタイトルはおかしいと思う。
最安機種の標準構成は約8.8万円。 CPUが高性能な以外は、グラボ無し、メモリ4GB、HDD 500GBなど普通の仕様。
CPU性能が盛られている為、普通の用途で普通にパソコンを長く使うなら、という感じでしょうな。
ユニットコムとMCJの関係を相関図にしてみる
知らなくても何も困らないけれど、MCJとユニットコムの関係を図へ。
MCJはマウス・コンピューター・ジャパンの略で、現在は「マウスコンピューター」ブランドとして独立しております。
MCJグループ傘下に株式会社ユニットコムが有り、その中にパソコン工房などのブランドが有るという。
マウスのゲームPCブランドはG-Tuneが有り、独立はしていないけれどクリエイター向けPCはマウスが現状最も充実しており、フェイスとかぶる形。
販促はMCJとユニットコムが独立、販売は全部独立したブランドとして複数展開。知名度を上げ、ドスパラなどの競合に勝つならゲームPCなどの特化は上手い。
独立採算なら問題は需要と思うけれど。
提案や特化BTOパソコンは成功するか(まとめ)
先にBTOパソコンを販売しているメーカー別に分類すると
- 海外大手・・DELL、HP、Lenovo など
- 国内量産系・・マウス、PC工房、ドスパラ など
- 組立代行系・・サイコム、レイン、1's など
それぞれの従来までの特徴を挙げると
- 海外大手・・大規模な大量販売で安さ勝負
- 国内量産系・・中規模な量産での安さ勝負
- 組立代行系・・小規模でマニアックでやや割高
1の現状はレノボを除き元気が無く、DELLも昔ほど安くは無く身売り予定へ。HPはWindows8で失敗しているらしくデスクトップPCも以前から冴えない品揃え。レノボは中国パワーで安物を送り出し、DELLやHPを追い詰めている状態。
3は自作PCにしたいけれど作業時間や最新の知識に自信が無いとか面倒だからと選ばれるメーカーで、パーツにこだわる人には人気が有る系統。
2が問題で、DOS/Vパソコンが本格的に普及し始めた(NECのPC98時代が終わった)頃からPCブームに乗りでかくなったメーカーが多く、今後のWindows8による寒冷期もしくは氷河期と、携帯端末普及により経営が厳しくなると思われる企業。
パソコンが高級機器という時代は終わっており、今やソニーのVAIOノートでさえ最初から4万円くらいで販売される現状。
当サイト(ヒツジ先輩)としては、国内の量産系BTOパソコンこそPC初心者向け、かつ安い(コスパ良い)と広めており、メーカー側も同様に考えていると思うけれど、今年からは各メーカーそれだけではやっていけなくなるでしょう。
無差別100人に聞きBTOパソコンを知っている人が多めに見て30%くらいとし、更にパソコン工房系のいずれかを知っている人が50%としても、100人中15人。
PC初心者向けに「ゲームやクリエイター用PC」「高機能や株取引用PC」など特化して提案するのは上手いと思うけれど、多くの人へ認知され浸透されるまで何年かかるか。その間に需要がどう変化するか。
マイクロソフトはWindows PCユーザ以外、PCメーカーの為にもとっととWindowsを元に戻してあげた方が良いと思う。
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