Windows 8発売から早くも約10ヶ月。
8発売直後から現在に掛けて国内のみならずPC出荷台数は前年割れが続いており、その割れ方も月を追うごとにひどくなっている印象。大手有名PCメーカーと、BTO PCメーカーで違いが見えるので紹介。
文字まみれなので苦手なら斜め読み推奨。
Windows 8 PCで業績悪化、7も売ると好調
先に絶不調なメーカーのニュースから。
PC事業は東芝が80億円の赤字、富士通も不振
東芝の四半期決算と思われる、4~6月の業績を引用。
テレビ事業は100億円の赤字、パソコン事業は80億円の赤字
米国会計基準での連結営業利益となっている為、国内のみの話ではございません。テレビもひどいけれどパソコンも同じレベルで大赤字。
東芝もWindows 8発売後からは7では無く8仕様となっており、それと直結は出来ず関連するかも分からないけれど、とにかくPC事業は80億円の赤字。
しかし全体的な営業利益は何とかなっているご様子。
前年同期比2.1倍の243億円になったと発表した。半導体のNANDフラッシュメモリーの好調などが寄与した。
NANDフラッシュメモリ、東芝と言えばSSDの事でしょう。
CFDと連携したSSDが日本でも売れており、以前TakaQさんから寄稿戴いたSSDの選び方の記事記事では、東芝製品はかなり優秀との事。
もう一つ、同時期の四半期で業績が悪そうなニュースは富士通。
2013年4―6月期の当期損益が219億円の赤字(前年同期は254億円の赤字)だったと発表した。スマートフォン(多機能携帯電話)やパソコンの販売不振が響き、4―6月期として3年連続での最終赤字となった。
3年連続と有る為、これはWindows 8のみの影響とは言えないけれど、パソコンの販売不振は終わらない、要するに8仕様パソコンでは富士通を助ける事が出来ておりません。
スマホの影響が大きいらしいけれど、パソコンも。
パソコン事業も同10%の減収となり、「2桁の赤字」だった。個人向け市場の縮小が続いていることや、前年同期に金融分野で大型の案件があった反動もあって販売が落ち込んだ。ただ通期出荷計画は従来の535万台を維持した。
点での例になるけれど、以前私の知人がノートPCを買い増しするとの事で話を聞き、今のWindows(8)がどのような物か見せたところ、「冗談はやめろ、改造しているだろう」と疑われた事がございます。
8はこれが普通と説明し、私がからかっているわけでは無いと納得した後、Windows 7のノートを購入。ちなみにパソコン工房の約3.7万円レサンセ、7 Home~仕様。
予想なのでそうとは限らないけれど、あのスタート画面を見てWindowsと思う人がどのくらい居るか。こんなパソコンなら普通のタブレット(iPadやAndroid端末)でも良いと考える人も少なくは無いかと。
富士通もWindows 8発売後の新製品は全部8パソコン。しかし、現在もWindows 7入りで売っているメーカーが有り、それがBTOパソコン。
逆にマウスコンピューターはPC事業が絶好調
マウスコンピューター(以下、マウス)はMCJ直営のPC部門。
MCJ <6670> [東証M] が8月1日大引け後(15:30)に業績・配当修正を発表。
14年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結経常利益を従来予想の6.5億円→9.5億円(前年同期は5.5億円)に46.9%上方修正し、増益率が18.0%増→73.3%増に拡大する見通しとなった。
MCJは、旧マウス・コンピューター・ジャパンの略で、現在はマウスをPC事業として独立し、MCJは傘下に同じくPC事業メインのユニットコム(パソコン工房、faith、ツートップ など)、そしてPC用モニタ製造のiiyamaなどを持つ大企業。
2014年4~9月の連結経常利益という事は、マウス以外にユニットコム全体も入っております。そして経常利益という事は、本業以外も含めた金額なので、円安傾向という為替相場を踏まえると、47%もの上方修正は凄まじい自信。
マウスだけ何か良いとか、ユニットコムのみというわけでもございません。PDFへリンクしたくない為、MCJのIRページへリンク。
IRライブラリー|株式会社MCJ
http://www.mcj.jp/ir/report/
現在の最新、2014年3月期(第16期)第1四半期決算短信より引用。
当社グループの属するパソコン業界におきましては、新OSへの移行が順調に進んでいないことやモバイル端末との競合等により、世界市場での総出荷台数は前年同四半期比で引き続き減少しました。また、社団法人電子情報技術産業協会の発表によれば、国内のパソコンの出荷台数は前年同四半期比18.1%減、出荷金額は同16.8%減
要約すると、Windows 8への移行は多くの人が嫌がっており、世界規模のPC出荷台数は連続して減少、国内でも2割近い減少。金額は毎年単価が下がるものなのでスルー。
一見すると業績悪化の前説的な言い訳にも見えるけれど逆。
「マウスコンピューター」ブランドによるパソコン及び「iiyama」ブランドによる液晶ディスプレイの国内製 造・販売部門においては、法人向けの販売が前年同四半期実績を上回ったこと等により、売上高・営業利益ともに 前年同四半期比で増加しました。
通販では法人向けはMouseProブランドが一応有る程度で何をしているのか見えないけれど、株主宛の情報提供でははっきりと理由が説明されております。
ユニットコムも経営は上手く行っているご様子。
「パソコン工房」「Faith」「TWOTOP」「GOODWILL」「BUY MORE」等のブランドで全国に店舗展開する小売部門においては、株式会社グッドウィルの買収効果のほか、不採算店舗の閉店を進めたことも寄与し、売上高・営業利益ともに前年同四半期比で増加
店舗閉店と言えば、確か2chまとめでチラ見したと記憶しているけれど、田舎のパソコン工房やグッドウィルがいつの間にか消滅しているとの事。理由は何で有れパソコン市場縮小は間違い無さそうなので、当然と言えばそれまで。
マウス+iiyama以外にユニットコム全体で見ても前年同期比で売上と営業利益は増加との事で、数値も出ておりました。
以下は、マウスとユニットコム合わせたパソコン関連事業全体の事。
これらの結果、当事業における売上高は21,036百万円(前年同四半期比11.5%増)、営業利益は616百万円(同 30.4%増)となりました。
営業利益がやたら増加している理由は、円安ユーロ高によるiiyamaの製造コストと推測。MCJ系列のブランドのBTOパソコンがやたら高くなっているわけではございません。
しかし、比較は全て前年同期比なので、前年(2013年4~6月)の業績が悪かったとか、今年は6月に新CPU(Haswell)や新チップセットが出た影響も有るでしょう。
MCJのまとめ的な部分をKabutanより引用。
会社側からの【修正の理由】
主力事業であるパソコン関連事業において、PCを中心に販売が好調に推移していること等により、売上高および各利益が前回発表予想数値を上回る見込みとなりました。
市場が世界と日本、事業の規模も比較にならないほど違うので、MCJを東芝や富士通などと一概には比較出来ず、Windows 8の事は無しにしても、この時期にPC事業が好調なのはBTOパソコンメーカー。
現在もWindows 7 PCを売っているから、と理由付けてもおかしくは無いかと。
クレバリーの破産やKOUZIROの解散は無関係
クレバリーはWindows 8が出る前、KOUZIRO(フロンティアの元運営会社)の解散は8が出て半年程度の影響とは思えない為、単純にマウスやユニットコムの経営が上手いのでしょう。
世界規模で見るとDELLやHPはパソコンが主事業なので、身売りや業績悪化はやはりWindows 8の影響と見るが妥当かと。
国内PC出荷台数6月分を更新(JEITA統計より)
6月分の数値が7月下旬に出たので、以前書いた記事で作ったグラフへ6月を入れるとこうなる。
source:JEITA / 統計データ
止まらない連続しての前年割れ。
4月に大きく落ち込み、5月には回復せず。こう来ると通常なら6月に大きく前年比プラスになるけれど、5月を下回っております。
カテゴリ別でも見てみましょう。オールインワンは一体型、単体は分離型のデスクトップで、暖色はノート。
デスクトップ単体以外は前年割れまくり。しかし、単体のみ5月に続き前年比プラスとなっております。
どういう事かは次の記事が関係有るかも知れない。
下半期はXPから7へ移行で富士通のターン?
出荷台数減少、二桁赤字らしい富士通の戦略。
株式会社富士通マーケティングは、Windows XP搭載PCを利用している企業ユーザー向け移行サービスを強化した。
2014年4月にWindows XPがサポート期限を迎えるのに合わせ、Windows XPからWindows 7およびWindows 8への移行を支援する「Windows XP移行サービス」のほか、
タイトルには「一気に強化」と書かれており、XPからの移行先はWindows 8のみでは無く7の文字が。
記事本文を斜め読みすると、規模は大きく無く、富士通内での影響も小さいと感じるけれど、法人向けにはWindows 7が必要との判断。
富士通は国内ではNECレノボに次ぐPC出荷台数シェア2位を維持しており、占有率は全体の2割以上。
半分以上は法人向けなので、7で売りまくれば中小企業にとって富士通は救世主のような位置付けになるかも知れませんな。
9月までは7のDSP版は終わらなそう(まとめ)
さて、話を戻しMCJの事。 4~9月の四半期2個分の業績(連結経常利益)を47%もの強気な上方修正。
確実とは言えないけれど、これが主にWindows 7による好調とするなら、9月までWindows 7は終わらないと考えても良さそう。
実際、マイクロソフトが予定しているライフサイクルでは、早くとも10月22日まで7は終わらないはずなので、MCJの御墨付になった印象。
また、本当に7の影響による好調なら、BTOパソコンメーカーなら7がまだ有ると今後周知が強まると思われ、業績は更に良くなるかも知れない。
少し気になる事は、Windows 7のDSP、OEM、パッケージの違い。
富士通などが7を個人向けに売っていない辺りを考えると、既にOEMはマイクロソフトからの出荷(OEM契約)が終わっているのでは?と妄想しております。そういう噂も有るけれど、ソースを出せないので噂として。
いずれにしてもXPユーザなら来年3月末頃までには新OSへ移行した方が良いので、残り半年少々の間に何とかしましょう。
しかしMCJの上方修正は凄いですな。一覧で見ると冗談、またはからかっているのかと思えてしまう。
この予想通り、好調な実績で終わるにはWindows 7と円安の続行、マウスの法人営業が関わっていると思われ、円安が続くと思うならMCJは買いかも知れない。
私はギャンブルをしないけれど、BTOパソコン.jpというブログのネタ的に面白そうなので、160円の指値で現物買1000株(160千円)、8月5日の午前9時に約定したと仮定し様子を見て参りましょう。
昔、ライブドアの株主優待(毎年、千円程度のWindows用ソフトを送ってくれていた)目当てでSBI証券で1株買い放置していたアカウントが有るので、ポートフォリオを作成。
売る時期はWindows 7終了前。
リアルで真似して損をしても私は知らないので自己責任にて。4~6月の四半期が別の理由で好調なだけだったのかも知れない。
余談:タイトルは「死せる孔明生ける仲達を走らす」(via:コトバンク)という三国志のことわざをパクっておりますが本来の意味とは全然違うので誤って覚えられぬようご注意有れ。
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