Windows XPのサポート終了予定は2014年4月8日。
個人的にはまだ1年9ヶ月も余裕が有ると考え、Windows8発売から1年後に検討予定としておりますが、企業で複数台のPCが有ったり、XP用に作られたプログラムを利用しているなら前もって準備しておきたい所。
ITmediaに分かり易い事例が公開されたので突っ込みつつ参ります。
挿絵入りで文字が詰まらず見易い作文。
検証! XPのサポート問題:800台のPCを半年でWindows 7に移行しなければならない商社の場合 - ITmedia エンタープライズ
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1205/18/news001.html
シミュレーションの概要は、2013年10月(XPサポート終了まで約半年)に社員数千人規模の企業で800台のパソコンが有り、サポート終了に対してどう動くか。
私の個人所有のようにXPパソコンが2台とかなら2~3日で終わるものの、800台ともなれば話は変わり、部署により用途は様々。
何がまずいのか、本文より引用しつつ感想文にて。
サポート期間が終了してしまうと、OSの更新プログラムが提供されなくなるらしい。つまり、新たな脆弱性が発覚しても、それを修正する術がなくなってしまうわけだ。
パソコン慣れしていない人にはこの部分が分かり難いようで、Windowsというソフトウェアを車という物に置き換えると、XP車は2014年4月移行は修理出来なくなり、雨漏りがしても放置されるようなもの。
雨が降らなければ(脆弱性に対する攻撃が無ければ)良いけれど、サポート期間中はマイクロソフトが超能力で直していた屋根を修理しません、のような事。超能力の開発は金が掛かる為。
最近のパソコンはネットワークに接続されており、外部(インターネット)接続も普通。外へ出ない常時車庫に入っているパソコンなら良いけれど、いつ雨が降るかは分からない屋外では損害が出る不安。
その攻撃などに対してセキュリティソフトで対応出来ないかという話では
アンチウイルスソフトだけでなく、他のアプリケーションベンダーやPCメーカーの中にも、サポート期間終了後はWindows XPへの対応を打ち切るところが多い
どのような統計、何を根拠にサポート終了OSへの対応打ち切りが多いと言い切っているか不明。
私も根拠は無く直感でしか無いけれど、アプリケーションのサポート打ち切りは、OSのサポート終了というよりユーザ数の割合、今回の場合はXPの利用率で決めていると想像。
Windows 2000のサポートが終了した後もアプリケーションやドライバなど継続して用意される事は少なく無く、いずれ無くなるとしてもしばらくは猶予が有るでしょう。
また、セキュリティソフトはウィルス対策のパターンファイル(データベース)が更新されるという特殊な条件。その他はXPに対応するソフトウェアや設定ファイルを保存しておけばよろしいかと。
次はWindowsのシェアについて。
IT系の情報サイトをのぞいてみたところ、世間の企業の大半は、既にWindows 7への移行を終えていることも分かった
これもデータの提示が無いので何をもって世間の企業の大半は7へ移行していると言っているのか不明。
私が当サイトで毎月公開している7のシェアは2012年1月にようやく7の利用率がXPを超えたばかり。
個人ブログでは有るものの、世界や国内の7普及率推移とだいたい同じで、大半が7とは言えないので引用部分は嘘とも言えましょう。
また、いつの集計か忘れたけれど、Windowsのバージョンは個人より企業や学校の方が新OSの利用率が低いと記憶しております。土日にWindows7やVista以外のアクセス数が下がる為。
大企業のOS移行は次が問題。
10年前にWindows 2000からXPへ移行した時には、丸1年がかりのプロジェクトだった。当時より会社の規模は大きくなっている
私は直接関わった事は無く見ただけでは有るものの、部署毎で部分的に移行したり、使用するソフトウェアや接続されているハードウェア、サーバー側の都合で移行出来ないPCも有ったり。
移行後にどのような問題が出るかを検証しなければ進めないわけですな。中小企業でも専用プログラムを外注で入れていたり、やたら古いプリンタなどは接続方法が違うかも知れず、新Windows用のドライバが無いかも知れない。
Windows XPの寿命が長かったため、クライアントOSの移行にどれだけの手間や時間がかかるのか、多くの人が実感を失いつつある。
XPの発売は2001年11月16日なので約10年半が経過。
しかし今回の記事で移行しようと言っているWindows7は2009年10月発売で、サポート終了予定は2020年の1月予定となっており10年くらい。
同じ事を繰り返そうと提案しているように見え、説得力に欠けると思えているのは私だけでしょうか。
セキュリティベンダーが自社製品を、未来永劫にわたってWindows XPに対応させ続けると考えるのは、やはり無理がある。
未来永劫で対応するセキュリティベンダーというかそのような企業が有るわけが無く、いつか需要が無くなるとして別の事業に手を出すが普通。
未来永劫は大袈裟。なぜこう書くかはユーザを必要以上に脅かしたいから、としか思えない書き方。
次はWindows7の機能について。
HDDや外部記憶メディアに保管されたデータを暗号化できるBitLockerを活用すれば、PCの紛失や盗難に伴う情報漏えいリスクを大幅に低減できる
この文章内にはWindows7のエディションには触れておらず、BitLockerはWindows7の最上位(Ultimate)や企業用(Enterprise)版のみの機能。
一応企業向けと思われるProfessionalエディションにさえ無いもので、Windows7という括りにするならHome Editionを想像するユーザが多く居られましょう。まぎらわしい書き方。
そして、マイクロソフトオフィスのサポートについても言及。
MSオフィス2003から2010へ移行する事で20%のコスト削減になるという、良く解らない図解がこちら。
TCO(パソコン関連全部のコスト)が移行後に掛かる事には納得。しかし、オフィス2003より2010の方がなぜか工数(作業量)が減っており、金額も減少。
私は2010は所有しておらず2007と2003を併用しておりますが、2010は2007に毛が生えたようなものとするなら、効率は2003の方が上。
2010に何か劇的に生産性を上げられる機能が有るなら別なものの、2007以降はリボンインターフェイスにより単純にクリック数が増え、無駄に画像がきれいなのでGPU性能の低いPCでは処理時間も長め。
また、この表は5年(60ヶ月)後に20%削減とされており、年間平均9千万円分のコスト削減。本当ならMSオフィスの移行は企業には定番になると思うけれど聞いた事が無い。
話はOSに戻り、移行に関する具体的な問題点。
これまでWindows XPに直接インストールして利用していたアプリケーションや、IE6で利用していたWebアプリケーションが、果たしてWindows 7やIE8/9の上でも動作するのか。
これを検証し、必要に応じてアプリケーションを修正しなければいけない。この作業に掛かるコストを嫌い、Windows 7への移行を先延ばしにしている企業も決して少なくないだろう。
最近は減って来たと感じているけれど、役所関係のページがIE6のみとか、ChromeやFirefoxに対応していないなどは良く見られた仕様。
アプリケーションも市販の物では無く、オリジナルで作られているならバージョンアップは有料になったり保守料が値上がりしたり。その外注先が既に倒産している事も有り、一から作り直しも有り得るでしょうな。
極力時間と手間を掛けずにWindows 7環境に移行できる方法も存在する。最も良く知られているのが、Windows 7に用意されている「Windows XP Mode」
XPモードで業務用ソフトが動くなら良いけれど、完全にXPでは無く仮想環境。Windows7からは64bit版が標準化して来ており、32bitのエミュレーションになるので動作する可能性は低下。
XPモードでは無く別の手も有り。
そこでお勧めしたいのが、MED-V(Microsoft Enterprise Desktop Virtualization)と呼ばれる仮想化技術だ
MED-VはWindows7上で仮想ソフトのバーチャルPCにてXPを使うというもの。これが有るとIE6が使えたりXP環境を再現出来るらしいけれど、そこまでやるならXPのサポートを延長しろと。
最後はオフィスの話へ。
Office 2010環境へ移行することで、生産性やTCOの大幅向上が期待できる。そのため、できれば既存のOffice 2003ドキュメントとアプリケーションを修正した上で、Office 2010環境に移行するのが理想的
上でも書いたけれど、私はオフィス2003と2007を併用しており、当ブログに掲載するような遊びで作ったファイル(主にグラフ)以外、仕事のファイルは2003の形式(*.xls)で保存しております。
見た目がきれいで誤魔化し易いグラフより、数値の比較がはっきり分かる資料の方が良く、社内や他企業との汎用性を重視する為。
Windows XPから7や8への移行は必要か(まとめ)
引用元の記事はマイクロソフトの宣伝なので薄めて来た次第。
提供:日本マイクロソフト株式会社
冒頭で書いた通り、私は個人所有のPCのみなのでサポート終了1ヶ月前まで引っ張れど問題は無いものの、中小企業でも入れ替わりや補充で入社などで社内のPC環境全体を知らない担当者なら早めに動くべきでしょう。
しかし、脆弱性やセキュリティホールの心配が有るとは言え、ネットワークに繋がっておらず、外部のデータを入れないスタンドアローン(完全に孤立している)型PCなら移行は大して重要でも無し。
Windows8がどうなるか2012年5月現在ではまだ判らず、こける可能性が少しでも有ると思うなら準備はしても移行は待った方が安全。Vistaへの移行のようにハードウェア(主にメモリやHDD)依存にはならないとしても、8のあのインターフェイスは業務用とは思えない。
長年Windows(マイクロソフト)に仕打ちを受けて来たユーザなら新Windowsは1年様子見が標準。
待てるなら待ちましょう。やばいならWindows7はサポートが2020年までなので、延長に期待しつつ7年くらい使う予定で移行を推奨。
今回の記事はマイクロソフトの宣伝。サポート終了や移行という名のもと、いかに自社の収益を上げるかが彼らの目的なので冷静に考えましょう。
コメントする ※要ユーザ登録&ログイン