Z77チップセットが4月8日0時に解禁され発売。
対応CPUのIvyBridge発売は4月29日0時の予定と噂されており、現在はZ77のマザーボードにSandyBridgeが搭載されて販売中。これに何の意味が有るのかというお便りを頂戴したので、PC初心者用に解説。
複雑になるので今回はインテル7シリーズでもZ77のみ。
インテル Z77 Express と SandyBridge の関係
Z77とはチップセットの名前、チップセットはマザーボードに直接搭載されており、CPUなどと連携して処理をするメイン基板の中枢。
量産系BTOメーカーの仕様に書かれるマザーボードの項目はチップセット名になっている事が多く、単純にマザーボードの性能や機能の一部を表しております。
チップセットとCPUの組合せの種類を4例挙げると
- X58(LGA1366)・・Core i7 900番台
- P55(LGA1156)・・Core i3/i5/i7 3桁(9xx除く)
- X79(LGA2011)・・Core i7 3900番台
- H67(LGA1155)・・Core i3/i5/i7 2000番台<SandyBridge
青にしたLGAはピン数(CPU側は面数)を表しており、チップセットとCPUの組合せが違えば動作せず、LGA数と同時に対応CPUの大きさも変わるので物理的にも搭載されるCPUが制限される仕組。
SandyBridge(サンディーブリッジ)やIvyBridge(アイヴィーブリッジ)は開発コードネーム、というとややこしいので、グループ名と思ってよろしいかと。
今回のZ77を追加すると
- Z77(LGA1155)・・Core i3/i5/i7 3000番台(39xx除く)<IvyBridge
チップセットがインテル7シリーズになり、昨年までの話ではIvyBridge用でSandyBridgeとは互換性無し。しかしLGA数はSandyBridgeと同じ。フタを開けるとSandyBridgeも動作するという現状。
4月8日に発売されたインテル7シリーズ(Z77も含まれる)のマザーボードは、IvyBridgeに対応する物も有るとされており、互換性の有無には注意が必要となっております。
BTOパソコン含む完成品PCで改造しないなら問題無いけれど、CPUを載せ換える前提や自作PCユーザは気を付けましょう。
SandyBridgeでは制限されるZ77チップセットの特徴
一応、IvyBridge用なZ77では、インテル6シリーズまでとは違う新しい機能や性能が追加されており、主に以下の5つくらい。
- DDR3メモリ、PC3-12800まで対応
- PCI-Express 3.0(Gen3)にも対応
- USB3.0がチップセット(ネイティブ)で対応
- CPU内蔵GPUでも3画面出力可能
- ThunderBoltに対応する準備有り
何の事か解らないかも知れないので簡単にすると
- インテル6シリーズより1ランク高速なメモリに対応
- 新世代グラフィックボードに対応し高速化が可能
- USB3.0をインテルがチップセットで対応した
- マザーがDisplayPortx2ならグラボ無しで可
- 今はMacだけの高速転送規格も将来対応
若干詳しく書くと
1.インテル6シリーズまででもPC3-12800対応は有ったけれどマザーボード次第。普通は(オーバークロックなどしなければ)PC3-10600まで。インテル7シリーズからは普通に対応。
2.PCI-Express3.0対応のグラボは、2012年4月現在では高性能グラボで数種類しか出ておらず、まだこれからの話。
3.USB3.0はインテル6シリーズでも有ったけれど、NECなどのチップやドライバなどで対応しており、今回からインテルがチップセットに内蔵。
4.マザーボードに例としてHDMIx1、DisplayPortx2が有るならグラボ増設無しで3画面出力が可能に。4月現在、DisplayPortx2搭載マザーは出ていないのでやはりこれから。
5.アップルとインテルが共同で開発したUSB3.0より高速かつ将来的にデータ転送以外にも利用出来るサンダーボルトという規格。
少しでも性能向上を求めるゲーマーやマニアには楽しめる内容なものの、一般ユーザには恩恵が少なく微妙。
更にZ77にSandyBridgeを載せると制限され、
- PC3-12800を載せても10600に落ちる
- PCI-Express 3.0(Gen3)で動作しない
- USB3.0がネイティブになっても判らない
- 3画面用マザーボードがまだ出ていない
- Windows PC用ThunderBolt採用は年内予定
要するに、Core i7 2600などのSandyBridgeグループのCPUをZ68に載せてもZ77に載せようとも変わらない、または判らない状態。
Z77搭載PCをBTOメーカーが続々と発売する理由
上でZ77にしても変わらず体感不能としておりますが、ここぞとばかりにBTOメーカーがZ77を採用したとニュースリリース祭りを開催。
- マウスコンピューター、Z77搭載PCの販売を開始
http://www.mouse-jp.co.jp/company/news/2012/news_20120408_03.html - インテル7シリーズ搭載パソコン販売開始|ドスパラ
http://www.dospara.co.jp/5press/2012/0409 - 【PC Watch】パソコン工房とKOUZIRO、Intel Z77搭載PC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120410_525235.html - TSUKUMO、Z77採用マザー搭載BTO PC発売-ITmedia
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1204/09/news014.html
各社のリリースを見ると、当然ながらZ77の特徴にはほぼ触れておらず、最新とかコストパフォーマンスに優れるなど当たり障りない作文で、主にグラボやCPUについて強調。
上で書いた通りSandyBridgeを載せてもZ77の意味はほぼ無いけれど、なぜBTOメーカーが宣伝しているのか3つ推測すると。
新製品を載せる以外の宣伝材料が無い為
今回に限らず、BTOパソコンはNECや富士通のように用途の提案が難しいので新パーツが出た時くらいしか宣伝するタイミングが無く、競合他社がリリースを撒く対抗も有り苦し紛れで新発売。
新しい物好きを狙っているのかも知れないけれど、私程度の知識が有れば意味が無い事は分かるので、Z68より安くなければどうでも良いレベル。実際、Z68搭載機種より若干高いので飛び付かない方が良いでしょう。
インテル6~の在庫を早く処分しIvy対応準備
IvyBridgeはSandyBridgeと比較しCPU内蔵GPU(インテルHDグラフィックス)部分が特に強化されたらしく、今後Sandy~を選ぶ理由は特に無し。単純にPCパーツは新しい物の方が良いとされる為、H67やZ68などを今後仕入れたくないと推測。
Z77などインテル7シリーズを今から入れておけばSandyBridgeに対応し、月末から出るIvyBridgeの準備も可能。マウスやドスパラ、PC工房などOEMで大量に仕入れるメーカーも有ると思われ、多少価格が上がれど大人買いでカバーするのでしょう。
マザーボードの種類を絞った仕入れと在庫調整
在庫数、Z68が5千枚とZ77が3千枚有るより、Z77が8千枚の方が製造や輸送費の面で割安になり、置き換えて行くは普通の考え方。Z以外にPやHなども有るので、無駄に種類を2倍にする意味は特に無し。
インテル7シリーズの方が後々高機能になるという事は、経年による在庫価値の劣化も少なく安心。修理用パーツとしても上位互換と考えるなら、過去のインテル6シリーズのマザーを7へ置き換える手も有りかと。
というわけで、メーカー都合でZ77が載り宣伝していると思われます。
Z77にSandyBridgeを載せたBTOパソコンの意味まとめ
BTOパソコンでZ77+Sandy~は意味が無く、その理由は2つ。
- マザーボードが新CPU(IvyBridge)対応か判らない場合が多い
- CPUやグラボを載せ替える前提なら、自作PCにした方が安心
現在出ている物は、LGA1155のインテル7シリーズでも必ずIvyBridge対応とは限らず、BTOメーカーは改造のサポートしてないので聞いても教えてくれないでしょう。どうしても今から7シリーズを使いたいなら初めから自作が安全。
今、7シリーズを購入しているユーザは
- とにかく新しい物が早く欲しいというオタク
- SandyBridgeが余っており載せてみたいマニア
- CPU発売まで部屋に飾り鑑賞用にしている変態
IvyBridgeが出ない事には始まらず、出て載せても現状ではゲームやエンコードなど日常的にやっているようなヘビーユーザで無ければ価値は薄め。
今後は自然にインテル7シリーズへと置き換わって行き、IvyBridgeのCore i3まで出揃うという噂の6~7月頃には半数以上が新CPUと7シリーズになっているでしょう。
私がPCを買い替えるなら、ボーナス商戦前後に叩き売られると思うSandyBridgeと6シリーズの組合せを狙うでしょうな。
マザーは発売済、CPUが月末予定とは言え詳細や実測の情報がまだ少ない為、ハードウェアいじりが趣味で無ければ、今回の7シリーズ発売は見なかった事にして良いレベル。
CPUの価格はこちら。
source:Intel cuts desktop Ivy Bridge CPU pricing ahead of launch by VR-Zone.com
New Price は値下げ。日本での実売は1ドル100円換算くらいになると予想。
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