珍しいと思うケース交換について。
PCケースは破損はしても故障は滅多にしないもの。するとしたら電源ボタンやリセットが利かない程度、しかも私の知る限りではメーカーの修理現場で物損は見たものの断線率はかなり低い。
そうでは無く、単に交換したい場合の注意点。
元ネタはこちら
パソコン工房のBTOだけどPCケースの乗せ換え簡単?:PCパーツまとめ
http://blog.livedoor.jp/bluejay01-review/archives/49063841.html
ケースは載せる方なのでPCケースの交換ですな。やはり2chのオッサン達は年取ったのか親切に教えてあげているけれど、私なりに改めてケースの交換について書いてみましょう。
もちろんPCハードウェア初心者向け。
BTOパソコンのケース交換で注意する事
ケースは主に3種類で、左からスリム、マイクロ、ミドル。
source:ASCII.jp:イイヤマンが語る、これまでにないスタイリッシュなPCケース「雅」 (2/3)
別の呼び名として、マイクロはミニタワーとかマイクロATX、ミドルタワーはATXケースとも言うけれど、ここではスリム、マイクロ、ミドルで統一。
BTOパソコンの場合はいずれかに該当するはずで、スリムより小さい小型PCや箱型のキューブならばパーツのケース移植はあきらめた方が良いと思う。
キューブなら他のケースにマザーボードが取り付かないのでCPUが巻き添えとなり、そこまで使えないなら新品で自作するべき。小型PCはマザーのサイズ違い以外にノート用のパーツが使われていると思うので窓から放り投げるレベルでケース交換は無意味に近い。
もう一つフルタワーというケースもあるけれど、フルタワー使っている人がケース交換出来ないとは思えないので除外。
なお、マイクロとミドルはそれ1台しか無いなら見た目どちらか判らないかも知れないので、左サイドパネルを開けてマザーボードの形を見てみましょう。
source:DOS/V POWER REPORT | Impress Japan
右端は無視して左と中。
マザーボードの形が縦長の長方形ならミドル、正方形ならマイクロー。BTOパソコンに拡張性は必要無いとしてミドルタワーにマイクロ用が入っているかも知れないけれど、マザーのサイズがケースのサイズと思えばOK。理由は後述。
ケース移植の可否を見分ける箇所は4種類。
1.マザーボードのサイズ(スリム=マイクロ<ミドル)
上の画像でいうと、スリムとマイクロはMcroATXマザーなので同じ、ミドルタワーだけATXマザーが搭載されているもの。
なので、スリムとマイクロのケース変更は大丈夫、ミドルからスリムやマイクロは無理、スリムやマイクロからミドルへの変更は大丈夫。
ATXなどの名称は規格を表しており、部品や色は違えども大きさは統一されているので3種類のケース内ならマザーの大きさは2種類と思えば大丈夫。
また、ネジ穴の位置もだいたい決まっており、一部マザー側にネジ穴は有るけれどケース側には無いとかその逆のパターンもあり得るけれど、普通のPCケースならば全然固定できないほどの違いは無し。
マザーボードをケースから外し載せ替える際、ケーブル類とPCI(背面のグラボなどの基板)は全て外す事になるけれど、CPU、CPUクーラー、メモリは挿したまんまで外す必要性はございません。
どこに何が接続されていたかパーツやケーブルを外す前に全体をデジカメやスマホで撮影しておく事を推奨。私も自作慣れしていない頃はそうしており後々助かった。
また、ケース移植に失敗というか分からなくなり諦めて元に戻す可能性アリなら、ケースとマザーを繋げている細い配線のマザーボード側を拡大し様々な角度から撮影しておきましょう。
ここの事。
source:本当は怖い自作パソコン、自作PC初心者が注意する事 - BTOパソコン.jp
黒い小さな端子がこれらのピンに接続されており、配線ミスると最悪ショートして一瞬で終了。自作慣れしていない人の最大の難関がここ「だけ」と思えばよろしいかと。
これらの配線はケーブルが色分けされている事が多く、更に黒い端子にMSGとかPWと文字が書かれているので基板側と合わせる。ケーブルとマザー側の色はまず合っていないので騙されないように。
挿さっている状態、外す前に写真を撮っておきましょう。
2.電源ユニットのサイズ(スリム≠マイクロ=ミドル)
ケース3種類ならば電源は主に2種類。
source:株式会社サイズ
左はATXという規格でミドルとマイクロは99%これ。右のケースはスリムを開けたところで右上の箱型のパーツがTFX電源という違い。
スリム用TFXは切っていないカステラ型、ATXは上や下から見ると正方形で大きめ。マイクロは10年以上前ならSFXもかも知れないけれど、BTOならば特殊なPCでなければATXが採用されているはず。
電源はマザーボードのように大が小を兼ねてはおらず、大きさ以外に固定するネジ穴の位置が違うので取り付けできない。ケース内ですっ転がしたり、側板開けっぱで外へ置くなら話は別だけれども。
スリムからマイクロ&ミドル、マイクロ&ミドルからスリム、いずれも電源ユニットの大きさが違うので移植は無理と考えましょう。数年前から電源も良いやつが安くなっている為、穴空けたり固定金具をDIYしてまで流用する価値は無いと思う。
違いは大きさ以外に容量。TFXはだいたい300W(ワット)以下、ATXは350W以上と考えるとだいたい合っているはず。
こちらは大が小を兼ねており、容量デカいからと常にそのワット数を使うわけではございません。ブレーカーが15Aでも30Aでも、蛍光灯2本点けたならいずれも80Wくらいになると同じ感じ。
マイクロとミドルのケース間移植は同じATXでも、マイクロに付いているなら容量低め、ミドルなら高め、かも知れない。
マイクロはグラボ非搭載か性能低め、ミドルは高性能なCPU&グラボのバランスを取りがちな以外、ケースと電源セットのプチベアボーンで仕入れる事も昔はあった為。
3.PCI接続カードのサイズ(スリム≠マイクロ=ミドル)
画像をマウスより拝借。左はマイクロ、右スリム。ミドルはマイクロと同じくらいの幅として省略。
どちらも左上の端子類が集中している辺りはマザーボード、底面に電源ユニット、そして中段辺りに2つ見えている銀色の横長がPCI系の基板で、画像はいずれもグラフィックボード(ビデオカード、グラボ)。
見ての通り幅が違う為、マイクロとミドルのPCI系基板の幅は同じでもスリムへ取り付けようとすると物理的にはみ出してしまい、スリム用カードの幅は狭いので固定する銀色の板のサイズが合わずマイクロやミドルでは固定出来ない。
同じ規格ならば挿さらない事は無く動作はするけれど、ケースからはみ出したり、固定するプレートを外してグラグラの状態で使う事になるのでやめておきましょう。
見た目を気にしないとかグラグラ状態でも良いならばご自由に。
4.ストレージの搭載台数(スリム=<マイクロ=<ミドル)
一般的、平均すると上記の順になると思うベイ数。
スリムケースは基本的にHDDが入る3.5インチが1枠、DVDドライブ入れる5インチが1枠、カードリーダー用の2.5インチが1枠、の計3つ。
ミドルタワーは3.5インチが1つ増えて2つ、5インチも1個増えて2つ、2.5インチは1~2が一般的な気がする。
ミドルタワーの市販ケースは大が小を兼ねすぎる物があり、特に考えずに購入した私のミドルタワーケースでさえ、3.5インチx6、2.5インチx2、5インチx4、という多さは実はミドルタワーのケースにしては普通。
元がBTOパソコンのデスクトップならば内蔵の搭載ストレージは多くて2台、DVDドライブは1台だろうから気にする所では無いかも知れないけれど、新たなケースでドライブガン積みする予定があるならば気にしましょう。
逆にスリムケースにしたいなら最大搭載数を確認し、HDDの発熱を気にするなら設計も見るべきかも知れない。
ケース交換で考えるべき事は以上。ミドルからミドルとか、マイクロ同士の交換ならばドライブの搭載数だけ気にすれば良い程度。
ケース交換するなら電源とCPUクーラーも
面倒かつ大した費用対効果を期待できない割に敢えてPCケースを交換するという粋で暇な考えならば、ついでに電源ユニットとCPUクーラーの交換も考えてみましょう。
電源
高価でも安かろうと突然死するのが電源だけれども、確実に経年劣化により消耗している事を考えるならば、3年以上経過している電源は交換しても良いと思う。
目安となる容量と予算は、
- 高性能CPUやグラボ非搭載・・・400~500W(4~5千円)
- 高性能グラボ1つ搭載予定・・・500~700W(5千円~ピンキリ)
選び方は恵安(KEIAN)以外なら何でも良いという私個人の偏見は置いておき、今時変な電源はすぐに叩かれて話題になるので、ブランドにこだわるくらいならば価格コムの人柱レビューを参考に吟味するべきかと。
CPUクーラー
ケースからマザー外すならば、数年経過しているならばクーラーも変えたいところ。冷却性能アップというより、最近のクーラーは静音化が素晴らしく考慮されているのでマイクロやミドルタワーなら12cmファン搭載のデカいやつをおすすめ。
オーバークロックしたり高負荷になる事が多いなら使用年数の長いクーラー交換は必須と言えども過言無く、交換後のあまりの静音性に、「本当にファン回ってる?」と何度か確認した私が私。
クーラーの高さ(ケースの幅)制限がきついなら簡易水冷も検討を。正直、簡易水冷が出た頃は、「本当にこんなので大丈夫かよ」的な疑いがあったけれど、実物の動作を見てしまうと数千円高くなる程度の価値は大有りと思った。
ハードルは、ただ交換するだけでは無いところ。
サーマルグリス(熱伝導溶剤)を塗り直し、プッシュピンなら脚を折らないよう、バックプレートのネジ固定なら締めすぎないよう均等に固定する辺りは、一度自作PC変態に手本を見せてもらった方が良いレベルに少々コツが必要。
故障したPCで自作の練習をするという考え方も
BTOパソコンが故障し次は自作PCにしてみようと思うならば、上で書いた入る入らないなどに注意しつつケースのみ買ってしまい、そこへ故障PCの中身を移植してみる練習は大有りなのでは?と思った。
初自作で何がハードルになるかは、「難しいと思い込んでいる」だと思う。
本当に難しいのは組み立て前のパーツ選びであり、これを間違えるとメモリ挿さらないとか、CPUクーラー載らないなどが起きてしまう。
自作へ移行するならおすすめはミドルタワー(ATX)ケース。サイズ的にも量としても大が小を兼ねており、グラボや電源選びの自由度が高く、これこそがデスクトップパソコンの標準と思えるほど。
分解時はどこにネジがあるのか、どの端子がどこに接続されているか、難関は1点でスイッチやLEDのピンになると思われ、ピンを挿す場所と±を良く見ておけば新たにマザーボードを購入した際にマニュアル内の配線の意味が判りやすくなるはず。
作業を一度やるとやらないでは、技術的にも知識としても結構違うはず。新たにケースを買わなくとも、故障PCからパーツを外して再び取り付ける練習も大アリ。
そして、その際にパーツのどこが汚れているかを確認し掃除をしてみれば、次のクリーニング時の作業効率やハードルも下がる。
自作ユーザがケースを交換する時は、イコール全取り換えに近いパーツ交換時になると思われ、ケースのみ交換するという発想が無かった。
いきなり自作するより練習がてらケース交換はおすすめ。やり遂げる自信が無ければBTOパソコンへの買い替えをおすすめ。
ケース交換。技術的な面でなら「簡単」ですが、精神的な面でなら「難しい」ですね。ひどく面倒ですから。
>電源ボタンやリセットが利かない程度
主要なプラスチック部材が折れて、電源ボタンが無反応になった時は、リセットボタンとスイッチケーブルを入れ替えて解決しました。リセットボタンを押せなくなりましたが、今のところ支障はなし。
>マザーボードの形が縦長の長方形ならミドル
不器用なため作業スペースは広いほうが良く、どちらかと言うとmicroATXよりATXの方が好きですね。E-ATXくらいならもっと作業がしやすそうですけれど、用途が特殊なため不要。
IT用語辞典:Extended ATXとは|E-ATX|EATX
http://e-words.jp/w/Extended_ATX.html
DOS/V POWER REPORT:ATXとmicroATXの違いを検証する
http://www.dosv.jp/other/0711/02.htm
>ケースとマザーを繋げている細い配線
最悪、POWER SWのケーブルをPWやPWRなど、RESET SWのケーブルをRESやRESETと書かれているコネクタに取り付けるだけでも、何とかなりますね。フロントパネルがベッドに向いていて、寝ている間にPCを動かす必要がある環境なら、あえてLEDのスイッチケーブルを繋がない手もあり。
>電源ユニット
ケース内は掃除しても、電源のネジを外して中を掃除する方は稀ですから、PCケースを交換する際は電源を買い換えると長持ちしそうですね。
>高性能CPUやグラボ非搭載・・・400~500W(4~5千円)
あとは搭載するストレージの数も少し気にした方が良いです。400~450Wの電源は、SATAケーブルが3本な事も多いですから、光学ドライブに1つ、ストレージに2つで終わり。増やすなら4ピンをSATAに変えるコネクタが必要になり、余計な買い物をするはめになります。
>故障したPCで自作の練習をする
私は故障していないPCで自作をし、通電して起動を確認するまでを練習とした方が良いと思います。動かないなら完成したのか分からず、達成感もありませんから。中古で1万円くらいのPCを購入し、起動を確認した後で、単品購入したPCケースへ中身を移植してみる、という作業が良さそう。