デスクトップPCのケースファンについて。
完成品でパソコンを購入したなら気にしないだろうけれども自作ユーザならば多少なりこだわる物がケースファン。取付位置や個数、回転数などによりパーツの温度がどう変わるか検証されているので見て参りましょう。
先に普通の人用として解説を少々。
専門用語と言えるかは微妙だけれども一応。
- dB・・・騒音値(デシベル)、大きいほどうるさい
- rpm・・・回転/分(revolution per minute)、1分間の回転数
- リア・・・背面
- フロント・・・前面
- ケースファン・・・ケースの内側に取り付けられているファン
- HDD・・・ハード・ディスク・ドライブの略
パソコンの内部にはCPU上部以外にビデオカード(以下、グラボ)搭載ならグラボにもファンが付いている事も有り、多くのケースには背面に1つ、ミドルタワーなら前面にも1つファンが付いている物もございます。
何をしているかはケース内のエアフロー、空気の流れを作り内部を冷却する為で一般的なミドルタワーならばこんな感じ。
source:自作パソコンのケースファンを付け替えエアフローを変更 - BTOパソコン.jp
矢印の青は吸気、赤は排気。
ファンが前に付いている意味はHDDを直接冷やす以外にもケース内へ外気を取り入れ排気を助ける為、後ろに付いている方はCPU付近の排熱をケースの外へ排出する役割がございます。
図は電源(ATX Power~)が下に有るけれど一般的には上、CPUの丸とリア12cmの上部に搭載されており、電源ファンが自らの内部を冷やしつつそこからもケース内の排熱をするという流れ。
ケースファンによる温度と騒音の違い(by.DOS/Vパワレポ)
元ネタはこちら。
DOS/V POWER REPORT ~ケースファンの重要性を検証する
http://www.dosv.jp/other/0810/03.htm
Core 2時代の検証なので古いけれど良記事。以前、確か庶民Aさんが書かれたコメントで知った。記事内は数値のみなのでグラフ化しつつ4種類の項目を見て行きましょう。
グラフは記事内の順序とは違い、一部入れ替えております。
動作音
ここから800prmを低速ファン、1,450rpmを高速と称するとして。
静音性は当然ながらCPUファン以外のファン無しが最も低く、低速リア1>低速前後各1、高速リア1>高速前1の順で静音。
ファンやPC設置環境、CPUクーラー、人にもよるだろうけれども、私の場合はリア12cmx1ならば1,200rpmを超えた辺りから風切音がうるさいと感じるくらい。800以下ならほぼ聞こえない感じ。
CPU温度
今度は逆に冷却効果が悪い順で並べてみましょうか。ファン無し>高速前1>低速リア1>高速リア1=低速前後各1。
この設定では高速ファンならばリア1でCPU冷やすには充分、低速ファンなら前後に搭載すれば高速リア1と同じくらいまで温度低下。
静音性も考えると今のところ前後へ各1低速ファンが優秀。
マザー温度
CPUとは話がやや変わっております。
悪い順で、ファン無し>高速前1>低速リア1>低速前後各1>高速リア1、というわけでマザーを冷やす為にはフロントは大して重要では無く、リアに高速ファンを付ける方が有利。
静音重視ならば前後低速、少しうるさくても良いなら高速リア1。もっとうるさくても良いなら低速前1と高速リア1という、どこにでも有りそうな値段高めな自作PCケースと同じ構造。
HDD温度
リア関係無いのは当たり前、ファンが前に有れば冷える。
しかし、高速前1と低速前後各1の温度が同じなのは何故なのか。検証環境の室温やHDDの仕様的に32度以下にはならないのかも知れない。
ケースファンによるCPU&グラボ温度の違い(by.海外の人)
元ネタはこちらの動画。
紹介記事より。
2~3個のファンを搭載したあとは、いくら増設しても、多少の温度の改善は見られるものの、その効果はわずかだということがわかりました。
ケースファンは2~3個で良い、という検証結果その1。
数値は個数、TOPはケース天面の意味でHyper T4はこれ。
source:Cooler Master: Hyper T4
サイドフローのCPUクーラーで12cmファンを搭載。
グラフへ話を戻すと、これ1つだけでケースファン無しでは特にグラボ(赤い棒)の温度が高いもののケースファンを前後各1個付けるだけで大幅に低下。
その後、前+1、上+1、上へ更に+1するとCPUとグラボの温度は下がるものの大した効果は得られておらず、特にグラボはほぼ無関係と言えるレベル。
もう一つ、個人的にはこちらの結果の方が意外だった。
上から、前のみ、上のみ、後ろのみ、ケースファン無しの4種類。
CPUはリア>トップ>フロントの順で冷却効果がほんのり高いけれどグラボは逆でフロント>トップ>リアの順になっております。逆になっている事が驚きなのでは無く、グラボ冷やすにはフロントがここまで重要なのかと知った為。
高性能グラボをぶん回す人には常識なのかも知れないけれど、GeForce 6600を最後にゲーマー引退状態な私は知らなかった。HDD冷やさなくて良いと思っている人でもゲームPCならばフロントにファンを取付ましょう。
ケースファン位置や個数による温度の違い(まとめ)
ここまでをまとめると、
- 動作音・・・高回転1つより前後に低回転各1個の方が静音
- CPU温度・・・リア1個有れば充分な上、冷却効果は薄い
- マザー温度・・・リアの高回転が有効
- グラボ・・・フロント>トップ>リア
- HDD・・・フロントが有効
てっきり前ファンはHDDとケース内の流れ助けるだけと思っていたけれど、多くのケースでグラボは内部の下辺りに搭載されているので、グラボ冷やすには吸気が必要となりフロントが効果的なのでしょう。
という事はDOS/V~も海外の人もやっていない、側板のグラボ真横に吸気ファンを取り付けるのが最も効果的なはず。下の画像は私のPCケース側板に14cmファン吸気で取り付けたもの。左上に見えている明かりはリアの12cmファン。
source:パソコンのケースをLED付ファン交換や増設で光らせる - BTOパソコン.jp
更に簡潔にまとめると、
- グラボ有り・・・サイド>フロントの優先順でファン有効
- 無し(普通)・・・リアに1個有れば他は割とどうでも良い
- 無し(静音)・・・前後各1個低回転ファンが有れば良い
という事ですな。
ファン積むほど掃除の手間が増えファンまみれにするのは自己満足で有り、単に騒音がデカくなるだけなので無駄に載せまくるのは意味皆無。
と言いたいけれど、それはファンの回転数が高めだとか一般的な完成品PCとか特にファンにはこだわっていない自作PCの場合。
私に言わせると800rpmでさえ高回転と思っており、手元のメインPCのケースファン回転数は300~600rpmが3個。CPUクーラーがファンレスでも室温18度でCPU温度30度くらいなので問題無し。
実はケース前後上下ファンまみれにして300回転程度でゆっくりしていってねすれば静音と冷却を兼ね備えた静音冷えまくりケースになれるのかも知れないという疑問が残ってしまった。
ちなみに現在の私のメインPCのケースファンは全部吸気。電源ファンは下から後ろなので無関係。
これでもCPU50度超えないので自作PCは面白い。そうじゃないだろう感が凄いと思ったなら私もそう思う。
ケースファン。風量が大きかったり回転数が多かったり、破天荒なモデルはロマンが溢れますね。
価格.com - ENERMAX TwisterStorm UCTS12A
http://kakaku.com/item/K0000701870/
120mm、1500~3500rpm、72.46~154.53CFM、23~38dBA
価格.com - SILVERSTONE SST-FM182 [ホワイト]
http://kakaku.com/item/K0000758312/
180mm、500~1200rpm、40.38~171.1CFM、16.1~39.5dBA
価格.com - XINRUILIAN RDH1238B(38NMB)
http://kakaku.com/item/K0000006352/
120mm、3800rpm、154.03CFM、52dBA
※消費電力が大きいため、変換コネクタで電源から直接給電の必要あり。
>1,200rpmを超えた辺りから風切音がうるさいと感じるくらい
初PCがPentium4のスリムケースだったせいか、PC=やかましい、という図式が頭にインプットされたようで、大抵の環境なら静かに感じますね。職場のPCまで爆音だった事も加担しているやも。
>マザー温度
ケースの構造にも左右されるでしょうが、ファンの位置と回転数でここまで差が出たのは驚き。特に「なし」と「高速リアファン」で20度もの差。CPUファンがやけに小さいため、昨今の大型CPUクーラーならもう少し良さ気な結果が出そうではありますが。
ケースファンは800~1200rpmくらいのモデルを良く選びます。風量や静圧、ノイズレベルなどは計測条件によって大きく結果が変わりますが、回転量はどんな環境でも同じはずなため、それ以外は参考値と判断していますね。