海外サイトで興味深いページを発見。
TechRepublicで5年前に書かれた「10 ways to keep PCs cool this summer」(この夏、PCを冷やすための10の方法)と題された記事で、よく10個もひねり出したものだと感心しきり。
意訳しつつ解説や感想文など付けて参ります。
この夏PCを冷やすための10の方法(by.TechRepublic)
元ネタはこちら。
10 ways to keep PCs cool this summer - TechRepublic
http://www.techrepublic.com/blog/10-things/10-ways-to-keep-pcs-cool-this-summer/
ここから原文訳はそのまんま。
私の突っ込みはこのように左へ1文字分余白入りにて。なお、意訳であり多少意味が違う場合もあると思われ、読みやすくなるよう意図して変更している箇所がございます。
多くの組織ではデータセンターの冷却には重点を置いているが、デスクトップPCの冷却の必要性を忘れてしまうことがあります。過度の熱はハードウェアの故障に繋がるので、デスクトップPCを夏の間も涼しく保つ10のヒントを以下に示します。
1.ファン抜き取り検査の習慣を作る
ヘルプデスクのスタッフならユーザのデスクを移動しハードウェアの問題を診断し修復をする事があります。その時にPC内のファンが正常動作しているか確認すると良いです。電源やケースファンの焼け焦げが起こる前に、兆候が出始める前に修正できるなら、ヘルプデスクの呼び出しを省く事ができるかも知れません。
海外の比較的デカい会社の話でしょうな。私が居るような中小はPC不調時はほぼ総務、または各部署で時々いるPC詳しい人が担当、居ないなら事務機屋などの代理店への連絡。
抜き取り検査とは、例として100個缶詰を作ったなら内3つくらいの完成品を空けて正常に詰まっているかなどを確認する方法。PCでは生産時以外に抜き取り検査するという発想が無かった。1台おかしいなら他のPCも不具合が発生する可能性。
2.ホコリの状況を把握する
私はITの分野で他の何よりもホコリに起因する熱関連の問題を見て来ました。ケースのホコリが吸気口を詰まらせるとケース内の空気の流れが無くなりPCが過熱する可能性があります。清掃スタッフが定期的にユーザのPCを掃除するようにして下さい。
基本ですな。私も修理工場で何度も、最もと言えるかは不明ながらホコリが詰まり修理依頼されて来たPCを見ております。これ、正確に言えば故障では無くユーザ過失なのだけれども、誰もが簡単に掃除出来る物でも無い辺りが困った機械。
デスクトップPCケースならまだ良いけれど、ノートの場合は分解して掃除までは難しいので、PC動作中に空気を吸っている穴を確認して電源を落とし、掃除機を弱めにして吸ってみましょう。強くやるとファンが壊れる可能性がございます。
3.可能な限り最短のケーブルを使用
PC修理時に長過ぎるケーブルを使用しないで下さい。長いケーブルはケース内の空間を奪い空気の流れを遮断します。私は最近、フルタワー用に設計された電源ユニットを使用しているPCを見ました。この電源は通常のケース内ほとんど全て占有する余分な長さのケーブルでした。
言われてみれば納得。確かに、ケース内のケーブルが長いほどエアフロー(空気の流れ)に影響するだろうし、バラけているならホコリも付着しやすくなってしまう。
それを考えるとコルセアのようなモジュラー式電源ユニットは配線の見た目以外の点でも優秀と言えるでしょう。
source:CX650M l 株式会社リンクスインターナショナル
4.ファンを追加
高性能PCを必要とするユーザは平均的なデスクトップより熱が多く発生します。たとえば複数のHDDを搭載したPCが熱くなる可能性があります。オフィスにこのようなPCがある場合、そのケースがファンを追加できるか確認してください。多くの場合は追加ファンを設置する余地があります。
ファンは驚くほど安く、昨年私は数ダースのケースファンを50ドルで購入することができました。
数ダースが1や2では無いとするなら最低でも36個、ならば単価200円切ってしまうのでさすがにおおげさでは無かろうか。または海外ではそこまで安いのか。
これは良し悪しと思っており、ケースの側板や前面パネルを外して掃除できるならファン追加はアリだと思うものの、フロントパネル外せないならクリーニングできないホコリが詰まる場所が増える事になるのでおすすめできない。
5.PCを囲むような収納は避ける
多くのデスクは機能より見た目で設計されています。中にはPCを見えないよう収納するキャビネットもあります。このようなキャビネットは空気が循環しないので、PCは同じ空気をリサイクルし続け温度が上がり過熱します。最終的に部品が故障し始めるまで温度が上昇することもあります。
これが近いだろうか。
source:OAワゴン パソコンスタンド キャスター付き | オフィスコム
前と後ろが空いているのでややセーフか。筆者殿がいうキャビネットとは、引き出しの中に収納するような完全に近い密閉型の事だと思う。
しかし上の画像の状態でも向かって左の側板からの吸気をやや遮っており、Quadro搭載しているデザイナ用PCとかならばやめた方が良いでしょうな。
また、掃除しづらくなる上、この状態ではほぼ前面からの吸気になってしまうのでフロントパネルの裏側がえらい事になりそう。キャスターがある分まだマシなものの、土足の事務所なら砂埃も吸ってしまえて困る。
6.ケーブルガードの利用
一部のPCケースには配線のための特別な仕様を持つものがあります。これらを利用するか、または他のケーブルガードを使用するとケーブルを側面から離しておく事ができます。
これだけは何の事か解らない。「PC cable guard」で検索するも出て来る物は壁や床用の配線カバーか、配線をまとめる螺旋状のプラスチック。
「PC chassis cable guard」で画像検索すると裏配線しているケースがいくつか出て来たので裏配線の事だろうか。ならば納得。しかし、「他のケーブルガード(other cable guards)」の意味が解らなくなってしまう。
7.BIOS設定画面から温度を確認
BIOS設定の温度関連の項目を見てください。ほとんどの新しいPCは特定の温度に達するとPCをシャットダウンするよう設定できるものです。一部のPCはCPUファンまたはケースファンに障害が発生した際に警告を出すものもあります。
他人のPC見る時の基本。修理工場でも、「電源が勝手に落ちる」「突然シャットダウンする」という申告があるなら、電源入れた直後にBIOSへ行き温度を確認。
このようなアイドル状態でもCPUの温度が急激に上がって行くようなら、OSを起動するまでも無くケースを開けCPUクーラーの確認。
5年前の記事なので当時はまだサーマルスロットリング(CPUやビデオカードが高熱になると性能落とす)が無かったのでしょう。電源落ちる前に性能落とす物もあるので別の意味でご注意あれ。
8.PC使用していないなら休止状態へ
熱を制御するために本当に簡単な方法です。使わない時はPCが休止状態になるよう設定してください。節電に役立つだけではなく、PCに冷却する機会も与えます。
その発想は無かった。休止状態は、「割とどうでも良い節電」くらいにしか考えていなかったので、一時的に擬似シャットダウンは冷却重視ならばアリだと思う。
9.SSDの使用
熱を制御するためにもう一つの素晴らしいオプションはHDDをSSDへ交換して行くことです。SSDは可動部分を含まないので通常のHDDより低温で動作します。
やはりこれも5年前なのでM.2スロットとかNVMeの高温になるSSDは無かったのだと思う。2.5インチのSSDを指しているなら納得。
HDDも最近はなぜか低温化が進んでいるようなので、あまりにも古いHDDを使用しており温度が気になるなら故障する前に買い替えてしまう手もアリかと。
ちなみに現在の私の環境は室温18℃、CPU35℃、SSD31℃、HDD1:41℃、HDD2:47℃、HDD3:43℃。HDD2がやや高めなのは上下にもHDDがあるからだと思う。SSDが高めなのはHDD1の上にネジ止めせず置いている為かと。
10.代替えの冷却パーツを検討
時々、どのように高性能PCを冷やすべきか考えると少し創造的でなければならない事があります。ケースファンの追加で不十分な場合は、他の冷却製品を使用する事もできます。たとえばメモリ用ヒートシンクとHDDクーラーは個々の温度を下げるのに役立ちます。充分な空気がケース内を循環していない事が判った場合は、冷却ユニットを空いているドライブベイに取り付ける事もできます。全部行くなら水冷化する事もできます。
少々強引な気がする。メモリにヒートシンクとか、HDD用クーラーはファンコントローラー並の自己満足と思っており、そこまでケース内の温度や他のパーツに影響するだろうか。
ドライブベイのファンとはこういうやつ。
source:パソコンのケースをLED付ファン交換や増設で光らせる - BTOパソコン.jp
私はなぜか逆に挿れており、本来はケース正面へ12cmファンが来て中に3.5インチHDDを搭載可能。HDD挿れなければ単なるケースファンの増設として。
水冷化は良し悪しで、クーラント(冷却)液が揮発したり劣化する上、全体的に扱いが難しい。しかもケース内のエアフローに関わらない設計もあるので一概に水冷が良いとも思えない。
以上。全体的に割と雑ですな。
11.職場ならエアコンの温度設定を下げる
エアコンが出なかったので勝手に追加。
自宅でブログを書いたりゲームをしたりなど、くだらない事をしているなら快適を目指すより不快では無いギリギリの室温でも良いと思うけれど、会社の事務所とかならば少しでも快適に仕事出来るよう、夏場は室温と湿度を下げるため早めの冷房をおすすめ。
除湿機や扇風機でごまかしたり、「クーラーの設定温度は28度」とか言っている場合では無いと思う。併用ならアリ。
自宅と事務所では環境が違い、天井が高く広め、人が出入りするので夏の室温は上がりがち。天井埋め込みの集中管理なら、フィルタの掃除が少々手間なので冷却効果が落ちがち。
なぜ夏にPC熱くなるかは気温が上がり室温も上がりPCケース内の温度も上がるから、なので単純に室温を下げてしまえばよろしい。
おそらく今回の記事を書いたPosey氏に言わせると、そんな基本的な事は一々書かないのだと思われ、日本の節電やモッタイナイ精神は最近少々やり過ぎと感じております。
室温を下げたなら空冷も水冷どちらも冷える、ノートもデスクトップも冷えるしサーバーも冷える。
但し、PC内のエアフローが確保されているならが前提なので、ケーブルやファンの確認、定期的な掃除を心がけましょうという話だと思う。
>10 ways to keep PCs cool this summer
ways to keep ですから、ニュアンスとしては「夏でもPCが熱くならない」に近いですかね。私ならまず「暑いと思ったらエアコンをつける。PCにはクールビズなんぞ要らない」が筆頭。
>ホコリの状況を把握する
半年くらいでホコリが大量に溜まるなら、PCを使っている環境に問題があるはず。まめに掃除をする前に、どうしてホコリが溜まりやすいのかを考えて、設置環境の改善に努めた方が良いですね。
使ったことが無いから分からないのですけれど、空気清浄機はPCのホコリ対策として有効なのでしょうか。
>ケース内のケーブルが長いほどエアフロー(空気の流れ)に影響するだろうし
mini-ITX用の小型ケースでATX電源を使用するような極端な場合を除き、ケーブルの乱雑さがエアフローに与える影響は極わずからしいですがね。ちなみに短いケーブルを使用する場合、物理的にケーブルの長さが不足するため、裏配線は不可能になります。
AKIBA PC Hotline! - “冷却の常識”を徹底検証
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/dosv/662237.html
ジサクテック - 裏配線しとけよエアフロー良くなるぞ え、あんま関係ない?
http://jisakutech.com/archives/2015/11/8559
山洋電気株式会社 - エアフローテスター San Ace
https://products.sanyodenki.com/contents/hp0279/list.php?CNo=279&ProCon=1788
Interop Tokyo 2014 - ネットワークのゲンバ 今年の注力4テーマ特集 vol.1: ファシリティ編
http://www.f2ff.jp/interop/2014/noc/post.php
LANケーブル配線.com - 大型スイッチの熱対策
http://www.lan-cabling.com/point5/6.html
>ファンを追加
追加も良いですが、低風量のファンを高風量のファンに付け替えるのもお勧め。性能の良いファンに交換すれば、風量は上がって騒音値は下がる、という嬉しい結果になることも。
>ケーブルガードの利用
「 do not block airflow」とありますから、エアフローに悪影響を与えないよう、ケーブルを束ねたり固定したりする、という意味ではないでしょうか。「cable guard」ではなく「guards」と複数形ですから、何か1つの製品を指して「ケーブルガード」と呼称している訳では無いでしょうし。
>代替えの冷却パーツ
グラボのスロットに差し込むファンとか、フレキシブルアームで自由な位置に設置できるファンとか、3年くらい前には妙な冷却グッズがそれなりにあった気もします。最近はCPUもグラボも熱くならないモデルが多く、存在意義がかなり薄れていますが。
>cable guards
電線保護アクセサリ |ヘラマンタイトン株式会社
http://www.hellermanntyton.co.jp/product/protection.html
「電線保護アクセサリ・配線保護具」こんな感じの訳になるようですね。
>ケーブルを側面から離しておく
off the sideの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
https://eow.alc.co.jp/search?q=off+the+side
「keep the cables off to the side」なので「脇に寄せて固定する」あたりでしょうか。
「so that they do not block airflow through the case.」
「6: Make use of cable guards」の最後の方に有るこの一文が抜けてしまったせいで、意味が解らなくなったみたいですね。
適当に訳してみると、
「それらは、ケース内のエアフローの通りを邪魔しないように出来ます。」
こんな感じでしょうか。