連載ラストはノートPC、Spectreシリーズ。
このシリーズのノートは以前もネタにした事があり、「さすがHP10万円を超えるノートは作りが違う」のような締めくくりをしたと記憶。今回のSpectreは新モデルなので似ているけれど少し変わった。
スライド少なめ、現物の画像多めで参ります。
10万円超えノートSpectreシリーズの特徴と実機
普通のノートは2種類。Spectreの読みはスペクトル。
今、普通と書いたけれど2つあるプレミアムシリーズでも最上位の方で、その目印としてHPのロゴが直線4本だけの方になっております。
上の画像の左、Spectre 13はクラムシェル型のみでタブレットにはならない従来の形、の割にタッチスクリーンは搭載。右のx360は360度画面が後方へ回転しタブレットになるタイプで、いずれも13.3インチ。
両機種、全モデル共通でSSDはこれまたNVMe仕様となっており、メモリは最低でも8GB、CPUはCore i5以上であり、価格はクラムシェルの方が約15万円より、x360は14万円からとなっております。
なぜ高価なのかは性能が高めな上にデザインや加工へのこだわり。
塗装するだけで8工程とか意味が解らない。もはやパソコンというよりPC型の別の何かを作っているのかと思えるほどの工数。
x360の方で「おっ」と思った特徴がこれ。
オプションでプライバシーモードという機能が+1万円で選べるらしく、日本HPの解説によると液晶パネルそのものが通常のパネルとは別モノとのこと。
ファンクションのF2キーでプライバシーモードと通常の切り替えができるので、電車などでの移動中に覗き見防止が可能。液晶の分子構造を変化させてスクリーンが白濁し斜めや横からは見えづらくなる。
x360の方は日本分は限定1,000台でローズゴールドも販売中。
価格は他の色と同じ。但し、キーボードが英語版になるのでカナ印字が無く、Enterキーも横長仕様なので慣れる必要がございます。
というわけでここからは現物。まずはSpectre 13で色は白のみ。
10年前の人にこれ見せたらノートPCとは思わないでしょうな。
こちらが上で出た8工程の塗装やアルミ削ったりのやつで、質感はつや消しホワイトとでも言いましょうか。
重量1.11kg、薄さ10.4mmは中々優秀。バッテリ11時間もつらしく、確かHPはベンチマークで実測しているので実使用とだいたい合うはず。
薄い。
クラムシェルなので背面を気にする必要が無く、端子類を全部後方へ持って来た設計が薄々にできたポイントと予想。一見すると金色の部分はデザインなのかと思ったけれど、これで厚みを稼いで端子を配置できているのか。
正面から。
良く見れば判る箇所として、ヒンジが丸まっている方がクラムシェルのSpectre 13。後で出るx360は回転するのでもっとデカいヒンジになっている。
2016年モデルとの差は、タッチスクリーン搭載以外に細かいところながら0.1mm薄くなった、ベゼル(モニタのふち)の上部が16.04mmから9.7mmへ、左右はいずれも15.03mmから5.3mmへと狭くなったので若干小さく見える。
その変更でキーピッチ(キーボードのキー間の横の距離)を維持するためにスピーカーを左右から奥へと移動。ちなみにこの4連載に出てきたスピーカー付PCのスピーカーは全部Bang & Olufsenなので小さくても音質良い方なはず。言い換えるとデスクトップ版OMEN以外。
背面斜め上空から。ぼけており失礼。
キーボードのバックライトを撮りたかったらしいけれど点灯していないと思う。もう少し暗くなければ点かないのだろうか。
特徴はSSDがNVMeなのでWindowsが10秒くらいで起動。USBは3.1のType-C端子が3つ、Windows PCには珍しくその内2つがThunderbolt 3に対応。USBにタイプAを使いたいなら変換が必要。
ウェブカメラのみでは無くPavilion 24のようにIRカメラも搭載しているので、顔認証システムなWindows Helloも使える。
参考用なのか2016年モデルもあったので1枚掲載。
これでも充分薄いしベゼルも特に違和感無かったけれど、2017年モデルの方を見た後ではベゼルでかく見えますな。タッチパッドも新モデルの方が少し大きくなったので他のパーツが小さく見えた。
ここからx360。
キーボードのバックライト点灯中。
こちらも変形型2in1にしては薄い13.6mm、重量も1.29kgはタブレットになるノートにしては頑張っている方でしょう。
バッテリ駆動時間は16~17時間くらいなので寝ている間に充電しておけば寝るまで使えるくらい。また、30分で50%充電可能なファストチャージなる仕様なので、急ぎで充電しても8時間くらいはもちそう。
正面から。
このサンプルはフルHDだけれども、最上位は4K解像度も。
右から、x360、そのローズゴールド、シルバー、そしてSpectre 13。
こちらはクラムシェルとは違い画面が後方へ倒れて鯖折りする2in1なので端子類は全て側面、後ろにあると配線やコネクタがやばいので当然。
Spectre 13と同様にIRカメラで顔認証、の他にも向かって右側面には指紋認証まで付いており、USB 3.1 Type-Cが3つの内2つはThunderbolt 3にも対応。
後ろで立てられているのは限定カラーのローズゴールド。
斜め前から。
ここまでの画像は全てキーボードが英語だけれども、サンプルであり実際に販売される製品は日本語のデカいEnterキーになるとの事。
但しこのローズゴールドだけは日本語キーボードは無し。数少ないのに日本用に1千枚だけ作るとか無理があるのだと思う。
テントモード。
思い切り英語ですな。日時は合っておりません。
バックライト点灯。
忘れるところだった、シルバーは限定では無く普通にある。
外資系のBTOパソコンといえば黒か銀が多い。
汚れが目立たないなどの理由で無難なのかも知れないものの、シルバーはおっさん臭い、安っぽい気がする。Spectre 13 x360の方ならここはぜひアッシュブラックの方でしょう。または女性ならせっかくなのでローズゴールド。
HP製品から見えるパソコン製造販売の種類の違い
HP製品がOMEN XやSpectreのような高級路線だけかと言えばそうでも無く、価格コムではDELLなどに混ざり低価格合戦していたり、10万円は切れるけれど安物とは言えない機種も存在。
国内BTOメーカーならばマウスが最もノートに力を入れていると感じており、価格帯で分けると以下のような印象。
- 5万円くらい・・・サブPCやライトユーザ用として
- 10万切れる・・・メインPCとしてノート使う人用
- 15万超える・・・ゲーミングノートばかりになる
1と2は日本HPも同じで、大きな違いは3番。
国内BTOで15万円クラス以上になると性能を盛りまくる状態になるので自然とビデオカード搭載、Core i7上等、SSDもちろん挿さっている、メモリ容量2桁GB、のように中身で勝負。
対して日本HPはこの価格帯でもまだ普通用の高性能ノートを出して来ており、なぜマウスやパソコン工房はそうしないかは見た目で勝負出来ないので中身でしかどうにもならない。
何が違うかはOEMとODMというやつで、マウスなど国内BTOが台湾のベアボーン(ノート本体部分)へ自社ブランドのロゴを貼ってもらい購入してメモリやCPUを突っ込んで売るに対し、HPやDELLは自力で設計からしているはず。Appleもそう。
外資系は規模がデカい。なぜデカいかは日本で売るパソコンは世界で売る一部であり、桁違いな台数を生産するので製造も細かく出来る感じかと。
国内大手で普通のパソコンを自社で何とかしているのはパナソニック、VAIO、東芝くらいになってしまった今から、NECや富士通のターゲットを取りに行けるのは日本HPくらいしか無いと思えば15万円前後しようと今後はアリになるのでは無かろうかと思っております。
問題は店頭販売と、日本国内の個人向けという、市場としてあまりにも小さいので本気でやる気が出るかどうか。モノは米HPから来るのだろうから弾はあるが、銃身どうするか?な感じ。
国内大手を日本HPが置き換えるとしたなら富士通が近い。私が所有している富士通からもらったFMVがHP製品のような角ばった固いイメージ。
国内メーカーだから富士通、で購入している人はダメだろうけれども、富士通製品の見た目が好きな人をタゲると上手い事すくい取れるやも知れず。
DELLはどうかと言えば、アルミ削り出しノート「adamo」で失敗してから高級感あるノートはあれから出ていないと思う。2009年なので8年も前の話。HPと競合する気があるなら今後やるかも知れないけれど。
私はパソコンに10万円以上とか冗談でも出せないので選択肢には絶対に入らないけれど、見た目も重視する、高機能は実用的なものを、最初から適正な価格で出して欲しいならばHP製品、Spectre 13、x360もアリでしょう。
以上、お約束的&ネタ提供の御礼がてらリンク。
Spectreシリーズ - ノートブック(個人) | 日本HP
http://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/spectre/
日本HPの中の人が見ていると思うのでアレ貼っておきましょうか。
source:全世界のパソコン出荷量は9.6%もの低下をマークなど - BTOパソコン.jp
新ロゴ、日本人にもウケは良いご様子。ご招待有難うございました。
>塗装するだけで8工程
サンドブラストってサビ落としで使うイメージでしたが、塗装の前工程に行うこともあるのですね。一般的にいうケレンに当たる作業でしょうか。
アニオン電着そのものは特殊な塗装方法ではありませんから、PC業界で採用するのは珍しい、ということでしょうか。一般的なPCは吹付とかドブ漬けとかなのですかね。
アニオン電着塗装とカチオン電着塗装はどちらが強いか?
http://www.wakayamapp.jp/faq_detail.php?faq_axid=229
>端子類を全部後方へ持って来た設計
個人的には側面端子の方が抜き差しが容易で使いやすく好みですが、左右の側面に別れるくらいなら、いっそ全て背面にまとめた方がデザイン的にはスッキリするかもしれません。
せっかくですからミニアンケートで「ノートPCのUSBやLAN端子などは、側面と背面のどちらが好み?」と聞いてみるのも面白いやも。
>ローズゴールド
個人的にはけっこう好きな色。ただしiPhone6sのローズゴールドはかなりピンクっぽいため好みでは無し。メーカが自称する色はあまり参考にせず、実物を目で確認した方が良さ気。
iPhone7でローズゴールドの人気がイマイチになった理由とブラックが人気なワケ | DigitalNews365 - でじにゅー
https://digitalnews365.com/iphone7-black-popular
>ロゴ、日本人にもウケは良いご様子
見た目は小奇麗で良いと思うのですが、いかんせん「HP」と読み取るのは難しい点が、個人的に大きなマイナス。金持ちの大人しか相手にしないなら良いですが、子供でも読み取れて大人にも訴求力のあるデザインが私は好み。