レノボのIdeaPad Yoga 13、実機レビューその3。
ノートとタブレットPCに変形する IdeaPad Yoga 13(以下、Yoga13)総評。今回はWindows 8やパソコンとしての性能では無く、Yoga13のハードウェアとしての利点と難点を計10個くらい書き出してまとめ。
タブレットノート実機レビュー最終回。
通常は利点と難点の数を合わせバランスを取るものの、今回はやはりWindows 8が足かせとなっており、難点が目立つため数合わせは無理。
利点3、難点7。私の主観、消費者視点で正直に参ります。
「IdeaPad Yoga 13」が他のPCより優れている点3つ
Yoga13だからこそ出来ると思う利点を3つ。
バンドル OneKey Recovery が便利で速い
レノボ製品にはワンキーリカバリーというソフトウェアが最初からPCへインストールされており、以前借りたデスクトップのゲームPCにも入っておりました。
操作が簡単で、Windows上から起動し説明の通りクリックやタップして行くと、バックアップやリカバリ、初期化まで誰でもできそうなほど。
以前借りたデスクトップはHDDでリカバリ(初期化の方)完了まで7分くらい。Yoga13はSSDを搭載しており4分でリカバリが完了し驚いた。
容量は約6.61GBとなっており、ユーザ・データが増えると時間も長くなると思われ、それを考えるとHDDとSSDではたかが数分の違いとは言えない。単純にHDDで70分なら40分、7時間なら4時間に短縮されるという事。
頻繁にリカバリする人は少ないと思うけれど、例としてネカフェのように毎回初期化した方が良い環境なら最適。
最近、IT系の事務所では待合室に客の暇つぶし用PCが置かれている事も有り、そういう場所ではこのリカバリの早さは利点。
タッチ操作の感触はタブレット並に良い
タブレット並の「タブレット」とは、ここではiPadやAndroidタブレットの事を指しており、私が所有しているGALAXY TabやiPod touchと変わらないほどの操作感。
ガラスが薄めなのか、富士通の一部製品のように見る角度により微妙にタッチと反応箇所がずれるなども無し。
普通のタブレットPCの中でWindows 8が映り動かせるという、当然かも知れないけれど何の不満もございません。
タブレット変形はノート固定よりは良い
後で難点でも書くけれど、ノートは画面が斜めなので本気でタッチ操作ばかりしまくるならタブレット型への変形は有利。
しかもYoga13は加速度センサーが内蔵されている(と思われる)為、縦画面にもなり今後のWindows 8でのタッチ操作の可能性を広めておりましょう。
変形しないノートPCならキーボード部分が邪魔になる為、加速度センサーを入れる意味が無く、タブレットになるからこそ出来る縦画面。
また、レビューその2で縦にするとソフトウェアキーボードが小さいと書いたけれど、Androidなどと同じくらい画面表示範囲を確保出来ると考えるなら、横長だけのノートよりYoga13の方がWindows 8仕様PCとしては便利でしょう。
以上、利点はこのくらいしか思い付かなかったので次から難点7つ。
「IdeaPad Yoga 13」に限らず8タッチ対応の難点3つ
Windows 8入りタッチ対応PC全てに言えそうな難点3つ。Yoga13も該当している為、無関係ではございません。
ノートPCの角度では爪が当たる
予想通り、ノート画面の角度ではタッチ操作時に爪がカチカチ当たり不快。
上の指は深爪していない普通の長さと思うけれど、画面を少し倒した程度ではやはり爪がガラスに当たりカチカチ音が出てしまう。具体的には45度以上倒すと爪が当たらず。
スマホやタブレットPCが、ネイルをカスタマイズしている女性でも普通に扱える理由はこの角度の問題。
- 立ってスマホなどを使う場合・・スマホは水平、指も水平
- 座って(同上)・・正面で垂直に近付くけれど、指は下から画面に水平
Yogaは幸いタブレットに変形する為、テーブルなどへ置いて使うなら爪問題は無いけれど、ノートPC状態なら画面を倒し過ぎると見辛くなり、起こすと爪が当たるという。
ノートPCは下にキーボードやデスクが有る為、元からタッチ操作には向いていないわけですな。
薄型なので余計に重さを感じる
インテルがウルトラブックを提唱し、最近のノートPCは何かと薄型志向。
薄くなると手に持った際の重量感が増し、多くのノートPCは1kg以上ある為、長時間どころか数分でも片手持ちでの操作は困難。
操作では無くとも単に移動するのみでも、ずっしりしており、私が所有する厚めな15.6型ノートより体感では重く感じたほど。
某大手メディアの提灯記事では「1.5kgという重さはぎりぎりモバイルに適している」とかわけの分からない事を書いていたけれど、1.5リットルのペットボトルを水平に持ち重くないわけが無かろうと。
分解できず換装困難、修理代が心配
SSDとメモリくらい交換させて欲しかった。
個人で購入し分解していた人が居たけれど、底面のネジを外した後は、キーボードの両面テープを剥がし内部をバラして行くという手順。
気軽に出来る作業では無く、保証期間内にやってしまうと故障時の修理依頼でバレた際、有料修理になる可能性も有り、修理を断られてもおかしくは無し。
保証期間を過ぎた後、メーカー修理をしない前提での自己修復やパーツ換装は良いかも知れないけれど、発売半年が経過しても10万円もするPCの分解は怖い
また、この手の分解しづらいノートは保証期間終了後の有料修理が高額になる事が多く、マザーボードや液晶パネルが故障したなら下手すると買った価格より高くなるやも知れず。
薄いノート全般はこのような難点を覚悟しておきましょう。
「IdeaPad Yoga 13」で個人的に駄目と感じた難点4つ
Yoga13オリジナルの難点として更に4つ。
Enterキーが小さく周囲も邪魔
ノートPCとしての使い勝手を知る為、Yoga13でブログを書こうとした際に何度かミスった原因はEnterキーの小ささ。
海外仕様のようなShiftキーの如く小さいわけでは無いけれど、NEC仕様に慣れた日本人の私にこのリターンキーは小さすぎる。しかも頻繁に「End」や「PgUp」キーに触れてしまい、画面が吹き飛びまくる始末。
キーボードはパッと見では日本向けと言えるけれど、この幅の狭い「Enter」は結構な慣れが必要なはず。
ファンクションキーが +「Fn」
もう一つ日本向けでは無いと思った、個人的には最大の難点と感じた設計がファンクションキー。画像は加工して「Fn」とファンクションキーを明るくしております。
まず、ファンクションキーの文字が小さく、F何か分かり難い。デスクトップ用キーボードのように4つ毎にキーが区切られてもおらず、日本語(全角カタカナ)変換する際に「F7」キーを毎回見て探すはめに。
まずい点はそれだけでは無く、何とファンクションキーは「Fn」を押しながらという凄まじい意味の分からなさ。
当初それに気付かず、英語を全角日本語入力し、半角英語にする為「F9」->「F8」と押すと画面が真っ暗に。壊れたかと思った。
まさかと思うまでも無く、「Fn」+「F9」、「Fn」押したまんま「F8」で無事に半角英語へ。具体的には、
- 「ばltはさr」
- ->(F9)「balthasar」
- ->(F9)「BALTHASAR」
- ->(F8)「BALTHASAR」
2から全部「Fn」キーを押しながら。タッチタイピング出来なくなるレベル。
私はノートのキーボードを滅多に使わない為、常時「Fn」キーがロックされる操作が有るのかも知れないけれど、印字の小ささはどうにもならない。
タッチパッドの感度がやや悪い
手触りが良く、ざらざらでもつるつるでも無いタッチパッド。個人的には場所や大きさも良いと感じており、タイピング中邪魔になる事も無し。
しかし最初は気のせいかと思っていたけれど、微妙に感度が悪いようで、時々タップ(クリック)が反応しない事が有り、何度か叩いておりました。
私は左クリックボタンは使わず、移動操作する面をタップしてクリックやダブルクリックする癖が有り、その時の反応の事。
私は過去ノートを何種類も触っているけれど、その中で最も反応が悪いと感じており、静電気や汚れなどが原因ではございません。タップする場所以外に手や指が触れていたという初心者のような事も無し。
マウスを外付するなら良いけれど、このノートはタブレットへの変形が特長。外付け機器は可能な限り付けないとするなら、このパッドの反応の悪さは気になるところ。
有線LAN無し、USB端子も少ない
モバイルとは言えない1.5kgという重量。しかし半固定設置なら物足りない端子類の少なさも気になった。
USBは2.0と3.0が各1つのみ。薄型設計の為かLANは内臓の無線のみ。
Yoga13の役割は半分がタブレットPCとするなら納得なものの、ノートPCとして使う場合はデータ転送の遅さが気になるかも知れない。私が有線派なので普通の人は気にしないかも知れないけれど。
バッテリ駆動は5時間行かない
バッテリ駆動時間はレノボ公称で最大約7.4時間。しかし海外メーカーにも関わらずJEITA測定法で表記しており、画面暗くしたりHDD止めてもOKなインチキ可能仕様なのであてにならない数値。
下の画像は私が実測途中の1枚。
手元の時計で14:00ジャストに外部電源を切断、内部電源(バッテリ)に切り替え、活動限界は7時間24分のはずが5時間行かず、19:00には切れておりました。18:40頃に「バッテリ残量10分」と表示されていた為、おそらく4時間50分くらい。
Yoga13はタッチスクリーン用のガラスが有る為か標準の輝度ではやや暗く、明るさは最大にしておりますが、実は何も動かさずに放置。
本当はYouTubeの動画を適当にメドレー&リピートし、実用に近付けた環境として、動画再生+WiFi通信でバッテリを消耗させようと思ったけれど放置していただけ。要するに輝度最大のアイドル状態で5時間未満。
やはり大手メディアの提灯記事では「実測で7.3時間ももつ」とか書いていたけれど、お前それ本当に実測したのかと問い詰めたくなる短さ。
半年前発売の実機なので、他サイトへのレビュー用貸出でバッテリが消耗したと仮定しても、半年で7時間が5時間になられても困る。
いくら省電力CPUでもCore i7はきついという事か。高負荷な作業をすると4時間もたないと思う。
1.5kgのノートPCとしてなら有りかも知れないけれど、バッテリが5時間もたないタブレットPCは何か違うと思う。
Lenovo変形PC「IdeaPad Yoga 13」レビュー(まとめ)
利点はYoga13の特長なので良いとして、難点のYoga13特有の部分が気になるところ。こういう人には難点にはならないかもと強引に手のひらを返すと。
- 常に深爪している(またはノート型でタッチ操作しない)
- 片手で持たない(または握力や腕力に自信が有る)
- 分解や修理の事は考えない
- 小さい「Enter」キーは慣れ
- 「Fn」を押しながらファンクションキーも問題と思わない
- タッチパッドのタップでクリック操作はしない
- 無線LANで結構、USBも2本でOK
- バッテリ駆動5時間未満上等(または常に外部電源で使う)
ここまで来ると選ばれし者という印象。
Yoga13特有の難点とした部分はLenovoの設計によるものが多いけれど、結局はWindows 8のタッチ操作へ強引に合わせてパソコンを作っている時点でLenovoも被害者と感じております。
レノボの肩を持つわけでは無いけれど、タッチ操作が出来てもスタート画面側の用途がいまだ良く分からず、デスクトップ画面側では少なくとも日常的な操作にはタッチ不要。
現在はYogaの11インチ版(IdeaPad Yoga 11)も発売予定。13インチを使ってみた個人的な印象としては11型の方が良いと思う。
タブレットで13.3型は大き過ぎ、但しノートとしては小さい。それならいっその事、タブレット版Windows 8として使った方が良いと思うけれど、現状のWindows 8、アプリの少なさでは何に使うのか良く分からない。
約束なのでリンク。Yoga13では無くYogaシリーズのページ。
IdeaPad Yoga シリーズ - ディスプレイが360度回転するノート | Lenovo
http://shopap.lenovo.com/jp/notebooks/ideapad/yoga/
以上。私のような個人を信用し10万以上もするPCを貸してくれたレノボには感謝しておりますが、それとこれ(評価)は別の話。
ここまで叩くとさすがに二度と実機とか貸してくれないと思うけれど、機会が有ればレノボに限らずレビューするので、PCメーカーの中の人は見ているなら企業の公式サイトドメインのメールアドレスからご連絡有れ> info@bto-pc.jp
当日追記(修正):URLの記述ミスで昨日のレビュー「その2」が午前8時より15時頃まで消えておりました。15時復旧にて、失礼。御指摘有難う御座います。
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