スティックPC、m-StickとPicorettaのベンチマークと比較

2015年4月 8日

マウスとパソコン工房の棒PC詳細と比較。

マウスのm-Stickはコメンターの庶民Aさんからのデータ提供が有り、ピコレッタの方が私が購入し前回使用感を簡易レビュー。今回は、それぞれの比較と性能の測定なのでややマニア向け。

棒PCの購入を検討しているなら、是非最後までどうぞ。

パソコン工房「Picoretta」の中身と仕様詳細

ピコレッタは左、右がm-Stick。

ピコレッタとMスティックの手のひら載せ

マウスコンピューターもパソコン工房と同じMCJグループ。

先日見たマイナビの記事では、Picorettaがm-Stickの後継として出る予定だったらしいところ、パソコン工房へ切り替わりiiyama PCとして販売した御様子。

いずれも19,800円で税込の送料込。USBで電源を取り、HDMI接続して電源オンするとテレビやPCモニタが擬似一体型パソコンになってしまうという物。キーボードやマウスは別売り。

ピコレッタの主な仕様を一覧。

  • OS:Windows 8.1 with Bing 32bit
  • CPU:Intel Atom Z3735F(1.33-1.83GHz、4コア、2MB、SDP2.2W
  • クーラー:ヒートシンク
  • グラフィック:Intel HD Graphics ※CPUに内蔵
  • メモリ:2GB(DDR3L、1333MHz)
  • SSD:eMMC 32GB ※Samsung MBG4GC
  • 有線:USB2.0(?)x1microSDx1※SDXC対応
  • 無線:IEEE802.11b/g/n ※Realtek RTL8723BS、Bluetooth 4.0 + LE
  • 電源:10W ※専用Micro USB端子よりAC100V給電
  • サイズ:119x38x14mm
  • 重量:約70g

HDMI端子の保護キャップを外すと全長約12cmの超小型PC。70gは軽めなマウスくらいで、スマホやiPod Touchより軽い。

OSはストレージ容量やメモリが少ない為か32bitとなっており、withっているのでライセンス料はタダと予想。ピコレッタの方にはヒートシンクが付いており、m-StickよりCPU温度は抑えられております。この件はまた後で。

USB2.0に「?」を付けた理由は、パソコン工房の仕様によるとUSB2.0だけれども、実機のデバイスマネージャを開くと3.0のコントローラになっている為。

ピコレッタはUSB3.0?

本当は3.0なのか、480Mbpsを超えるか、実測して確認したいけれど、唯一の3.0対応機器で有ったSanDiskのUSBメモリが超短命で逝ってしまったので、手元に確認出来る物が無し。近い内に安い3.0対応USBを購入予定で。

Picorettaのストレージ空き容量やUSB電圧など

こちら。

picorettaの空き容量

と言いたいけれど、私は馬鹿なのでこいつにモンハンをインストールしており、その他ソフトウェアが数本入っており、計3.3GBくらい使っており、初期状態の空き容量は20GBくらいのはず。

不思議な事にサポートがマウスになっております。この画像はm-Stickでは無く、ピコレッタの方。

マウスがサポート窓口に

おそらく、マウスが後継として作っていた->パソコン工房で売れば展開の幅が広がる事に気付く->BIOS起動画面やデスクトップ壁紙をiiyamaへ書き換える->サポート変えるの忘れた、では無く、効率が良い為でしょうな。

分解というか、開いた画像が有ったけれど消えていたので、Googleの画像検索キャッシュからサムネイルにて。

ピコレッタ分解画像のサムネイル

網目のような金属らしき物がヒートシンクかと。右上のポップがツクモっぽいけれど、それはどうでもよろしい。

メモリのチップは、CPU-Zを見るも不明。下2枚がRAM。

CPU-Z

電源を取るマイクロでは無い方のUSB端子の電圧を測定。

USBの電圧実測

1分ほど見ていたところ、4.98~4.99Vの範囲で変化する程度。CPUに負荷を掛けても変わらず。

表面温度は約32度。

表面温度

裏面は約34度、室温は17度くらい。

「さすがヒツジ先輩、何か凄い機械を持っている」と思ったならやや違う。上海問屋で上段で購入した、何かに使うかも知れない=絶対に使わないフラグ、としていた安物なのでアテにはせず。照度計も有るけれど、今回は使い所無し。

では、次で温度比較など。

 

各スティック型PCのベンチマークや温度比較

ここから、黄色の枠がm-Stick。※データ提供、有難う御座います>庶民Aさん

温度比較

デカい数字、上段のTemperatureがスクリーンショット時、いずれもアイドル時のCPU温度。

4コアの温度は、m-Stickが52~54度、Picorettaは49~51度なので誤差に見えるかも知れないけれど、室温が12度と20度という違いが有る為、同じ室温にすると差は多少広がるはず。

高負荷時は、m-Stickが61~63度、Picorettaは54~55度。ヒートシンクの効果が出ているような差と言えましょう。最低温度は室温の影響が有りそうなので、やはりPicorettaの方が少し低温と見てよろしいかと。

さて、各ベンチマークで比較して行こうと思ったものの、仕様が全くと言えるほど同じなので意味が無く、実際に円周率計算用のスーパーπは同じスコアになってしまったので、ここからはm-Stickのデータで。ピコレッタも同じになるはず。

その前に違ったデータはこれ。

WIN-SCORE-SHARE

Windows 8系で7のベンチマーク風に表示するソフト、WIN SCORE SHAREのそれぞれの結果。数値が全く同じに見えるものの、プライマリディスク、要するにストレージの数値がPicorettaの方が少し上。

何が違うのか良く見ると、m-StickはHynix製HCG8e、ピコレッタはSamsung製 MBG4GCというeMMCが使われているという。仕様の表記は32GB eMMCなので、実機で無ければ判らない。現在の製品はという意味で、今後変わる可能性はございます。

そのeMMCがどのくらいの速度かを、CDMでベンチマーク。ピコレッタの方。

PicorettaでCDM

結構、速い。m-Stickは庶民Aさんへ測定してと伝え忘れ。コメント欄でスコア書いてくれると期待。

Seq(連続)のReadは最新のSATA3 HDDくらい、WriteはノートPCのHDDくらい。ランダム(512Kから下)は性能低めなSSD並となっており、全体的に見てSSDに近いと言えども過言では無いかと。体感ではランダムの方が影響する為。

低性能で容量32GBしか無い為、連続書込するような機会は滅多に無いとするなら、このくらいの性能が有るなら充分、期待以上と言えましょう。

Superパイの結果はこちら。

スーパーπで比較

右は、4~5年前のネットブックに搭載のAtom N450という低性能CPU。N450の方がやや負けているけれど、ほぼ同じと見て良いかと。

ちなみに、104万桁の1分14秒と比較すると、激安ノートPCに搭載のCeleron B800(1.5GHz、2コア、2MB)でさえ24秒、デスクトップPCのCore iシリーズなら10秒を切る為、いかにAtom Zが超省電力の超低性能CPUか良く判るかと。

Cristal Mark 2004R3での比較も。

CrystalMark-2004R3

右は10年くらい前のCPU、Pentium 4 550+GeForce 6600のスコア。Core iシリーズになると各スコアの桁が変わる為、性能としては10年ほど前と言えるかも知れない。

ラストはモンハンの絆ベンチ。上は解像度1280x768、下は640x320。

モンハンベンチ

640x360なら余裕で動きそう。Atom凄いのでは無く、おそらくDirectX使う割にモンハンのプログラムか何かが凄いのだと思う。

以上。このように性能には絶対に期待出来ず、体感ではせっかくストレージのeMMCが結構速いのにCPUがボトルネックになっている感覚が大有りなので、CPUやグラフィック性能を求めない用途としてなら。

間違ってもメインPCには向いておらず、業務利用は無茶なので、サブPCとかリビングPCとして。

 

インテルのCompute Stickが本命か?(まとめ)

性能を数値化するWIN SCORE SHARE、m-Stickの基本スコアの欄を見るとQuantaの文字が有り驚いた。安物なのでCLEVOからECS辺りで作ったのだろうと予想していた為。

私はメーカーの修理工場でノートPCもバラしていたので体験出来た事は、Quantaは安物メーカーとは作りが違う。個人的には、Quanta>ASUS>超えられない壁>MSI>CLEVOなどの順。

本当にQuanta製品なのか疑いつつ検索するとガチ。

quanta-mh1

source:Quanta Computer

ではピコレッタもそうなのかと思い探すも無し。まだ新しいので載っていないのか、Quantaでは無いのか。m-Stickは先発なので、他の棒PCと比較し良い所が無いと思っていた為、印象が変わった。

利点を書いてみると、

  • マウス:m-Stick・・・QuantaのOEM製品
  • PC工房:Picoretta・・・ヒートシンク内蔵、5年保証可
  • インテル:Compute Stick・・・CPU冷却ファン搭載

Atom Z3735FはCPUの温度が上がると性能を落とすという回避スキルが有る為、性能を落とさず使うならインテルが本命かも知れない。しかし、マウスもパソコン工房も利点は有る為、どれが良いかは人それぞれでしょうな。

インテルの棒PCも仕様はマウスなどと同じなので、もしかすると全部Quanta製品なのか?分解待ちですな。私は5年保証付けたのでバラすのは嫌。

コメント(3)

>コメント欄でスコア書いてくれると期待
送付した画像にCDMもあった気がしないこともありませんが、どうせなので改めて計測しました。以下結果。

Sequential Read:159.771MB/s
Sequential Write:78.269MB/s
Random Read512KB:140.830MB/s
Random Write512KB:60.913MB/s
Random Read4KB(QD=1):13.893MB/s[3391.9IOPS]
Random Write4KB(QD=1):9.550MB/s[2331.5IOPS]
Random Read4KB(QD=32):27.046MB/s[6603.1IOPS]
Random Write4KB(QD=32):11.691MB/s[2854.3IOPS]

Test:1000MB[C:47.8%(24.9/52.2GB)](x5)
Date:2015/04/08 7:36:25
OS:Windows8.1[6.3Build9600](x86)
m-Stick64GB

http://ux.getuploader.com/shominA/download/6/CrystalDiskMark+304.png

>実機のデバイスマネージャを開くと3.0のコントローラになっている
私のm-Stickも同様に3.0でしたね。とりあえず手持ちのUSB3.0メモリがありましたから、計測してみました。

条件
・USB2.0接続はハブ経由の接続
・USB3.0接続は直接接続
・USBポートが1つしか無いため、TeamViewerにてタブレットから操作
・温度上昇によるCPU性能の低下を防ぐため、計測間隔は最低100秒開ける
・仕様上タブレットの解像度に合わせ、画面解像度は1280×800に設定

対象のUSBメモリ
PQI「Traveling Disk U273V 627V-032GR」
http://kakaku.com/item/J0000009861/

ハブ経由でUSB2.0
SequentialRead : 38.970MB/s
SequentialWrite : 34.442MB/s
RandomRead512KB : 36.164MB/s
RandomWrite512KB : 27.777MB/s
RandomRead4KB(QD=1) : 4.048MB/s[988.3IOPS]
RandomWrite4KB(QD=1) : 1.795MB/s[438.2IOPS]
RandomRead4KB(QD=32) : 4.600MB/s[1123.0IOPS]
RandomWrite4KB(QD=32) : 2.308MB/s[563.6IOPS]
Test : 1000MB[E:0.0%(0.0/29.1GB)](x5)
PQI「TravelingDiskU273V627V-032GR」2.0
http://ux.getuploader.com/shominA/download/7/PQI+2.0.png

直接接続でUSB3.0(?)
SequentialRead : 40.960MB/s
SequentialWrite : 35.407MB/s
RandomRead512KB : 38.086MB/s
RandomWrite512KB : 28.232MB/s
RandomRead4KB(QD=1) : 4.112MB/s[1003.8IOPS]
RandomWrite4KB(QD=1) : 1.793MB/s[437.9IOPS]
RandomRead4KB(QD=32) : 4.603MB/s[1123.8IOPS]
RandomWrite4KB(QD=32) : 2.308MB/s[563.4IOPS]
Test : 1000MB[E:0.0%(0.0/29.1GB)](x5)
PQI「TravelingDiskU273V627V-032GR」3.0
http://ux.getuploader.com/shominA/download/8/PQI+3.0.png

やはり高速な、具体的には故障を経験したSANDISK製のUSBメモリで調べてみるのが宜しいかと。

重要なデータを提示し忘れていたため追記。

上記のPQI製USB3.0メモリを、デスクトップ環境(2100T&Z68マザー)で計測した結果が以下。

USB2.0接続
SequentialRead : 34.169MB/s
SequentialWrite : 28.113MB/s
RandomRead512KB : 32.123MB/s
RandomWrite512KB : 24.561MB/s
RandomRead4KB(QD=1) : 3.610MB/s[881.3IOPS]
RandomWrite4KB(QD=1) : 1.787MB/s[436.2IOPS]
RandomRead4KB(QD=32) : 3.913MB/s[955.3IOPS]
RandomWrite4KB(QD=32) : 1.795MB/s[438.2IOPS]
Test:1000MB[J:0.0%(0.0/29.1GB)](x5)
PQI「TravelingDiskU273V627V-032GR」2.0_2

USB3.0接続
SequentialRead : 79.054MB/s
SequentialWrite : 42.362MB/s
RandomRead512KB : 67.183MB/s
RandomWrite512KB : 31.474MB/s
RandomRead4KB(QD=1) : 4.173MB/s[1018.8IOPS]
RandomWrite4KB(QD=1) : 1.780MB/s[434.5IOPS]
RandomRead4KB(QD=32) : 4.262MB/s[1040.5IOPS]
RandomWrite4KB(QD=32) : 1.764MB/s[430.7IOPS]
Test:1000MB[J:0.0%(0.0/29.1GB)](x5)
PQI「TravelingDiskU273V627V-032GR」3.0_2

http://ux.getuploader.com/shominA/download/10/PQI_USB2.0%EF%BC%863.0_ver.02.png
(左が2.0、右が3.0)

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BTOパソコンの元修理担当。ハードウェアに超詳しいワケではありませんが、どうしたら故障するのか何となく解るので壊れにくいパソコンを紹介します。