ユニットコムより2ストレージ内蔵ノートが新発売。
ストレージ(HDDやSSD)2本構成のノートPCはパソコン工房に限らず以前から出ていたけれど、今回発売の製品はノートPCの正統な進化と見ており、何がどうよろしいと思うのか適当に解説して参ります。
ネタ切れ補完記事ともいう。
結果として宣伝になるけれど、ステマやメーカーからの依頼ではございません。私が勝手に評価するシリーズ。
2013年ノートは約9万円で結構な高性能になる
ニュースリリースをPC Watchより。
ユニットコム、薄型mSATA+HDD搭載15.6型IPS液晶ノート-PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130111_581415.html
読み取る事ができる情報は、タイトルからは、薄型、mSATA(SSD)、HDD搭載。15.6インチのIPS液晶画面で、画像を見ると解像度はフルHD。
これだけの性能で約9万円となると、CPUはCore i5辺り、SSDやIPS液晶まで載っているので下手するとCore i3かと想像しつつ使用詳細を見るとi7が載っております。
パソコン工房が、というより高性能ノートが以前より更に安くなった印象。
- OS:Windows 7 Professional 64ビット
- CPU:Core i7-3632QM(2.2-3.2GHz、4コア/HT対応、6MB、TDP35W)
- マザー:インテル HM77 Express チップセット搭載
- メモリ:8GB(4GBx2、DDR3-1333 SO-DIMM)
- SSD:128GB(mSATA、6Gbps ) ※Crucial m4 CT128M4SSD3
- HDD:500GB(SATA)
- DVD:スーパーマルチドライブ
- グラフィック:インテル HD Graphics 4000 ※CPUに内蔵
- モニタ:15.6型(解像度:1920x1080) ※非光沢、IPS方式
- 無線:IEEE802.11b/g/n
- 有線:Gigabit LAN、USB3.0x2、USB2.0x2 など
- バッテリ駆動:約3.5時間
- 重量:約2.2kg
- 厚み:16.0~25.4mm
本体価格から構成パーツを引き算して行ってみましょうか。
まずWindowsは7でProfessionalが標準。なぜ3千円くらい高いPro~を敢えて載せているかは知らないけれど、Windows8では無く7は正解でしょう。
8が使えなさすぎるという意味も有るけれど、今や7は自作やBTOパソコンの特徴のようになっており、更にタッチパネル非搭載で8にすると良く有る失敗構成。
私が先日購入した7 Pro~のDSP版が13,480円なので約13千円を約9万円から引き、残77千円。ここから約は省略。
CPUは通常で動作クロック2.2GHz、ターボブースト時3.2GHzという高性能なCore i7。4コア8スレッド、キャッシュ6MBはノートにしてはでかいですな。いや、現在では普通なのか。
CPUの価格はインテル公式のトレイ(メーカー用の大量出荷)価格を見ると378ドル。1ドル90円とすると34千円なので、この段階で残43千円。
マザーは普通のHM77。これはベアボーン(ノート本体)に込なのでスルーしましょう。無理に価格を出そうとすると嘘になる為。
メモリは今時は既に最低でも2GB。2GBも終わりに近付いており4GBでも普通。この性能のノートなら8GBでも当然という所。SODIMMのPC3-10600は、価格コム最安で4GBx2枚が約6千円。残37千円。
SSDは2.5インチでは評価の高いCrucial製品。但しmSATA(薄いカード、基板型)なので価格は2.5インチより高いけれど、換装も考えると価値としては微妙なので、128GBの2.5インチ程度とし約8千円。残29千円。
HDDは普通の500GBでSATAとしか書かれておらず性能や詳細不明。価格コム最安で4千円くらいなので、残25千円。光学ドライブはノート内蔵用のスリムドライブ。最安3千円で残22千円。
きりが悪いので、内蔵カードリーダーとWebカメラをまとめて2千円とし、残2万円という事にしましょうか。
というわけで、このノートPCのベアボーン部分は2万円くらい。
マザーボード、液晶モニタ、キーボードやタッチパッド、その他バッテリやACアダプタを含め2万円は有り得ない価格設定。
以上は市販品で計算しており、パソコン工房の仕入価格とは違うけれど、もしこのノートが自作出来たならという仮想との比較として。
安いノートPCと言えば、一昨年まではマウスコンピューター。更にそれ以前はDELLという印象がございました。
昨年からは日本HP以外にパソコン工房(ユニットコム)も目立って安くなっており、この新製品もそこから漏れていないご様子。
「Lesance BTO Di CL6U2-TG」の利点と難点
このノートPC最大の利点と思う事は、上で試算したようにコストパフォーマンスに優れる事。
この構成で9万円はおかしく、以前私が購入した3万円レサンセと似たような不自然とも思える割安感。
性能や機能で目立つ利点を3つ。
IPS、ノングレア(非光沢)液晶
遊び用途なら光沢画面が好まれるかも知れないけれど、反射を防ぎ眼の疲れを予防するなら非光沢。
そして、先日「高性能PCモニタを使うと映像素人でも安物に戻せなくなる」で書いた高性能モニタがIPS方式の事。ノートはデスクトップPCより小さな画面を見下ろす視点になる為、特に上下の視野角は重要。
このノート(IPS液晶)を使うと、一般的なTN液晶への乗り換え時に苦労するかもしれない。きれいな画面に慣れてしまうとつらいという意味。
SSD 120GB + HDD 500GB の標準2ストレージ
昨年までの2ストレージノートの多くはSSDが64GB。HDDは320や500GBも有ったけれど、昨年と言えばSSDの価格が大きく下がった年で、128GBのmSATAでも仕入は1万円を切る相場と妄想。ちなみに昨年末から上がり始めております。
Windows7、メモリ8GBならSSDの空き容量は90GB以上。それを余裕で超えるデータ容量が有るなら足りないけれど、HDDで良いデータは500GBへ移動。
Windowsのみならずプログラムの起動が早く、ブラウザのキャッシュも自動的にSSDになるので、起動に30秒くらいかかる古いFirefoxでも3秒とかのレベル。私の環境の事。
そして最大の利点は、HDD 500GBの内100GBくらいをSSDのバックアップ用可。内蔵なので高速、外付不要、そしてこういう事が気軽にできる。
フォルダやドライブを簡単に差分バックアップする方法
https://bto-pc.jp/repair/real-sync-backup-part2.html
重量、バッテリ駆動、厚みがこの性能と価格にしては良い方
最後は取って付けたような利点と言えるか微妙なもの。
高性能にしてはバッテリ駆動が微妙に長めで、3kgまでは行かないけれど2.2kgでモバイルは厳しい。厚みは全く興味が無いけれど、4cm超えとかやけくそにならない辺りは努力しているのでしょう。
難点も3つで挙げると。
- 本当にグリス選択はできるのか
- 納期の予定が1ヶ月とか長過ぎる
- カスタマイズに余計な物を詰め過ぎ
カスタマイズページを見ると、グリス(CPUの放熱用溶剤)が選択式になっているけれど、ベアボーンを分解してまで本当に塗り直してくれるのか。そうなら失礼。ノートでは普通やらないと思う。
納期は現時点で1ヶ月となっており、届くのは2月中旬。待てるなら良いというだけの問題でも無く、せっかくWindows7なのだから8 Proの叩き売りアップグレードに間に合うか不安。間に合うなら失礼。
ちなみに、8叩き売りアップグレードはPC購入が1月末、アップグレード申込は2月末までなので、1月下旬に納期約1ヶ月なら間に合わないかも知れない。
最後はいちゃもんに近いけれど、久々にパソコン工房のカスタマイズを見ると、PCパーツとは無関係なオプションが大量に載っており、PC初心者が混乱すると思うけれど、余計な世話ですな。
高性能ノートを購入する意味は何か?(まとめ)
ほぼ良い事尽くめで書いて来たので手のひらを返しておきましょう。
高性能パソコンを購入する理由は何かを考えると、おそらく二通り。
- 今、この高性能や大容量が必要な用途が有る
- 将来性を考えて、高性能かつ大容量にしておく
1のみ、または1と2を考えての事なら良いと思うけれど、私のような古い考え方で2のみで高性能や大容量を大金はたいて手に入れようとしているなら、時代遅れの可能性がございます。
今はCeleronやCore i3、メモリ2~4GBで充分、3年後には・・など考えているなら、今3~5万円のノートを購入し、3年後に3~5万円のノートを購入した方が良いかも知れない。
逆に今から3年前は、三桁SSDなど現実的な価格では無く、ノートでメモリ8GBとか一体何の業務に使うのかという状況。今が3年前の未来と考えると、私の言う意味が解りましょう。
将来性だけで考えるなら、高性能PCへ投資する時代は終わっていると感じており、安い物を使い捨て、もし3年後にタブレットPCで良いならノートは不要でもよろしいかと。
ただ、Windows8以降が問題ですな。せっかく7しかもPro~なのだから、今回の新製品を7年くらい使うという気合なら、それはそれで個人的には有りだと思う。
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