レノボのゲーミングPC、Erazer X 700の実機レビュー、最終回。
その1は見た目、2はベンチマーク、3のOC有り計測に続き最後はまとめ。ゲーミングPCを名乗るイレイザーX700の特徴を元に、今回は価格と製品に関する利点と難点を消費者視点で参ります。
正直難点が目立たず、重箱の隅を攻撃状態はご容赦有れ。
先に私のパソコンという物に対する価値観。
- 見た目やデザイン、センスの良し悪しは良く分からない
- ゲームしないのでゲームミングPCに興味が無い
- パソコン如きに10万円以上出すつもりは無い
このような感覚の為、見た目重視のゲーマーでPCへ10万円出すのは当然と思うなら私とは逆なので、ここからは鵜呑みせず暴れずどうぞ。
書き忘れたけれど、今回のレビューは広告として依頼されたわけでは無く、私が勝手にどう評価しても良いと言われており、金を貰って書くいわゆる提灯記事ではございません。いつもと違う事は、送料がレノボ側持ちなので私側の負担は0なくらい。
強引過ぎて書き疲れそうなので難点から参ります。
「Erazer X 700」難点はカスタマイズが無い
これは難点(かも知れない)と、やや弱気に5点。
1.デカい、重い、やたらと光る
サイズは公称では奥行きが475mmになっているけれど、床置きながら私が実際に設置した際、必要と感じた奥行きは700mmくらい。本体が600mm前後有ると思われ、どこを測り475mmと言っているのか不明。(私の測り違い、または記憶違いなら失礼)
また、重量はPC本体のみで20kg弱、箱入りになると30kgまでは行かないものの、大人1人で運ぶにはやや無理が有るレベル。
そしてフロントの上下以外に中身まで青く光りまくり、好みの問題とは思うけれど鬱陶しいと感じております。
真上から撮影、写真左が前面。右下の赤は光学マウスのLED、青は液晶モニタの色なので無関係。
光る繋がりでは、ケースの前面が光沢なので指紋が目立ち易い。
2.キーボード用PS/2端子は無し
何に使うか知らないけれど、ゲーム用キーボードは同時押しにこだわる物が有り、その中でも全キー同時押しに対応している物もございます。
Erazer X700のマザーボードはPS/2端子が付いておらず、自動的にUSBキーボードになる為、6キー同時押しが限界なはず。
ゲーミングPCを名乗るのだから、時代遅れとは言えキーボードはPS/2端子を搭載した方が良かったのでは無かろうかと。(しつこいけれど、私は同時押しが必要なゲームが有るのかさえ知らない)
3.BIOS設定が無く詳細変更不可
Erazer X700のBIOSはUEFIという、インテル6シリーズのチップセットから採用が多くなり始めたBIOSで、利点はOSの高速起動と言われるものの、当機では電源を入れた直後に行ける設定画面は無し。
どこでBIOS設定を見るかは専用のユーティリティをWindows上から起動。設定変更出来る箇所はクロックの倍率のみとなっておりました。
倍率以外の設定が出来るかはマニュアルにも書かれていなかったと思われ、設定を変更したい人には向かないかも知れない。ちなみに私がこのPCでストレージを1台追加し「ブートドライブを入れ替えろ」と言われたなら、検索した後にレノボへ問い合わせると思う。
4.グラボのファンが上向きに搭載
個人的にどうしても気になる事がビデオカードのファンが上向きな件。
最近は電源を上下逆に搭載するケースも有り、このグラボは自作PCのパーツでは無くレノボがやっているのだから上下逆でも問題は無いと推測するものの、単純にゴミが入り易くならないかと。
頻繁にPCを利用し、定期的にケース内を掃除する人なら良いけれど、週2~3回程度の使用ならホコリが積もり易く、掃除をしなければ現在の価格で2万円もするグラボの寿命が縮まるやも知れず。
5.カスタマイズに対応していない
X700(57315153)の見積り画面。
ここまでやっておいて何故カスタマイズ出来ないのか。
14万も出すのだから1~2万円プラスし、SSD追加とかグラボを1ランク上げるなど、やりたい人は居られましょう。
低予算で5万円のPCへ1万円のグラボ追加は厳しいと思うけれど、14万が15万になっても明確にゲーム目的なら、カスタマイズは有った方が良いというより、無ければおかしいと思う。
以上、強引ながら難点5つ。バランスを取る為に全部手のひらを返すと
- ゲーム用高性能PCだから重くデカく光って当然
- 6キーを超える同時押しをする需要は皆無と思う
- 下手にBIOS設定を変更し不具合を出すより安全
- グラボ逆向きが嫌とか言っている人は時代遅れ
- カスタマイズは今後対応、または別機種が発売
このようなPCを購入する人はデカいとか光るなどは理解して選ぶもの。仕様が気に入らないなら別メーカーや別機種にするだけなので、自分で書いておきながらこれらは難癖に近いと分かっております。
「Erazer X 700」最大の利点は手軽さ
高級なだけは有り利点は多いけれど、難点と合わせ利点も5つで。
1.OC後の高負荷時でも静音性は高い
検証環境は、とある事務所の営業時間終了後、または休業日。周囲は無音に近く、私一人で作業していたけれど、動作音(ファンの音)はアイドルと高負荷時でいずれも変わらず。
室温は見ていないけれど体感で15度前後と思われ、あまりにもファンの音が聞こえず本当に回っているのか心配になるほど。グラボのファンの音がわずかに常時一定して聞こえる程度。
4.3GHzになったCPU、GTX 660でもここまで静かなのかと驚いた。Erazerというより簡易水冷が優秀なのかも知れないけれど、グラボの静音はケースの設計も影響しておりましょう。
2.OCは設定変更後ボタンを押すのみ
OCする際は、まず Erazer Control Centerを実行し倍率を選択。
最高43倍、おまけで12倍までアンダー(ダウン)クロックも可能。標準は36倍。
42~43(4.2~4.3GHz)が赤くなっている理由は、マニュアルによると不安定になるかもと書かれていたけれど、私は検証中43倍に設定しており特に不具合は出ておりません。
これを設定し、OC(OneKey Overclocking)ボタンを押すと再起動を促され、Windowsを再起動すると設定完了という簡単さ。
メモリのクロックや電圧を調整する必要はございません。
3.Windowsのリカバリが簡単で高速
Windowsのデスクトップ画面からツールを起動。
今回はシステムリカバリを選択し、初期状態への復旧を実行しております。再起動するとWindowsでは無くリカバリシステムが起動。
OneKey Recoveryを選択し進めて行くとリカバリ開始。
1~2時間掛かるのだろうと思っていたけれど7分8秒で終了。
再起動すると初期(購入時の)状態へ戻っておりました。
バックアップもセットになっていた為、Windows8なのでスタートボタンを付けたり起動直後にデスクトップ画面へ行くソフトを入れて一度バックアップしておくと復旧時に便利かも知れない。
4.ドライブベイがホットスワップ対応
レビューその1で対応HDDに限ると書いていたけれど先ほど訂正。
Windows7からはAHCIモードならSATA接続でも普通にホットスワップに対応しているそうな。失礼。
通常、メーカーPCへ無改造でストレージ(HDDやSSDなど)を増設するなら、カスタマイズで突っ込むか外付けになるけれど、これなら改造にならず高速な内蔵状態で増設可能。 ネジを4本留めて突っ込みロックするだけなので誰にでも出来る簡単な作業。
また、例として1TBを2本入れて足りなくなった際は、将来的に4TB2本へ入れ替えるなども簡単。機会が有れば別の故障PCのデータ退避にも役立つでしょうな。
5.約14万円ならば妥当な価格設定か
以前、当サイトで実施したアンケート結果よりゲームPCの価格について。
最多は10(~12)万円くらい。次に8(~10)、12(~14)が多くなっており、Erazer X700の約14万円はやや高い方。
パーツ単位で最安相場で計算して行くと、ケースを除く総額は送料別で11万円くらい。試算してみるなら、WindowsはDSP版で換算しており、クーラーは簡易水冷なので注意。
自作PCに興味が無ければPCケースが3万円は高いと思うかも知れないけれど、この設計に似た拡張性高いケースなら2万円は下らないはず。私の比較的安物なクーラーマスターのケースでさえ当時1.5万円以上。
ケースを仮に2万円とすると、オリジナルは電飾、デザイン、ホットスワップ用ドライブベイx2、そしてオーバークロックボタンと専用ツール。もっと言えばリカバリシステムなどを含め1万円は安いと感じております。
もちろん私の感覚では有り得ない高級PCなものの、ゲーム用として高性能かつ高機能を求めるなら、という意味にて。
以上、利点5つ。やはり手のひらを返しておくと
- ゲームPCで静音を求めるのは邪道
- OCは性能向上というより気分的なもの
- HDD故障時はバックアップの意味が無い
- 増設しないなら価格が上がる原因なだけ
- 約14万円という価格は普通のPC2~3台分
やはり難癖、ケチを付けているだけになりますな。利点は本当に中身有る良い箇所が目立つ為、逆にするといちゃもんになってしまう。
「Erazer X700」はPC初心~中級者向けゲームPC(まとめ)
イレイザーをいじりまくり感じた特長は、面倒と感じたりマニアックな作業が全部簡単に出来てしまう事。何が簡単かまとめると以下。
- オーバークロック(しかも4GHz超え)
- SATA接続のストレージ増設(しかも2台、3.5インチ可)
- 静音化(されておりこれ以上する意味は無いと思う)
- バックアップとリカバリ
私はOC遊びとかやる趣味が無い為やった事は無いけれど、3万円近いCPUと2万円クラスのマザーボードで4.3GHzを目指すのは冒険過ぎると思われ、相当マニアックな人がいつ故障するか試しているようなもの。それがこのPCならレノボが行けると検証済。
ストレージの内蔵はやった事が有るなら簡単なものの、それが前から挿すだけになると更に簡単。静音については本当にi7-3820(4.3GHz)とGTX 660なのかと疑うレベル。バックアップやリカバリツールは他社PCでも時々有るけれど、レノボのシステムは高速で解り易かった。
個人的には見た目はどうかと思うけれど、国内のBTO PCメーカーのような中国製ケース独特の安っぽさが無く、検証中に流れて来たGAME Watchの記事によるとケースはドイツのメーカーをレノボが買収した物らしく納得。
また、性能と価格のバランスが上手いと思った点はCPUとグラボで、CPUを1ランク上げると3930Kになってしまい3万円くらい高くなり、グラボをGTX 660Tiにすると性能差は微妙で7千円くらいプラス、670にすると1.5万円、680なら明らかに変わると思うけれど2倍になり2万円プラス。3930K+GTX680にして約19万円は高過ぎると思う。
CPUのCore i7 3820をOCし処理速度では3930Kを超え、現在のゲームプレイの実用として充分と思われるGTX 660で抑えたとするなら上手い提案と言えましょう。
ヒツジ先輩らしくないべた褒めに近いレビューになってしまったけれど、さすがに14万円もするのだからケチの付けようがございません。
ゲームPCという明確な目的が有り触れなかったけれど、最大の難点はWindows 8なので、嫌ならやめておきましょう。
以上、実機を借りた礼も含め約束なのでリンク。未来から来た人でリンクが切れているなら、「レノボ」で検索しトップページからErazerをお探し有れ。
ゲーミング・デスクトップPC|Lenovo Erazer Xシリーズ | Lenovo
http://shopap.lenovo.com/SEUILibrary/controller/e/jpweb/LenovoPortal/ja_JP/(略)
次回のレビューは IdeaPad Yoga の予定。貸してくれたならの話。
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