パソコンや周辺機器やケーブルの性能による回線速度の違い。
パソコンには有線では10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T、無線はIEEE802.11a/b/g/nのような表記が有れど何の事か判らない人も居られましょう。単純に有線は数値が大きいほど速く、無線はn>a>=g>bの順。とは限らない。
ネットワークは私も大して詳しくない為、説明が簡単になるという仕組。
2012.07.22 追記:文中に有るCTU(加入者網終端装置)は正しくはONU(モデム、光回線終端装置)。訂正はしないので脳内変換にて。何故、間違えているかはこちら。
今回は有線LANや無線LANの仕組みでは無く、ローカルエリアネットワーク(略してLAN)の接続方法や速度について。
ルータとかアドレスのような面倒な物は出ないので御安心有れ。
以前、ギガ対応ハブのレビューを書き、それを読んだ知人からこのような質問を戴き、失礼ながら1番で焼酎を吹くかと思った次第。
- 無線LANの親機にケーブル接続は必要なのか?
- 無線LANが「n」対応ならインターネットは速くなる?
なぜそう思ったのか問い詰めた所、無線と言えばトランシーバー2台以上で会話出来るイメージがあるので親機も置けばインターネットに繋がると思った。ノートを所有しているので、n(300~450Mbps)なら速くなると思った、との事。
そういう考え方も有るのかと感心。
実測でやるとわけが判らなくなるので図解は全て理論値や最大で表記し、実際には減衰(減速)するものとして。
冒頭で書いた数値や単位などは
- 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T・・10Mbps、100Mbps、1Gbps
- IEEE802.11a/b/g/n・・54、11、54、300~450Mbps
NTTなどが宣伝する100メガは100Mbpsの事でパソコンのファイル転送で使われる事がある100MB/sでは無し。Mbpsのbはビット、MB/sのBはバイトなので8倍。MbpsはMb/sのようにbを小さく表記されている事もございます。ちなみに100Mbpsは12.5MB/sの事。
無線は周波数の違いも有るので後ほどの図にて。
インターネット回線速度の限界と有線LANの速度
有線の方が分り易いので先にインターネットへ接続する速度から。環境は光ファイバーの100メガ(ビット)を例として。
図の左端が外(インターネット)。デスクトップPC1台のみならこのように繋がっている事が多いかと。
外から行くと、光ファイバーがONU(回線終端装置)に接続され、そこから電話やLANケーブル用に分岐と変換。パソコン側はONUからモデム(CTU)に接続し、モデムからパソコンへと接続が最も単純。
質問1の「ノートがn(300Mbps)対応ならインターネットの速度が速くなるか」はオレンジ色の速度が100Mbpsなので無理。n以外(a/b/g)の接続よりは速くなる可能性は有る程度で、元が太(速)くとも外への出入り口が細(遅)い為に速くはならず。
簡単に言うと、パソコンのマザーボードのLAN端子(イーサネットコントローラ)が100Mbps以上に対応していたり、パソコンに内蔵や外付けする無線LANが100Mbps以上有れど現状ではインターネット接続には無意味という事になります。
速度は細(遅)い物が限界になるので、上の図全体を見るとパソコンやその接続ケーブルは1Gbps(1000Mbps)に対応していても、他が100Mbpsなので最大で100Mbps。
では100Mbps超えに意味が無いかと言えばそうでは無く、このような場合。
PC2が追加されパソコンが2台。
PC1と2、そしてケーブルが1Gbpsに対応するならパソコン間同士の速度は1Gbps対応という事になるけれど、良く見るとモデムが100Mbpsまでとなっており1Gbpsには対応していない。
そこで簡単かつ安くPC1と2間の速度を上げる為にハブという、コンセントで言うとタコ足のような物で有線LANを接続するわけです。
繋がっている部分が全て1Gbps対応なら最大1Gbpsへ。
ハブにも種類が有り、昔の物なら100Mbpsまでが普通の安物。現在は3千円程度でギガ(1Gbps)対応で5ポートのスイッチングハブとか普通に販売されております。
しかし図をいじっており、PC2が古いノートなどとして100Mbpsに変更。これではやはりPC1と2の転送速度は100Mbpsが限界になるわけです。
インターネット、有線LAN編をまとめると。
- パソコン本体、周辺機器、ケーブルの最大速度が限界
- インターネット回線が遅いなら外部との接続はそれが限界
- ハブ経由やパソコン同士を接続する事で高速転送を維持可能
実際には光100Mでも私の環境を例にすると70Mbps程度(下り)、マンションの共有などでは20Mbpsも出ていなかったり。ADSLで40Mとか謳っていても実際には5Mbpsしか出ていない事もあります。
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無線LANの速度、規格や周波数の違い
有線LANとの違いは無線LANには親機が必要。もちろん親機は有線でモデムなどに接続する事になります。置くだけで勝手には繋がらない。
分かり難くなるので有線LANのパソコンを除外し無線のみ。
モデムから無線親機へ接続。親機から子機(パソコンの無線LAN機能)へ送受信。PC3と4の違いはIEEE802.11という規格にあるb/g/nの「n」の有無。
親機がb/g/n対応でも子機がb/gのみなら最大で54Mbps。逆も同様。nは比較的新しい規格で、正式に認証された時期が2009年と新しく、古いパソコンや安物の内蔵無線LANには無い事も多め。
しつこいけれど、PC3がn対応で最大300Mbpsに対応していても、モデムから先が100Mbpsなのでそこから先は100が限度。PC3と4のパソコン間でデータを転送すると低い方の54Mbpsが限界になるわけです。
ではa系を混ぜるとどうなるか。右下のPC5を変更。
親機はb/g/n対応で周波数が2.4GHz、PC5はa/n対応で周波数は5GHz。帯域という電波の種類が違うので同じ「n」でも繋がらないわけです。
最後にPC3を有線LAN接続とし、PC5を4に戻した図。
無線親機の有線LANポートが1Gbps対応でも、無線が54Mbps。
これに有線接続の1Gbps対応PCを無線親機に接続すると、PC3とのデータ転送は1Gbpsとなり、理由は上の無線親機がハブと同じ機能を持っている為。
無線LAN編を書いていない事も追加しまとめると。
- 速度は低い(細い)物が最大という限界は同じ
- 同じ「n」でも「a」系と「g/b」系で周波数が違うので注意
- 両周波数に対応している無線親機も1万円以下で販売中
- 「n」は複数の電波で送受信しておりa/b/gとは仕組みが違う
無線は規格がややこしい為、難しくなるけれど耐えられるなら以前書いたIEEE 802.11 a/b/g/n の違いをご参照有れ。
かなり長いので「n」の事だけなら、セクション9(IEEE802.11の「g」は「b」の上位互換)から読むと良いかも知れない。
有線、無線LAN共に実際の速度は大幅に落ちる
理論値として書いて来たけれど、LANの速度はUSB2.0や3.0のようなもので、最大値まで出るわけが無し。
私が過去に見た環境を混ぜ、おおよその数値を当てはめると
仮に光回線が100Mbps出ているとしても、モデムを経由している速度は70Mbps程度。これでも光回線にしては結構速い方で、20~50Mbpsでも普通。マンションでは10Mbpsを切れるという詐欺のような遅さも良く聞く話。
モデムから無線親機の段階で更に落ち、ケーブルの長さも関わる所。この段階でどうやってもパソコンからインターネット接続までは50Mbpsまで減速。
PC3の有線LANが1Gbps対応でも親機(ハブ)との速度は250Mbpsまで減速。しかしその他の機器が100さえ超えておらず上の図では意味無し。
無線LANは私の以前の環境で「g」(54Mbps)対応でも実際には見通し5mでも過去に15Mbpsが限界とか。モルタルの壁を1枚挟むと10Mbps以下、鉄筋コンクリートでは5Mbpsなども普通に有るかと。最悪、繋がらない事も。
まとめると
- 一部を除き普通は光回線でさえ(2011年現在)100Mbpsも出ない
- 有線LANの1Gbpsや無線の「n」は現状PC間同士で有効
- 無線の障害物による減衰は半端ないので親機を近くに設置
無線親機を有線で家の中心まで引き、そこにハブ兼無線基地にすると効率が良くなるかも知れないけれど、そこまでこだわるなら速度を測りつつ比較しましょう。
私が鈍感なだけかも知れないけれど、長時間やでかいファイルを転送する以外の通常使用では20Mbpsを超えると判らない程度。
これも単純な事で、でかいファイルが2分から1分になる所、小さいファイルが0.02秒から0.01秒になれど人間には判らないという事です。
ネットワークの速度で作業効率、特に仕事の効率が悪くなっている気がするなら実測し、PC本体や周辺機器の仕様、ケーブルの種類、長さを考えてみましょう。
長さについてはこちらが分り易いかも知れない。
回線速度を向上したり高速化する方法と速度の比較 - BTOパソコン.jp
https://bto-pc.jp/repair/broadband-local-speed-test.html
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