高速コピーで昔から有名なフリーソフト、FastCopy。
個人的にバックアップはRealSync派、初心者向けならばっくんちょがお勧めと過去に書いたけれど、FastCopyが快適過ぎてRealSyncから乗り換えてしまった為、ついでに使い方を紹介する事に。
初心者、中級者、上級者向けの3段階で参ります。
お約束>差分コピーや同期などは設定を誤ると必要なデータが簡単に消えてしまうので、理解出来ない部分が少しでも有るならやめておきましょう。
また、FastCopyの免責にも書かれているけれど、ソフトウェアに万一不具合が有れど作者殿に責任は無く、私の解説に誤りが有りデータが飛ぼうと知った事では無いものとして。
FastCopyのインストールと起動と特徴
FastCopyの公式サイトはこちら。
FastCopy
http://ipmsg.org/tools/fastcopy.html
ダウンロードさせて貰うファイルは画像左の枠内で、64bitか32bitのいずれかをクリックするとVectorへ直リンクされており、自動でダウンロードが始まるので保存してファイルを実行しインストール。
32/64bitが解らない場合は32bitで結構。64bit版Windows 7でも32bit版FastCopyの正常動作を確認しており、当記事の初心者向けの解説では違いは無い為。
インストール時にショートカットを作成し実行。単に起動したウィンドウのみでは面白く無い為、同期を実行した後のスクリーンショットを例として。
難しい言葉や英語が多く表示されているけれど気にせず。
意味が解る人は左の枠内のTransRate(転送速度)をご覧有れ。70MB/s出ており、私が時々見ていた限りでは最大135MB/s、最低30MB/sくらいという高速コピーが可能。同期で100超えとか初めて見た。※SATA2、AHCI、Seagate ST3000DM001
FastCopyの特徴は、
- やたら高速
- HDDのアクセス音が静かというか私の環境では無音
- 差分のチェックが驚くほど速い
詳しくは知らないけれど、Windows上での普通のコピーとは違う方式らしいので速いそうな。アクセス音はバッファの使い方が何か違うとの事。
私が一番驚いたのは3番目の差分のチェックで、約1.6TBの大量データが同期直後なら30秒程度で終わってしまった事。
では、初心者向けから解説。
初心者向け:FastCopyで差分コピーの設定を作る
難しそうと思うかも知れないので、全体の流れを3段階にて。
- FastCopyを起動する
- コピー元と先を決める
- 実行ボタンを押して終わるまで待つ
基本的にこれだけ。設定を変更すると微妙に速度が上がったりするけれど、解らないならやらなくても大丈夫。
起動すると下のような窓が出現。2つをくっつけております。
画像右、変更する箇所は2つ。
- Source・・・コピー元(原版)
- DestDir・・・コピー先(コピーが出来る方)
画像右の設定は、私のWindows 7のフォルダを例にしており、起動ドライブのユーザーフォルダ全部を対象とし、Dドライブの同じ名前のフォルダへ同期しようとしているところ。
そう、同期なのでDestDirの下の設定を確認しましょう。
同期にするとコピー先に有ってコピー元に無いファイルは「無い」ものとして削除されるので注意。差分(サイズ・日付)が安全。
具体的には、コピー元のフォルダにtest1、2、というファイルが有ったとし、コピー先にtest1、2、3、が有り同期すると、コピー先の3は削除。コピー元を基準にコピー先を全く同じ状態にする方法が同期の為、要注意。
また、画像右のポインタで選択している¥マークは不要。上の状態で選択部分の¥を消さずに実行してしまうと、D:¥Users の中にCのUsersフォルダが作られてしまう為、D:¥Users¥Users <- このようにCドライブのフォルダが入ってしまう。
¥マークを消す意味が解らないなら、こうすると解るでしょうか。
- コピー元(Source)・・・C:¥Users¥
- コピー先(DestDir)・・・D:¥
CドライブのUsersフォルダをDドライブへコピーすると、Dドライブ直下へUsersフォルダが出来てCドライブと同じ状態になるという事。
コピー先の末尾に¥が有るとその中、無ければそのフォルダへコピー元のフォルダの内容をコピーするので、ここがやや理解しづらいかも知れない。ちなみにドライブの場合は両方¥マークで終わるという、これまた混乱しそうな設定なものの仕様。
フォルダが決まったなら実行ボタンを押し、下の枠へFinishedと表示されたなら完了。
再度同じ処理を実行するなら設定を保存
画像の左はジョブ設定を保存しております。
メニューの「ジョブ管理」を開き「ジョブ追加~」をクリックすると別の小窓が開くので、適当な名前を付けて「追加・更新」を。
これで現状の設定が全て保存された為、バックアップする際はメニューの「ジョブ管理」からジョブを選ぶと設定が丸ごと復活するので実行ボタンを押すだけ。
ジョブを呼び出すという一手間は有るものの、RealSyncや ばっくんちょ よりコピーが高速過ぎる為、こちらの方が効率はよろしいかと。
作業完了後にWindowsをシャットダウン
コピーを放置してパソコンから離れるなら、メニューの「設定」から「終了時処理」へ行き「シャットダウン」を選択しておけば終わり次第電源を切ってくれる為、待たなくて良いという機能もございます。
中級者用:FastCopyで同期バックアップを自動実行
バックアップと言えば個人的には同期の事と考えており、差分にするとコピー先のファイルが削除されない為、コピー元に無くコピー先に有る不要なファイルが増えて行く状態。
そして初心者向けの設定は1ドライブ(1ジョブ)のみなので、2ドライブ以上有る場合は最初のジョブが終わるまで待ち、ジョブを切り替えて再度実行とか面倒でしょう。
FastCopyはコマンドプロンプトからの操作、言い換えるとバッチ処理にも対応している為、バッチファイルでの自動化が可能。
- ジョブ1・・・CからDドライブへ同期とかコピー
- ジョブ2・・・EからFドライブへ同期とかコピー
このような2つのジョブを作ったとして、ジョブ1を「set1」 、ジョブ2を「set2」にしたとしましょうか。
複数のジョブを処理するバッチファイルを作る
適当な場所へ新規テキストファイルを作って開き、中身へ以下をコピペして保存。FastCopyを別の場所へインストールしていたり、64bit版Windowsなのに32bit版を入れたなら1行目は変更を。
path C:\Program Files\FastCopy
fastcopy.exe /job=set1 /force_close
fastcopy.exe /job=set2 /force_close
pause
fastcopy.exe /postproc="シャットダウン"
ブラウザにより「¥」がバックスラッシュ(/の逆)で表示されているかも知れないけれど気にせず。どちらも同じ意味。
何をしているか(知らなくても良いけれど)上から説明。
- FastCopyのフォルダへパスを通す
- ジョブ1の実行、終了
- ジョブ2の実行、終了
- 一時停止(何かキーを押せば続ける)
- (Windowsを)シャットダウンする ※PC電源が切れる
ジョブの名前に日本語(全角)とかスペースなど有るなら /job="日 本 語"のようにダブルクォーテーションで囲う。スペースなどが無くても囲ってOK。
4行目のpauseを削除するとシャットダウンまで止まらず実行。
ちなみに私は /postproc~ の動作は確認していない為、もし動かなければ下のようにシステムのシャットダウンへ置き換えを。こちらは動作確認済。
path C:\Program Files\FastCopy
fastcopy.exe /job=set1 /force_close
fastcopy.exe /job=set2 /force_close
pause
C:\WINDOWS\system32\shutdown -s
コピペしたテキストを一旦そのまんま保存。そしてファイル名を「新規テキスト~.txt」から「(適当な名前).bat」に変更し、ダブルクリックで実行しましょう。
するとset1が終わった後にset2のジョブが実行され、終わったなら一時停止し、キーを押せばシャットダウンするはず。
MS-DOS(CUI)世代では無いならハードルが高く見えるかも知れないけれど、単にFastCopyが用意してくれたコマンドを真っ暗な背景+白い文字で実行しているだけ。
意味が解らなければ気持ち悪いなら、FastCopyのページを下まで読みましょう。一応上で使ったオプションなどの意味を解説すると、
- path・・・FastCopyフォルダ内を一時的にWindowsが認識
- /force_close・・・実行後に終了(エラーが出ても止めない)
- /job="名前"・・・実行するジョブの指定
FastCopyのジョブの設定さえミスっていなければ危険性はゼロに等しい為、中級者用として。
上級者向け:FastCopyをコマンドプロンプトで自動化
中級者用に毛が生えた程度で、ジョブを指定せずFastCopyをコマンドプロンプトで実行するだけなので手短に。
Eドライブ全体をFドライブへ同期する場合のバッチファイル。
path C:\Program Files\FastCopy
fastcopy.exe /cmd=sync /speed=full /force_close E:\ /to=F:\
C:\WINDOWS\system32\shutdown -s
パスを通してオプションを個別に指定し、コピー先まで全部コマンドラインで指定、最後にシャットダウン。2行目のオプションは左から、同期、フルスピード、自動終了、コピー元と先の指定。
見易く分かり易いGUIによるジョブという機能が有るのだから、こんな手間を掛ける必要は全く無いと思うけれど、何となくバッチファイル+実行ファイルだけで処理出来るとスッキリするという、良く解らない私のような人用として。
FastCopyは他にもInportやExport、正規表現も使えたり拡張性は結構高い為、本気でFastCopyを使いこなすなら、公式のトップページとヘルプファイルの熟読をお勧め。
FastCopy
http://ipmsg.org/tools/fastcopy.html
関係無いけれど、同作者殿のIPメッセンジャー(これもフリーソフト)は、ローカルネットワークのPCの設置場所が分散しているならかなり便利だと思ったので、使わせてもらっております。
おまけ
他人のPCへ仕込む場合。
@ECHO OFF
ECHO FastCopyによる同期を
pause
path C:\Program Files\FastCopy
ECHO バックアップ開始 %date% %time%
fastcopy.exe /job="set1" /force_close
ECHO ジョブ1完了 %date% %time%
fastcopy.exe /job="set2" /force_close
ECHO バックアップ完了 %date% %time%
ECHO 電源を切らない場合は右上の「x」ボタンで終了。シャットダウンを
pause
C:\WINDOWS\system32\shutdown -l
以下のようになるという例。上の下から2行目(pause)で止まっております。
「ジョブ1完了」は「半分終わりました」の方が良いと思った。
同期バックアップの危険性と注意する事(まとめ)
今までバックアップ、特に同期に関して危険性について触れていなかったけれど、今回は中~上級者用として解説したので書いておきましょう。
FastCopyに限らずネットワーク経由で同期している場合。
ローカルPC(手元のパソコン)からネットワークドライブへ同期しているなら良いけれど、ネットワークドライブからローカルへ同期しているなら、突然ネットワークドライブが見えなくなった瞬間に意図せぬ削除を食らう可能性がございます。コピー元がまっさらになってしまうので、コピー先も同期となり削除されるという意味。
また、可能性としては低すぎるものの、バックアップする直前にコピー元のドライブが故障した場合、その状態がコピー先へ同期されるとするなら安全とは言えない。
しかし、それらはツールを使わなくとも起こり得る事なので、可能な限り簡単に、意識しなくて良いほど手軽にバックアップをするなら、フリーソフトに限らず専用ツールをおすすめ。
おまけ:バッファとか最大I/Oサイズなど最適な設定は?
FastCopy公式や掲示板以外に検索でも調べてみたけれど、公式ではこれと言った最良の設定は無く環境次第のような感じ。
検索すると似たような記事が沢山出る割に書かれている内容は同じで、バッファは何故か320MB、最大I/O単位は1024MBという設定が散見。パクり記事ばかりで誰が元ネタなのか判らない。
私の設定は、バッファ1024MB、それ以外はI/O単位含めデフォルト。環境により最適な設定は変わるのだから、例としてメモリ1GBの古いPCでバッファ1GBのフルスピードでは良いと言えないでしょう。
バッファの最大は2047MBで、2048にするとエラーになる為、適当に設定を変更し速度の比較したいならやればよろしいかと。
私はそこまでこだわらない。寝る前に起動して放置しシャットダウンさせるので、ある程度の速度が有れば問題無い為。
せっかく自動化まで書いてあるのに、なぜスケジュール設定までやらないのか
とか思ったんで判りやすそうな解説載ってたトコ貼っときますw
http://www.aicomp.jp/youbou/fastcopy.html
もっとも、同期後シャットダウン原則ならスケジュールしてもアレなんで、常時稼働厨向けではありますな
> 差分(サイズ・日付)が安全。
て書いてあったからそうしてきたけど、コピー元で消したはずのフォルダやファイルが、コピー先にいっぱい居座ってるじゃねーか
という人は同期すればいいんだけど、いきなり同期はおっかないなら
WinMerge 日本語版
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/8165/winmerge.html
がお勧め。
その居座りファイルてか幽霊的な生き残りファイルやフォルダを、視認した上で削除できます。その際、予めコピー元を一括してライトプロテクト可。
つまり、同期を使わない限り幽霊的な何かに出くわすかもよ、というお話し。
更新が2012年で止まっているのは惜しいですが、FastCopyはいつの間にか多機能なソフトへ生長していたのですね。私は名前が気に入ったというだけの理由で「ExtremeCopy」を使用していますけれど、おすすめは全くしません。
>バックアップと言えば個人的には同期の事と考えており
私はバックアップと言えば差分ですね。誤って削除したファイルも保存しておけるため、もろとも世代毎にバックアップしています。といっても7日間隔で10回分を超えたら削除していく為、最大でも戻れるのは2ヶ月半前ですけれど。
>バッファ1024MB
1GBとは巨大すぎるバッファ。巨大なバッファを確保して、ある程度のデータが集まってから一気にストレージへ書き込み、を繰り返すことで高速化を実行しているのでしょうか。
このFastCopyを使ってみました。
Cドライブ(SSD)のユーザーフォルダー→Dドライブ(HDD)のバックアップは、1分ほどで完了しました。転送速度は70~100MB/sで、その速さにびっくりしましたw
ばっくんちょではできなかった(全然始まらない)Dドライブ→ネットワークドライブのバックアップはさすがに3~10MBしかでませんw
いろんなバックアップソフトを使ってきましたけど、高速、Unicodeのファイル名もコピーできる、ネットワークドライブへのバックアップが正常に行えるので、FastCopyを使うことにします。
>なぜスケジュール設定までやらないのか
理由は3つ。
1.DOS窓が開く>ジャマなので最小化>バックアップ途中に再起動やシャットダウンする可能性があって何か怖い
2.上の1は良いとしても(良くないと思うけれど)、私がDOSコマンドは知っていてもGUIで窓を最小化したりタスクバー収納のやり方を知らない
3.タスクスケジューラはFastCopy関係ない<今考えた
> WinMerge 日本語版
この手のソフトは、半同期モードとか言って、コピー「先」の削除対象になるファイルやフォルダをオリジナルごみ箱に入れ、容量がでかくなったら知らせてくれるとか有れば良いと思う。
> ExtremeCopy
http://www.vector.co.jp/magazine/softnews/130625/n1306251.html
色々な設定GUIで操作出来るようで面白そうですな。バックアップに面白さは求めていないけれど。
FastCopyと並ぶかそれ以上に(2chで)人気らしいコピー用フリーソフトはFireFleCopy。
http://www.forest.impress.co.jp/library/software/firefilecopy/
Windows 2000以前の頃に使っていた気がするけれど、設定が簡単過ぎて機能が足りず、速さも今のFastCopyほどではなかったと思う。体感かつWindowsが違い過ぎるので今とは比較はできないけれど。
> 1GBとは巨大すぎるバッファ
実はてきとう。そしてここが32MBでも2000MBでも、コピーの速度は変わらないという謎設定。動作しないなどの不具合が有った時に変更すると良いそうな。(ソースはFastCopyの掲示板のどこか)
> 速さにびっくり
私が驚いたのはスキップの速さ。どこかでファイル名をインデックスしているのか?と疑うほど差分のチェックが早過ぎるので、差分や同期2回めから多くの人がビビるはず。
> コピー先の末尾に¥が有るとその中、無ければそのフォルダへコピー元のフォルダの内容をコピーするので、ここがやや理解しづらいかも知れない。ちなみにドライブの場合は両方¥マークで終わるという、これまた混乱しそうな設定なものの仕様。
てか、端からGUIに下記のごとく書いたらダメなの?
> コピー元(Source)・・・C:¥Users¥
> コピー先(DestDir)・・・D:¥
コピー元の末尾\が許されないのかな。