自作パソコンの作り方。
的確なパーツ選びができたなら、PC自作はその時点で8割終わっているようなものと言えるけれど、どこから手を付けて良いのか不安というお便りが着弾したのでここで返信がてら解説する次第。
一度できてしまえばチャーハン作るより簡単。
自作初心者向け自作PCの組み立て方と作業手順
パソコンを自作するというと難しそうに聞こえるけれど、ハンダゴテを使用しマザーボードから製造するわけでは無く、接着剤や塗料を使用するプラモデルより簡単なので気軽に行きましょう。
0.パーツ一式を脳内でエア組立する
まずはイメージトレーニング、という程では無いとしても、
- 電源の各ケーブルが短すぎないか?
- SATAケーブルの本数は足りているのか?
- ケース側のケーブルがマザー側のピンに届くか?
このくらいは組み立てる前に判るので長さや本数が足りているのか、ネジなどで固定する前に確認してみましょう。裏配線まで考えているならケーブルの長さ足りないはあるある。
最近のマザーボードはコスパ優先なのか、SATAケーブルが1本しか付属していないとか1本も無いなども普通かも知れないので、まずは検品から。
1.マザーボードの箱の上で仮組開始
いきなりケースへマザーボードをネジ止めしはお勧め不能。駄目とまでは言わないけれど、とりあえずケースには入れず組んでみましょう。
source:BTOと比較し自作PCはこのくらい面倒という例 - BTOパソコン.jp
ケースへ収納する作業は最後。全ての正常動作を確認した後にケース内へ納めるものであり、いきなり箱に入れてフタ閉める意味は皆無。
マザーボードが包まれている黒い透明な袋は静電気防止仕様なので、箱の上に袋を置き、その上にマザーボードを置けば玄人志向かも知れない。
2.CPUまたはクーラーへグリスを塗布
自作PC第一の難関はCPUまたはヒートシンクへグリスを塗布しての装着。
いきなりグリス塗るような変態クーラーで自作が怖いならば、インテルCPUの箱の中に入っているグリス付きクーラーを使いましょう。ヒートシンクの中心に灰色の粘土のような物が着いている、それがサーマルグリス。
下の画像は私の手塗り。白いシリコンはアイネックスの激安品。
source:マザーボードとCPU交換の手順を写真入りで解説 - BTOパソコン.jp
我ながら惚れ惚れする薄塗りにて、グリスの性能の差の違いが冷却の決定的差ではないということを教えてあげたいレベル。
このクーラーはヒートシンク側の面積がCPUより狭いのでクーラー側にグリスを塗っており、ヒートシンク側の面積がCPUよりデカいならばCPUにグリスを塗る。AMDの場合はCPU(APU)側に塗る方が多かった気がする。
CPUを固定しクーラーをマザーボードへ取り付け第一次接続完了。
3.メモリとビデオカードをマザーに挿す
右奥の3枚の小さな基板がメモリ、中央のファン付き基板がグラボ。
ケースはあんなの飾りであり偉い人にはそれがわからんのですよというわけで、ケースは無視して着々とCPUに続きメモリと有るならグラボを装着。
グラボに6や8pinの補助電源が有るなら忘れずに。
4.起動用ストレージのみマザーに挿す
ストレージ(SSDやHDDなど)は1つだけで結構
source:パソコン工房の11P1220のmSATAへSSD増設(番外編) - BTOパソコン.jp
ここまでの電源、マザー、CPU、メモリ、(グラボ、)そして起動用ストレージがいわゆる最小構成というやつで、これで動かなければどこかが故障しております。
メモリは1枚のみでも結構。ストレージも1つだけでOK。
5.電源ユニットの端子をパーツと接続
プラグをコンセントから抜くか、電源ユニットのスイッチをオフの状態でコネクタを第二次接続開始。
source:ATX電源ユニットを修理で交換(神配線は不要) - BTOパソコン.jp
接続が必要な端子は4種類。
- 主電源(最近は24pinが主流、省電力なら20pinも存在しそう)
- CPU(4~8pinのメスがマザーのCPU付近にあるはず)
- グラボ(200W超えるなら補助電源有るかも)
- ストレージ(SSDやHDDを動かす為)
上の画像はCPUに4pin、主電源は24pinが接続されております。
6.マザーのピンをショートさせ電源オン
グリス以上に難関かも知れない、電源を入れるにはマザーボードのピンをショートさせる、第三次接続開始。
ここはマザーボードのマニュアルを良く読みましょう。読まなくとも良いけれど、せめて心で感じられるレベルは欲しいところ。
画像のPWRBTN(パワーボタン?)がショートさせる箇所であり、他のピンは関係ございません。ドライバーの先でショートさせる自信が無ければケースに入れてしまっても良いし、こういうやつを買ってもよろしいかと。
source:PA-062A | Ainex
私はメーカーPCの修理品のマザーで何度も練習したので簡単だけれども、自作PCで最も悩むのはここだと思う。PWBTNでは無く、PW_SWなど表記はメーカーや年代により違う、規格として統一して欲しい。
ちなみに2つ上のマザーボードはASRock製、自作向けなのかマザーボード上に電源とリセットボタンが搭載。
7.OSとドライバのインストールを開始
電源が入り画面に何か映ったならばWindowsなど入れましょう。順序は人それぞれだろうけれども私を例にすると、
- OSをインストール
- ドライバのチップセットを入れる
- ドライバのイーサネット(有線LAN)を入れる
- ドライバのグラフィックを入れる
- ドライバのその他
ネット接続して勝手に入るドライバを入れても良いけれど、個人的には古くともパーツに付属しているCDやDVDから入れるが無難と感じております。特にグラボ。
8.正常動作を確認しPCケースへ組込
ここまで正常動作したなら初期不良などは無いでしょう。コネクタ類を全部外してケースへ納める。後は裏配線やLEDなどで好きに彩るのみ。
source:パソコンのケースをLED付ファン交換や増設で光らせる - BTOパソコン.jp
組合せを間違えたりぶっ壊してしまったなら?(まとめ)
正解は、「気にしない」であり自作あるあると思いましょう。
私が過去にやらかした致命的な失敗は、CPUの向きを間違え90度ずれた状態でソケットへ挟んで電源オンして壊したり、DDRとDDR2の排他仕様を知らずいずれか1種類しか使えなかったり、RAIDって何だろう?と興味を持ってしまいスパニングのリビルド失敗でデータぶっ飛ばしたり。
CPUのミスは当時の価格でマザーとCPU合計5万円くらいが一瞬で吹き飛び、メモリはDDR2を選んだので手持ちのDDRメモリ2枚が無駄になり、データは元には戻せず。
しかし車のタイヤ交換自力でやらかし外れて事故したり死んだとか、人を殺すわけでも無いのがパソコンの自作。
失うものは金とデータと時間くらいなので、興味を持てるならハードウェアから自分仕様にする行為は趣味としては有りでしょう。
完成品より自作の方が安いと思っているならある意味間違い。失敗しない自作PCなぞ無敵モードでゲームするような無意味かつ楽しくもございません。
楽しめそうもない、散財したくない、時間が惜しいならBTOパソコンおすすめ。
ん?
まず禊(シャワー)をすませ、パンイチでサッシの窓枠を撫でくりまわし
「ふぅ」と一息
が抜けとるぞ
私的に分かりやすい手順ですと
1.市販のパーツを多く使用するBTOパソコンを買う
2.電源を入れないまま、買ったPCの側板を外す
3.スマホで「PC 分解 手順」などと検索し、PC内部の解説サイトを探す
4.探したサイトと自分のPCを見比べ、相違点を探しメモする
5.側板を戻してPCの電源を入れ、相違点が生じる原因を調べる
6.2~5を繰り返す
以上な感じ。根気がある方なら、いつの間にか「グラボのGTとGTXはどちらの性能が高いのか」とか「HDDと違い、SSDから回転音がしないのは何故か」とか基本はもちろん、最終的には「3,000円と2万円のケース、価格差はどの辺に現れやすいか」とか「12Vが1系統の電源が適するハード構成と、複数系統の電源が適するハード構成の違いは何か」とかまで分かるようになります。あくまで根気があれば。
>裏配線まで考えているならケーブルの長さ足りないはあるある。
考えるのが面倒なら、ケースはマイクロ(ミニ)タワー、マザーボードはマイクロATXを選ぶと安心感がありますね。私はミドルタワーとATXが好きですけれど。
>薄塗り
確かに薄く塗った方がグリスの性能を発揮できますけれど、薄く塗ることを意識し過ぎて、塗りが足らなかったり気泡が入ったりは残念ですから、私は「少ないより多い方がマシ。しっかり塗って」と伝える事が多いですね。通電性のあるグリスなんぞ皆無と言って良いため、クーラーを取り付けてはみ出たら、綿棒ででも拭き取ればOK。
>ここはマザーボードのマニュアルを良く読みましょう
たまに添付のマニュアルは間違っている事がありますから、注意が必要ですね。実物とマニュアルでソケットやピンの形が違ったり、基板上に書いてある文字が違ったりしたら、公式サイトでオンラインマニュアルも確認した方が良いです。仕様変更とかマイナーチェンジとかで、レイアウトが変わる事もありますし。
>ここまで正常動作したなら初期不良などは無いでしょう
ヒツジ先輩なら、組み込む前にメモリテストでしょうか。
>失敗しない自作PC
趣味の世界なら失敗も楽しむモノですね。成功するまで諦めないのは良い姿勢ですが、失敗した事を認めないのは見苦しい限り。