ツクモが長期保証を値上げせず改善。
長期(延長)保証と言えば、数年前にドスパラが大幅値上げし、パソコン工房系も今年値上げ。フロンティアの長期保証は消滅し、次はマウスかツクモかと思いきや、まさかの安く100%の修理費用保証へ。
良心的なので1記事丸ごとで詳細を紹介。
ツクモの長期保証が料金据置き劣化無しへ
変更は2013年8月1日より、ツクモ延長保証がeX.computer延長保証という仕組へ置き換え。
eX.computerとは、ツクモのBTOパソコンのブランド名で、今回の置き換えは延長保証の名前の通りeX.computer用の延長保証という意味で、BTOパソコン(eX.computer)以外の製品については引き続きツクモ延長保証となっております。
要するに新しい方はツクモのBTOパソコン専用保証。
違いは、ツクモ延長保証が5年間に対してeX.computer延長保証は3年間と短縮されており、この点は改悪と言えるけれど、有料で5年も保証してくれるのは一部メーカーのみで多くは3年。
しかし大幅な改善といえる所は、補償価格が劣化しなくなっており、これも他の多くのメーカーと同じ保証内容。
ツクモ延長保証が、どう劣化して行くかはこちら。
- 1年未満・・商品金額(税別)の100%
- 1年以上2年未満・・50%
- 2年以上3年未満・・40%
- 3年以上4年未満・・30%
- 4年以上5年未満・・20%
1年未満はバルクなど一部を除き、どの製品にも標準で付いているメーカー保証の事なので100%で当然。
2~4年目までが有料の延長保証で、ツクモ延長保証は2年目にいきなり補償額が半分。5万円の製品なら修理費用は2.5万円までしか補償しないという意味。パソコンでこれは痛い。
4年目になると20%まで下がり、同じく5万の物なら1万円までとなり、安い製品ほど補償額がしょぼくなるというもの。
これが無くなり、3年間100%の修理費用を補償してくれるというものがeX.computer延長補償。マウスやパソコン工房など他社と同じ。
長期保証という点では、ようやく他社と同じ土俵に立てたと言えるけれど、この御時世に値上げせず内容の改良は良心的。
他社と比較しつつ、もう少し詳しく見てみましょう。
他社との長期保証比較とツクモ保証の特徴
以前、パソコン工房系(ユニットコム全体)が保証料を値上げした時の図を流用し、ツクモを最下段へ追加。
最も高額なメーカーはどう見てもドスパラで、最低でも約1万円、10万円以上のPCなら1万円以上。
最安の一つはサイコムで、8万円までは4千円で超えると5%という大変良心的な価格設定。消費者側の私でさえ無茶するなと言いたくなるほど。
パソコン工房は以前と比較し条件がやや悪くなり、10万円を超えるとドスパラ並に高額になる仕様。
上でサイコムを「最安の一つ」と書いた理由はマウスが一律7350円の為。14万円を超えるPC本体ならマウスが5%未満になるので、PCが高額なほど割安。
前置きが長くなったけれど、ツクモは%にすると5.25~7.00%。なぜ変動するかは価格帯による保証料設定の為。
1万円ごとの段階になっており、例としてPC本体税抜5万円なら保証料は3,150円なので約7%、PC本体税抜59,999円でも3,150円なので約5.25%という感じ。
こうなると一部価格帯ではサイコムより安くなり、例としてPC本体の税抜価格が7万円を切る場合は4千円を切る事になりツクモの延長保証はかなり割安。
7万円を超えても率にすると5.25~7%なので、価格によりマウスより安く、サイコム並とも言えましょう。
eX.computer延長保証の特徴
ツクモの延長保証は以前から細かい設定が有り、利点や難点かも知れない特徴がございます。
保証規定より、他のBTO PCメーカーと違う箇所を抜き出し。
- 災害や物損などの「保険」が同時に付く
- 「修理不可能」に当てはまるとポイントで一部補償
- 修理費用が購入額を超える場合は「修理不可能」に該当
- 不可能では無くとも3回以上の修理で「修理不可能」を適用
1は他社には無い利点で、災害や火災、不注意による破損なども保証される、保険のようなものが同時に付いております。
ソニー(VAIO)やパナソニック(レッツノート)と同じような保険。BTO PCメーカーの場合は保険そのものが無し、または通常の延長保証とは別売りな事が多めなので確実に利点。
VAIOの例より、「3年ワイド」がツクモの延長保証のような感じで、他のBTOメーカーは「3年ベーシック」にあたる所。
source:長期保証(VAIO) | 長期保証 - ソニーストア
2~4は個人的に難点と思うけれど、あまりにも修理まみれになりそうなら、ツクモのポイントで補償するという一方的な決まり事。
しかも率が減って行くという、以前のような劣化方式。
- 購入日より1年未満・・商品金額(税抜き)の80%
- 購入日より1年以上2年未満・・60%
- 購入日より2年以上3年未満・・40%
1年未満は通常の修理保証なので、他社なら100%修理してくれると思うけれど、ツクモの場合は修理不可能になると8割へ。しかもツクモポイント。2年目はPC購入額の6割、3年目は4割へ減額。
2年以上経過し、必ずツクモでPCを買い替えるとか、元から2~3年で買い換えている人なら、3年経過直前に運悪く(運良く?)故障し修理不可能になると、下取り感覚で得な気がするけれど、「3回以上の修理で」という事は修理回数は2回まで。
私が某BTOメーカーの修理現場に居た当時、2回目以上の修理は結構ございました。また、修理担当者が故障箇所を発見しきれない、または勘違いにより、不具合の原因とは違うパーツを交換しても2回目とカウントされるでしょう。
ツクモがどこまでやるのか知らないけれど、ここが気になる。しかし、標準で保険が付きこの安さは凄いと思う。
但し、このような保険に入るべきは主にノート。
キーボードへジュースをぶっかけマザーを壊したり、ボールペンを挟んで踏んで液晶を割ったり、子どもや犬が騒いで落下し何かとぶっ壊れたり。
デスクトップPCの場合、保険は落雷のような自然災害や運悪く火災に遭うなどと思われ、修理不可能と保険のバランス、その価値をどう捉えるかでしょうな。
残るツクモの弱点は中途半端な所(まとめ)
さて、修理不可能とかポイントで補償など一部不安な点は有るけれど、保証内容が新しくなった事で修理費用100%、しかも良心的な価格設定は素直に高く評価出来ましょう。
これでマウスやパソコン工房などと似たような比較が出来ると言いたいけれど、ツクモの弱点は中途半端さ。
具体的にはこれら。
- 量産系なものの一部組立代行系っぽい為かやや割高
- 量産系にしては標準構成の種類が圧倒的に少ない
- 良く見ると保証規定に妙な事が書かれている
マウスやドスパラなどの量産系BTOメーカーは、OEMやパーツの大量製造による安さが特徴。しかしツクモは、マザーボードに市販のASUS製品とか、SSDや電源の種類を増やすなどこだわっておりPC本体価格がやや高め。
マザーはASUS、ブルーレイはPioneer、電源はAntecとかこだわる人はメモリやグラボもメーカーで選ぶ事が出来る組立代行系へ行くでしょう。
価格の高さはカスタマイズが中途半端に品揃えが良い為も有るのか、カスタマイズ前提としているのか、標準構成が少なすぎるのでPC初心者には選び難い売り方。
量産系はカスタマイズで利益を出し、時にはボッタクる為、標準構成がお勧め。逆に組立代行は最初から数万円利益が乗っているのでカスタマイズが安め。ツクモはどちらとも言えない状態。
3は上で書いたように、良く見ると他社とは違う罠とも言えそうなオリジナル規定が有り、以前に保証が劣化した時と同じなら、この保証規定はこっそり変更される可能性も有りましょう。
都合の悪い事はこっそりと、良い事はニュースリリース。こういうやり方は信用を無くしてしまうと思う。
しかし中途半端とは言え、量産系では物足りず組立代行系はカスタマイズが難しい人。例としてマザーはASUS、SSDはインテルやSamsung以外も選びたい、他はどうでも良いけれど保証は延長する、のようなPCユーザなら合っているかも知れませんな。
劣化保証の改善と言えば今は無きクレバリー。クレバリーが保証内容を改善した時期は2011年8月頃で、破産は翌年5月頃。
同じヤマダ電機傘下の旧フロンティア(株式会社KOUZIRO)は先月に解散、そしてクレバリーと同じような保証内容の改善。
ヤマダ電機のPC部門とも言えるツクモを親会社が二度目の破産をさせるとは思えないけれど、経営難による現金化の為にKOUZIROやクレバリーのような追い詰められ方をしているなら、とかは考え過ぎでしょうな。
延長保証を重視しているなら、今後はツクモも有りかも知れない。もし解散しても、現フロンティア運営会社のインバースネットが修理すると思うので、クレバリーよりは安全。
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